16sp-19
安江 嘉純(24歳・BC石川)投手 185/80 右/右 (中京-愛知学泉出身) |
「圧倒的な安定感」 BCリーグでは、16勝1敗と圧倒的な安定感を誇り最多勝。巨人との交流戦でも、7回を投げ1安打9奪三振を奪い好投した。凄みのある投手ではないが、その安定感は独立リーグ屈指のものがあると言っても過言ではないだろう。 (投球内容) 非常に、ゆったりとしたモーションから繰り出すスリークォーター。そのゆったり感が、打者の打ち気をそらす。 ストレート 135~140キロ台前半 ☆☆★ 2.5 MAX151キロを記録するとも言われるが、投球のほとんどは130キロ台であり、速くても140キロを超えるぐらい。特にボールが切れるとか、凄く球威があるとかいうことはない。NPB入りする選手の中では、むしろ球威・球速は明らかに見劣りする。その球威の無さを、ゆったりしたモーションでタイミングを狂わすことで補っている。 ボールをコース散らすことはできるが、ときおり力の無い甘い球が高めに浮くことがある。四死球で自滅するような危うさはないものの、投げミスが少ないタイプではけしてない。この辺は、NPBの一軍打者は見逃してくれないだろう。 変化球 カーブ・スライダー・カットボール・シンカー? ☆☆☆ 3.0 変化球は、横曲がりするスライダーとのコンビネーション。それにもっと緩いカーブ、小さくズレるカットボール、それにシンカー系の落ちる球も見受けられる。どれでも絶対的なキレや曲がり幅はなく、目先を逸らす、タイミングをズラすための球という感じ。 一通り投げられるが、決め球らしい球は見当たらない。 その他 牽制は平均的で、クィックも1.2秒前後とさほど素早くはない。またフィールディングはちょっと危なっかしいぐらいで、投球以外の技術には不安が残る。 (投球のまとめ) ゲームメイクできるまとまりがあり、試合を壊さない。しかし問題は、このボールの威力でNPBで先発を任せてもらえるのだろうか?そういった時に、リリーフだと持ち味が発揮できない可能性もある。そういった不安は、どうしても拭えない。 特にストレートの威力が標準以下であり、それでいて絶対的な変化球を有しているわけでもない。圧倒的な打力の違いを誇るNPBの打者相手に、自分の投球を見失わないで投球出来るのか? (成績から考える) 今度は、BCリーグで残した実績から可能性を模索したい。 22試合 16勝1敗 146回 113安 33四死 131三 防 1.79(2位) 1,被安打はイニングの70%以下 △ 被安打率は、77.4% と、けして低くない。やはりこの球威だと、上手くフォームや変化球で狙いを外しても、甘い球は簡単に打ち返されてしまう。 2,四死球は、イニングの1/3以下 ◎ 四死球率は、22.6% と基準を充分満たしている。このコントロールの安定感が、この投手の生命線。ただしストライクゾーンの枠の中には安定して投げられるものの、細かいコースの投げ分けに優れるとか、甘いところに入って来ないとかそういったピンポイントの制球力があるわけではなさそう。 3、奪三振は、1イニングあたり0.8個以上 ◯ 1イニングあたりの奪三振数は、0.90個とリリーフの基準をも満たすぐらいで、先発でも取れている。そういった意味では絶対的な数字ではないが、適度に三振が奪えていることになる。 4、防御率は1点台以内 ◯ 防御率はリーグ2位の 1.79 と記録。独立リーグのレベルを考えると、できれば先発なら1.50以内、リリーフならば0点台に入るぐらいの絶対的なものが欲しい。 (成績からわかること) ちょっと被安打が多いこと以外は、ファクターを満たすものがあった。しかしどれも絶対的な数字ではなく、適度にまとまっているということが改めて証明された。この数字から観る限り、二軍レベルの投手という感じ。そのため、一軍を想定するとまだ物足りない。 (最後に) BC1年目は3勝2敗だったことを考えると、今季爆発的に成績を伸ばしている。そういった意味では、環境に応じて自分の資質を伸ばして行けるタイプなのかもしれない。しかしまとまっている以外、一軍で武器になるものは見つからない。まずはプロで、何か新たなものを見出してゆく、そういうことができるのかが求められている。しかし肉体的には、そう多くの上積みは残されていないように見える。あとは、いかにプロで生き残るための何かを、つかむことができるかではないのだろうか。そういったものを見出す、そういったセンスには長けているようには見えるのだが。そういったものを2,3年以内見つけないと、早期の退団の可能性も否定できない。 (2016年 リーグ戦) |