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笠井 崇正(DeNA)投手のルーキー回顧







笠井 崇正(22歳・BC信濃)投手 179/93 右/右 (旭川西-早大在学中) 
 




                        「異色の経歴」





 一般入試で早稲田に合格し、野球部に入るも2日で退部。その後サークルで野球を続けながら、BC のテストに合格。ルーキーイヤーの今年、徐々にチームの信頼を得て、最後はチームのクローザーを任されるまでに成長した。


(ここに注目!)

 ずっしりした体格から投げ込まれる、重い速球が自慢。マウンド捌きも、この一年でだいぶ投手らしくなってきた。

(投球内容)

基本的に、ボールの力で押すパワー型。

ストレート 常時140キロ台~中盤ぐらい 
☆☆☆★ 3.5

 ボールの回転は良くないので、身体振りを誘うというよりも詰まらせる球質か。そのボールもキレイなフォーシームではなく、結構手元まで変化するクセ球。それでも両サイドに散らせることはでき、速球派だがそれほどコントロールは悪くはない。ただし回転が良くない分、高めに浮くと棒球になって打ち返されてしまう。

変化球 スライダー、カーブ、チェンジアップ? 
☆☆★ 2.5

 右打者の外角低めに切れ込むスライダーを振らせるのが武器だが、意外にこの球が早く曲がり過ぎて見極められてしまうことが多い。もう少し打者の近くで曲がるようになると、大きな武器になりそう。他には緩いカーブやチェンジアップ系を時々織り交ぜて来る。しかしまた大きなウエートは占めておらず、スライダーをいかにコントロールできるかだろう。

その他

 クィックは、1.05秒前後と遅くないが、フィールディングなどはまだまだで、プロでしっかり鍛えないといけないはず。牽制も、それほど上手いようには見えなかった。


(投球のまとめ)

 本格的な野球経験が不足しており、そういった部分を補うのにプロでも時間がいるだろう。速球派の割にはコントロールは悪くないし、教えれば吸収して行ける頭の良さもあるかもしれない。あとは2日で部を退部してしまうような選手なので、忍耐強く基礎を反復できるかではないのだろうか。素材型の高校生を獲得するという目で見れば、良いのではないのだろうか。





(成績から考える)

では、この一年で残した成績から傾向を考えてみたい。

35試合 3勝1敗1S 37回 31安 9四死 36奪 防 2.43

1,被安打はイニングの70%以下 ☓

 被安打率は、83.8% となっており、独立のレベルを考えるちょっと多いように感じられる。彼のように力で押すタイプならば、もう少し圧倒的な数字が欲しいところだが。

2,四死球は、イニングの1/3以下 ◎

 四死球率は、24.3% と、力で押すタイプにしては、けして高くない。球筋を観ていても、速球に関してはコースに大方集められていて、四死球で自滅するという危うさは感じられない。

3、奪三振は、1イニングあたり0.9個以上 ◯

 1イニングあたりの奪三振は、0.97個とほぼイニング数と同数。普段は速球だけでなく、ボールゾーンに逃げてゆくスライダーで、もっと空振りが取れているのかもしれない。

4、防御率は、1点台以内 ☓

 防御率は2.43と、NPBを目指すのならば1点台の安定感は欲しかった。まぁ本格的なBCリーグ参加は今年からだったことも考えれば、今後の成長に期待したいところ。

(データからわかること)

 被安打に関しては満たしていないが、極端に悪いわけではない。むしろこの内容の割に、防御率が物足りという印象の方が強い。もう少し投球に、粘っこさが出て来ると良いのだが。奪三振の多さと四死球の少なさは、素直に評価してあげたいポイント。未完成だが、光るものを秘めているのがわかる。


(最後に)

 本会議中の指名や、即戦力としては計算できないだろう。しかし素材としては、プロの環境で本格的に鍛えたらどのぐらいの投手になるのだろうという、期待は抱きたくなる。成績的にもボールの威力的にも、育成枠であるならば指名の可能性は充分あるのではないのだろうか。数年後、どんな投手になっているのか期待してみたい。


(2016年シーズン)