16sp-17
木下 雄介(23歳・徳島IS)投手 183/82 右/右 (生光学園出身) |
「ほとんど速球」 均整の取れた体格から、真っ向ストレート勝負で挑んでくる 木下 雄介 。その投球の殆どは、速球で組み立てられているのに驚かされる。大学時代は、今永 昇太(DeNA)と同級生だったという。 (ここに注目!) 駒大を中退後、2年のブランクを経て四国アイランドリーグのトライアウトに挑戦。ストレートのみで押す投球は、今や新鮮にすら感じられる。 (投球内容) 右の本格派で、惚れ惚れするようなフォームから投げ込んでくる。 ストレート 常時140キロ台~MAX150キロ ☆☆☆★ 3.5 さすがに速球だけで押してくるので、アイランドリーグの打者達に合わせられてしまうことが多い。それでも勢いのある速球を武器に、押し通す精神力は並ではないのだろう。けして打ち返されないほどではないが、ボールは適度にストライクゾーンの外に外に散って真ん中に集まるわけではない。 変化球 フォーク? ☆ 1.0 変化球は一通りあるらしいのだが、たまに混ぜて来るのはフォークのような沈む球。しかし本当に9割は速球だし、たまに投げる変化球の精度・キレともイマイチ。ここまで速球しか投げないのは、やはり他の変化球が信頼できるレベルにないからなのではないのだろうか? しかしフォームだけ見ていると、けして良い変化球を投げてもおかしくないのだが・・・。 (投球内容) アピールのために、ひたすら速球を投げているのだろうか? それとも速球しか使えないので、あえてわかっていても速球をひたすら投げ続けるのだろうか? 実戦で使えるというレベルではないが、素材としての魅力は感じられる。 (成績から考える) 普段の状況がわからないので、アイランドリーグで残した成績を元に考えてみたい。今シーズンは、 28試合 1勝2敗3S 44回1/3 42安 19四死 34三 防 3.45 1,被安打はイニングの70%以下 ☓ 被安打率は、94.8% であり、基準からは遠く及ばない。まぁ速球しか投げないで、この数字をどう観るかは意見が別れるところ。しかしアイランドリーグの打者を、力だけでは抑えきれていないのだけは明らかだろう。 2,四死球は、イニングの1/3以下 △ 四死球率は、42.9% であり、基準である 33.3%以下に比べると下回っている。しかしそれでもノーコーンというよりは、あまり細かいコントロールがないという程度で、極端な制球難ではない。 3,奪三振は1イニングあたり0.9個以上 ☓ 1イニングあたりの奪三振率は、0.77個 。リリーフで決め手があるという意味では0.9個以上欲しいものの、平均は0.6個台であることを考えると、三振でアウトにする確率は低くない。 4、防御率は、1.50以内 ☓ アイランドリーグのリリーフ投手ならば、防御率は1.50以内にしたいところだが、3.45 と平凡。それでも7月にアイランドリーグ選抜が来たときには遥かに悪い数字だったことを考えると、後半戦はかなり成績を良化させてきたことは間違いなさそう。 (成績からわかること) 成績からも、現時点では実戦力に欠ける素材型であることは明らか。しかしそのことを重々承知で、指名してみたくなるだけの、素材としての魅力を持っている。 (投球フォーム) それではフォームから、今後の可能性を考えてみたい。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 お尻の一塁側への落としは甘さは残すものの、ある程度は落ちている。そのため身体を捻り出すスペースはそれなりで、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に鋭く落ちる変化球を投げるのにも無理はない。 「着地」の粘りも平均レベルはありそうで、身体を捻り出す時間もそこそこ。そのためカーブやフォークといった変化球だけでなく、これからはもっといろいろな球を覚えられる下地はある。しかしまだ動作が並レベルなので、決め手になるような変化球が習得できていないのもうなずける。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブはしっかり内に抱えられているというほどではないが、最後まで身体の近くにはある。そのためアバウトではあるものの、両サイドへの投げ分けもできるのだろう。足の甲でも地面を押し付けられており、ボールはそれほど上吊らない。球持ちも悪くなく、ボールも適度に前で放せている。細かい制球力はないものの、大崩れするような荒れ荒れのフォームではない。更に動作を追求してゆければ、もっと球筋は安定し自在にコントロールできるようになるだろう。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻はソコソコ落とせているし、カーブやフォークといった球種への依存度も低い。そのため現状は、肘への負担は気にしなくても良さそう。 腕の送り出しを見ていても、けして無理は感じない。物凄い力投派というほどでもないので、消耗度もそれほど大きくはなさそう。そうった意味では、肩への負担も少ないだろう。何より大学以降、それほど多くの球は投げて来なかっただろうから、肩自体の消耗は少ないと考えられる。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りは平均的で、合わせやすいわけでも合わせ難いわけでもなさそう。しかし身体の「開き」は抑えられており、甘く入らなければ痛手は食らい難そうだ。 腕も適度に振れており、速球と変化球の見極めがつきやすいわけではない。ボールにも適度に体重は乗せられており、打者の手元までの勢いも悪くない。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」にも、大きな欠点は見当たらない。しかしその一方で、特筆すべきほど良い部分もなく、これからの改良の余地は充分残されている。 コントロールを司る動作も悪くないし、故障のリスクも高くないし肩も若い。プロとしては、ガンガン鍛えて行ける素材なのではないのだろうか? あとは、それに耐ええるだけの体力・精神力があるかどうかが見極めのポイントとなる。 (最後に) 現時点では、本会議で指名されるような力はないだろう。しかし育成ならば、こういった投手を育ててみたいと思う球団があっても不思議ではない。純粋に素材としての魅力は、今年の独立リーガーの中でもトップクラス。育成枠ドラフトでは、その名前が呼ばれても不思議はない選手だと感じるた。こういった選手が、プロの指導でどのレベルにまで到達するのか? 個人的には、大変興味深いものがある。 (2016年 リーグ戦) |