16sp-10
森原 康平(25歳・新日鉄広畑)投手 184/83 右/左 (山陽-近大工学部出身) |
「都市対抗1番のサプライズ」 近大工学部時代から恵まれた体格は目を惹いていたものの、130キロ台後半の好投手だった 森原 康平 。しかし大卒3年目となった今年は、都市対抗の舞台で151キロを記録するなど、別人のように球威・球速を増していたのに驚いた。 (ここに注目!) ただボールが速いだけでなく、空振りを誘えていた点も好感。力で押せる投手は貴重なので、その点で期待して見守りたい。 (投球内容) 骨太の恵まれた身体から、ワインドアップで振りかぶってきます。少し外人のように、突っ立って投げるフォームです。 ストレート 140キロ台後半~MAX151キロ ☆☆☆☆ 4.0 大学時代から四死球が少ない投手で、コースへと投げ分けるコントロールがあります。しかし代わりっぱの球筋が不安定なところがあり、その点がリリーフだと心配な部分。それでも都市対抗のホンダ熊本戦では、外角に集めることができていました。 けして無理することなく、140キロ台後半~151キロのストレートには適度な勢いもあります。そのためわかっていても、ホンダ熊本の打者達は空振りを繰り返していました。球速だけでなく球質・球威も悪くないので、それなりに実戦的なボールを投げているように思います。大学時代は、空振りを誘うというよりも球威で詰まらせるタイプでした。 変化球 スライダー・フォーク・カーブなど ☆☆★ 2.5 大学時代は、カーブに縦・横のスライダーという感じの投球でしたが、社会人に入り縦の変化にも磨きがかかったとの話も。しかし都市対抗の投球を見ている限り、横滑りするスライダーぐらいしかよくわかりません。カウントを稼ぐ、速球とのアクセントという意味合いはありますが、打者の空振りを誘うほどの絶対的な変化球はないように見えます。 その他 牽制・フィールディング・クィックなどは、この試合ではわからなかったので、大学時代の引用を。牽制はかなり上手く、クィックも1.0秒前後で高速。フィールディングは平均だと思いますが、投球以外の部分にも優れた選手です。 (投球のまとめ) 元々好投手タイプだっただけに、土台がしっかりした上でパワーアップしたのは大きいところ。ただしホンダ熊本戦では素晴らしかったものの、別の試合で打ち込まれるなど安定感という意味ではどうだろうか? ただし150キロ級の球速を連発でき、かつそれほど荒れ荒れではないところは推せる材料。プロ入りへのラストチャンスとなりそうな年齢だが、十分指名候補に入ってきそうな内容だった。 (投球フォーム) これだけではよくわからないので、投球フォームの観点から考えてみたい。 <広がる可能性> ☆ 1.0 引き上げた足を地面の方に向けて伸ばし、まるでその場で突っ立つような感じで投げ込む外人投げ。そのためお尻を一塁側には落とせず、身体を捻り出すスペースが確保できない。すなわち身体を捻り出して投げる、カーブやフォークといった球種を投げるのには無理がある。 「着地」までの粘りにも欠け、身体を捻り出す時間が確保できない。こうなるとキレや曲がりの大きな変化球の修得は厳しく、カットボール・ツーシーム・スプリットなど球速のある変化でピッチングの幅を広げてゆくことが求められる。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで身体の近くにはあるが、しっかり抱えられているというほどではない。そのため両サイドへの投げ分けは、それなりにといった程度だろうか。 足の甲では地面を捉えられているので、ボールはそれほど上吊らないで済んでいる。球持ちも悪くないでの、そういった意味ではある程度ボールをコントロールできている。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻の落とせないフォームではあるが、カーブやフォークも持ち球にしているので、肘への負担は若干心配。それでもその頻度はそれほど多くはないので、神経質になる必要はないだろう。 腕の送り出しには無理がなく、肩への負担は少なそう。それほど力投派ではないので、故障のリスクは高くはないのではないのだろうか。 <実戦的な術> ☆☆★ 2.5 引き上げた足を地面に降ろすまでの粘りに欠けるので、「イチ・ニ~の・サン」の「ニ~の」のタメが作れずに合わされやすい。身体の「開き」自体は抑えられているので、甘く入らなければ大丈夫だとは思うのだが。 腕ももう少し強く振れると、速球と変化球の見極めがつき難くなって空振りを誘えそう。ボールへの体重の乗せも発展途上であり、もっと打者の手元まで勢いが良くなる可能性を秘めている。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作ある「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」に課題を抱えている。そのため今後のピッチングに、幅を持たせられるかが最大の課題ではないのだろうか。 制球を司る動作や故障のリスクはそこそこであり、可も不可もなしといったところ。しかし技術的にも、けしてまだ発展途上だけに、プロの指導などを煽れば、更に速球の質に磨きをかけることは期待できそう。 (最後に) 都市対抗のHONDA熊本戦だけに目を奪われると、粗というか欠点もあることが見えて来ない。そのため何処まで即戦力になり得るかと言われると微妙な選手であり、過大評価は避けたいところ。しかし25歳にして発展途上の投手であり、まだまだ伸びる余地も残されている。また元々が好投手タイプだっただけに、コントロール・まとめる力・マウンド捌きにも優れ、その点には好感が持てる。 いずれにしても今年はドラフトへのラストチャンスであり、まさにプロに入る「旬」の時期を迎えているのではないのだろうか。ドラフトでは下位指名なってしまうかもしれないが、ぜひプロ入りを実現して欲しい。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2016年 都市対抗) |
森原 康平(近大工学部)投手 185/81 右/右 (山陽出身) |
中国地区では、以前から話題の投手でした。昨秋は、7勝1敗 防御率 1.06 で最優秀防御率に。今春も 4勝1敗 防御率 1.37(リーグ1位)で、最優秀防御率に、自身2度のベストナインを獲得し、チームを全国大会に導きました。 (投球内容) メジャーリーガーのように、突っ立った感じで投げるフォーム。立ち上がりは135キロ出るか出ないかぐらいで、制球も不安定で正直かなり物足りなく感じました。しかしイニングが進むにつれ球威・球速を増し、コースに130キロ台後半の球威のある球を投げ込むようになってきました。打者の空振りを誘うようなキレや伸びはなく、球威で相手を詰まらせる球質。変化球は、縦・横二種類のスライダーとカーブでしょうか。 牽制はかなり上手く、クィックも1.0秒前後で高速。フィールディングは平均だと思いますが、投球以外の部分にも優れた選手です。マウンド捌き、投球術などもそれなりで、凄みはありませんが適度にまとまった投手との印象を受けます。 (投球フォーム) <広がる可能性> ☆☆ 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は一塁側には落とせません、そういった意味では、カーブで緩急を効かしたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種は適しません。その代わり、負担の少ない縦スラで代用しようとしています。 また「着地」までの粘りがなく、あっさり地面を捉えてしまうのも気になります。これでは充分体を捻り出す時間が確保できないので、キレのある変化球や曲がりの大きな変化は期待し難いのではないかと考えます。武器になるほどの球がないので、今後はもう少し粘りを作って、ピッチングの幅を広げて行きたいところ。 <ボールの支配> ☆☆☆ グラブは最後まで体の近くにあり、両サイドの投げ分けは安定。足の甲の地面への押し付けが甘く、ボールは全体的に高めです。ただ「球持ち」はまずまずで、指先の感覚は良さそう。立ち上がりを除けば、四死球で自滅するタイプではなさそう。 <故障のリスク> ☆☆☆ お尻を落とせない割に、カーブは結構使ってきます。そういった意味では、少し肘への負担が気になります。ただ振り下ろす腕の送り出しには無理がなく、肩への負担は少ないのでは。いずれにしても、故障には充分注意して取り組んで欲しいと思います。 <実戦的な術> ☆☆☆ 「着地」までの粘りがないので、打者としては苦にならないフォーム。その割に、体の「開き」は抑えられている珍しいパターン。腕の振り下ろしは体に絡んで来るので、速球と変化球の見極めは困難。前に踏み込んだ足が突っ張ってブロックしてしまい、上手く前に重心移動が出来ていません。そのため打者の手元まで、勢いのある球が投げられないのではないのでしょうか。 (最後に) 大学からプロに行くような、圧倒的なポテンシャルは感じません。しかし地元中国地区の社会人チームなど、野球を続けて行ける力はありそう。そこでもう一皮むけるようだと、2年後はドラフト候補として話題になりそうです。課題を克服して、ぜひプロの世界を意識できるまでの成長を見届けてみたいと思います。 (2013年 大学選手権) |