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山川 和大(巨人)投手のルーキー回顧へ







 山川 和大(21歳・兵庫BS)投手 170/73 (芦屋大在籍)





                        「小気味がいい」





 芦屋大の2年の時に、リーグ戦で活きの良い球を投げていたのを観戦。その年のオフに巨人が育成枠で指名しようとしたが、独立リーグに所属していたものの、芦屋大の2年生だったため指名は認められなかった経緯がある。そしてあれから2年、晴れて解禁になった彼を巨人はようやく指名することができたのだ。


(ここに注目!)

 芦屋大学は、大学の野球連盟に属さない異色の学校。そのためチームは、関西独立の下部組織的な位置付けで、チームを運営している。そんな環境にありながら、マウンドに向かう前には必ずグランドに向かい帽子をとって一礼をしてからマウンドに上がる。そんな男の、投球に注目して頂きたい。


(投球内容)

 私が彼をはじめて見た時は、まだまだコントロールは粗っぽい投手だった。しかし球速は、当時93マイル・149キロを記録するなど、ボールの勢いは一級品だった。

ストレート 常時130キロ台後半~140キロ台中盤 
☆☆☆★ 3.5

 以前よりも力んで速い球を投げようという意識が薄れ、少し球速は落としてもボールをしっかりコントロールできるように成長。昨年、今年とリーグでは防御率1位に輝くなど、球筋にもまとまりが出てきた。適度に勢いのあるボールを投げ込み、両サイドに散らすことができている。

変化球 スライダー など 
☆☆☆ 3.0

 横滑りするスライダーがあり、この球のキレやコマンドは高く安心して見ていられる。他にもカーブ・チェンジアップ系の球もあるようだが、正直よくわからなかった。ただし手は大きくないだろうが、器用さのありそうな投手なので、その他の変化球もそこそこ扱えているのかもしれない。しかし頼れるのは、スライダーということなのだろう。

(投球のまとめ)

 力んで速い球を投げようとしていた以前に比べ、地に足の着いた投球ができています。リーグ戦の実績が自信につながり、プロ相手でも、自分の投球ができるようになってきたのではないのでしょうか。

 小柄で活きの良い投手ではあるのですが、今後の上積みという伸び代は感じません。そのため早い時期から実戦に入って行ける反面、1年目から結果を残し支配下登録されることが望まれます。最初の1年目で、今後がかなり見えてきてしまう選手ではないのでしょうか。





(成績から考える)

今年の成績は

13試合 4勝0敗 50回 20打 7四死 71振 防 0.54(1位)

1、被安打はイニングの70%以下 ◎

 四死球率は、実に40% という破格の数字が残っている。関西の独立リーグのレベルがどうだかは掴み難いのだが、多少厳しいファクターにしても文句ない数字を残している。

2,四死球はイニングの1/3以下 ◎

 四死球率は、実に14%。極めて少ない数字であり、全くコントロールには問題がない。

3、奪三振は1イニングあたり0.8個以上 ◎

 奪三振率も、1イニングあたり1.42個と驚異的な数字であり、ファクターをもっと厳しくしたところでイニングを遥かに上回るペースで三振を奪えている。

4、防御率は1点台以内 ◎

 防御率は 0.54 であり、これも0点台も半ばと驚異的。これ以上を望むのは、ナンセンスだろう。

(データからわかること)

 データの上からは、これ以上を望むのはナンセンスというぐらい図抜けた成績を残している。このリーグからプロ入りは過去数えるほどしかおらず、現在は四国アイランドリーグやBCリーグとのレベル差も相当な開きがあるものと考えられる。それを割り引いても、この成績は素晴らしく育成枠で指名されたのは至極当然だと言えるはずだ。


(最後に)

 このリーグの究極形とも言える経歴・実績の持ち主であるこの選手が、どのような成績をプロで残すか大変興味深い。ファームならば即戦力級であり、そこから更に支配下・一軍出場と繋がるのか、今後の大きな指針となりそうだ。

 個人的には、短いイニングならば支配下、一軍での登板でも可能なぐらいの力量だと思っているが、果たしてどうなのだろう。大いに期待して、来シーズンを見守りたいと思う。


(2016年 プロアマ交流戦)