16ky-27
清水 陸哉(京都国際)外野&投手 186/76 右/右 |
「京都の高校生は何気に育成あたりで拾われる」 京都でも甲子園に出場してこない学校あたりから、毎年のように下位指名~育成枠あたりで指名される選手が現れる。今年は、この 清水 陸哉 が、ソフトバンクの育成枠5位で指名された。正直ほとんど情報がないのだが、一部の動画を参考にこの選手の特徴を考えてみたい。 (プレースタイル) 高校通算37本塁打の長打力が自慢で、3年春の春季大会で1試合・2本塁打の活躍で注目されることに。投手としても、MAX145キロを記録する強肩。走っては、50メートル6秒0の俊足ということで、ある程度動ける身体能力を秘めているのだという。ドラフト前には、阪神の指名候補として記事になっていたが、結局指名されることなくソフトバンクに育成枠指名された。 (守備・走塁面) 気になるのは、これだけの身体能力を持っていながら背番号7を付けていたこと。まして投手として140キロ台の速球が投げられる強肩ならば、幾ら投手としての登板が想定されるからといって、センターやライトなのではないかという気もするのだが? しかし実際試合では、3番・センターで出場していたのだという。 また50メートル6秒0というスペックは微妙で、ある程度動ける身体能力はあるものの、走力を全面に出すほどの走力があるのかは疑問が残る。少なくても現時点では、守備も走塁も技術的にはまだまだこれからの選手なのではないかと推測する。 (打撃内容) <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を引いてボールを呼び込むスタイルで、グリップの高さは平均的。背すじをしっかり伸ばし、両目でしっかり前を見据えられている。全体のバランスとしては並だが、錯覚を起こすことなくボールを追える姿勢が作れているところは評価できる。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。そのためアベレージ打者の傾向が強く、天性のスラッガーという感じはしてこない。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足を早めに引き上げ回し込み、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は充分とれており、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応しやすいはず。その一方でアウトステップを採用することからも、内角を強く意識したスイングであることがわかる。また踏み込んだ足元が早く地面から離れるので、打球はセンターからレフト方向への引っ張るスイングが中心であることが伺われる。別の見方をすれば壁が早く崩れるので、外角に逃げてゆく球や低めの球についてゆくことは厳しい。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形をつくるまでは自然体で、ボールを呼び込む際に力みも感じられないし、立ち遅れている感じもしない。バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトというほどではない。内角をうまく捌くというよりも、ある程度バットとボールとの距離が必要なタイプなのだろう。しかし外の球を捌くのには大きなロスは感じられないし、ボールを捉える時もバットの先端であるヘッドも下がっていないので、スイングに悪い癖はない。 フォロースルーを使って来るので、打球をうまく遠くに運ぶ術を持っている。この辺が、仕掛けが早くても長打を放てる要因になっているのではないのだろうか。特にヘッドスピードが凄いとかボールを捉える能力が図抜けているようには見えない。 <軸> ☆☆☆ 3.0 足の上げ下げはあるものの、目線の上下動は平均的。踏み込んだ足元が早く地面から離れてしまうので、開きが我慢できているわけではない。それでも地面から真っ直ぐ軸足は伸びており、キレイな軸回転でスイングできている。 (打撃のまとめ) ホームランのスイングを見ていると、うまくボールを乗せて運んでいる印象があり、この辺はフォロースルーをうまく使えているからではないのだろうか。特にヘッドスピードに凄みは感じず、ボールを捉える能力に長けているのかはよくわからない。 メカニズム的には、打てるコースが真ん中~内角寄りの甘い球と限られており、このコースの球をいかに確実に叩けるのにかかっている。今後確実性を増すには、打てる幅を広げてゆきたい。今はツボがあり、そこをひたすら引っ張るのみなのだろう。 (最後に) 育成枠も5巡目ぐらいになると、通常のドラフトではまずかからないレベル。しかし何かしらの可能性を感じ、無理に指名した感は強い。それでも鍛えがいのある素材として、ソフトバンクが3軍からみっちり鍛えてみたいと思わせるだけの素材ではあるのだろう。こういった選手が、プロの指導や環境で化学反応を起こし、どのように化けてゆくのか期待したい。特に育成システムがしっかりしているソフトバンクに進むことは、旬でなくてもアマを選択するよりも環境面では恵まれるだろうから。 (2016年 春季大会) |