福永　春吾（２４歳・徳島IS）投手　１８５／８９　右／左　（クラーク国際出身）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「今年は好調を持続」

　昨年関東にアイランドリーグ選抜の一員としてやってきたときは、育成枠までに指名されるだろうという確信めいたものがあった　福永　春吾　。しかしその後に行われた北米遠征では打ち込まれ、シーズン後半はすっかり自信を失い調子を崩して指名されることなく終わる。今年は北米遠征を終えたあとに行われた、関東への遠征。そこでの投球では、本会議中に指名されるのではないかという内容だった。特に評価できるポイントは、好調を一年間持続でき心身共に成長した姿を魅せたことではないのだろうか。

（ここに注目！）

　ビシッとした確かな威力を誇る球を、両サイドに投げ分けられるコントロールも兼備しています。

（投球内容）

ストレート　１３０キロ台後半～１４０キロ台中盤　☆☆☆★　3.5

　観戦した試合では、当時球速がやたら出た大田スタジアムのガンでMAX150キロを記録。しかし私のガンでは、89マイル・143キロ止まりと平均的。それでも打者の手元までビシッと来る球質は、ドラフト指名を意識できるものがあります。何よりその速球を両サイドに散らすことができます。特に右打者外角クロス、左打者内角への球筋が彼の1番の持ち味。

変化球　スライダー・フォークなど　☆☆☆★　3.5

　右打者外角低めに切れ込む、スライダーを振らせるのが最大の武器。このゾーンでの三振が、1番目立ちます。更にフォークのような沈む球も持っていますが、この球の精度・落差は発展途上かと。とりあえず沈む球もあるので、打者としては的を絞り難くはなっています。速球は、真ん中～高めにゾーンに集まりやすいので、変化球が低めに集められるのは高低の揺さぶりができて有効ではないかと。

その他

　牽制は、それほど上手くはないものの適度に強い送球をしてきます。またクィックは、0.9秒台で投げ込むなど超高速。その分、走者への目配せ等は少し甘いかと思わせる部分はあります。

（投球のまとめ）

　それほど細かいコントロールや投球術はないものの、適度に組み立てられる能力はあります。ボールの威力、変化球も基準レベルを超えており、本会議での指名が意識できるレベルになってきたと言えるでしょう。

　特に年間好調を維持できるだけの体力・精神力も身につけつつあり、その点でもこの一年間の成長を感じます。まずは、一年間ぐらいファームで更に一軍で通用する力を磨く、もしくは短いイニングで一軍を経験する、そういった形の１年目になるのではないのでしょうか。

（成績から考える）

まずこの一年間で残した、アイランドリーグでの成績を観てみましょう。

１５試合　６勝６敗　９７回2/3　７９安打　２８四死球　８１奪三振　防御率　１．３８

１、被安打はイニングの７０％以下　△

　被安打率は、80.9％ということで、この厳しいファクターを満たすことはできなかった。それだけまだ、アイランドリーグの中でも、絶対的な領域にまでは達していないことがわかる。

２、四死球は、イニングの１／３以下　◯

　四死球率は、28.7％であり、基準である33.3％以下を満たしている。それほど細かいコントロールというほどではないが、適度にストライクを集められるコントロールがあるのは間違いない。自分のリズムでNPBの打者相手に投げられれば、四死球で苦しむタイプではないだろう。

3、奪三振は、1イニングあたり0.8個以上　◯

　1イニングあたりの奪三振は、０．８３個と、先発投手の基準を満たしている。それだけ決め手になるボールがあるということではあるが、図抜けた数字でもない。更にボールを、磨く必要があるだろう。

４、防御率は、１点台以内　◯

　防御率は、１．３８でリーグ２位の好成績。こういった数字を、年間通して持続できたことは大きい。

（成績からわかること）

　被安打が基準を満たしていなかったが、悲観するほど悪い数字ではなかった。更にバランスがとれており、指名されるだけの条件を備えている。しかし数字からすると過去のアイランドリーグから指名された選手の中では、けして突出した存在ではないということ。このことからもNPB入り後も、更にワンランク・ツーランクと成長が見込めないと一軍で活躍となると厳しいかもしれない。

（最後に）

　関西独立リーグの０６ブルズ以来注目されてきた選手であり、もうドラフト候補に名前があがって４年ぐらい経つ。すでに年齢も２４歳と大卒社会人組と同じになり、若さ・伸びしろに期待するという年齢ではなくなりつつある。

　そういったことを考えても、ドラフトでは本会議の後半～悪くても育成枠での指名は期待できる内容。今年こそという期待は高まる。すべての独立リーガー含めても、もっともNPBに近い位置にいる、そういった選手ではないのだろうか。まさにいま、プロ入りの「旬」を迎えた！

蔵の評価：☆　（下位指名級）

（２０１６年　アイランド選抜関東遠征）