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大本 将吾(ソフトバンク)外野手のルーキー回顧へ







 大本 将吾(帝京五)右翼 186/94 右/左
 




                   「よくわからない部分も多いが」





 帝京五高の試合は、実に中継のタイミングが悪かった。放送の合間で、試合序盤で終わったり試合後半からだったりと。また2年夏の大会では、1回戦で敗退。四国大会に進むこともなく、大本 将吾 の3年間は、極めてテレビ中継に恵まれない選手だった。そんな合間に映っている映像を元に、わかる範囲でこの選手のことを考えてゆきたい。


(ここに注目!)

インパクトの時の、強い押し込みに特徴があり、強烈な打球を生み出す。

(守備・走塁面)

 残念ながら、一塁までの到達タイムをまともに計測できる機会はなかった。しかしながら試合の動きを観る限り、大型でけして俊敏に動くタイプには見えない。恐らくプロを想定すると遅い部類であり、将来的にはレフトあたりができるかどうかという人材ではないのだろうか。

 また守備機会も殆どなかったのだが、ボールを追いかけている姿を見ていると守備範囲が広い選手にも見えなかった。ただし返球を観ると、肩はけして弱くなさそうな勢いのある球を投げている。キャッチング・打球勘などはよくわからなかったが、守備範囲が狭めでプロならばレフトあたりの人材ではないかと考える。それだけ、打撃を評価しての指名なのだろう。


(打撃内容)

 元ロッテの 小林 昭則氏が3年春に就任。その指導によりホームランを量産できるようになり、プロからも注目される存在になったのだという。確かに打球は強烈でパワフルなのだが、見た感じ長距離打者というよりは、野手の間や外野手の頭を越えてゆくような、二塁打などが多そうな中距離ヒッターに見えるのだが。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めにバットを寝かせて構えている。腰の据わりは悪くないものの、全体のバランス・両眼で前を見据える姿勢は並ぐらい。打席のでの雰囲気は悪くなく、集中力も感じられる。

<仕掛け> 早すぎ

 投手の重心が下がり始める前に足を引き上げるという、「早すぎる仕掛け」を採用。非常に対応力重視の打撃であることはわかるが、プロだとここまで早く動き出す選手は稀である。というのは、重心を下げ始める前に動き出すので、投手が投げるタイミングを変えて投げてしまうことが可能で狂わされる危険性が高いからだ。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を早めに引き上げて回し込み、真っ直ぐ~ベース側にインステップして踏み込んで来る。始動~着地までの「間」は充分過ぎるぐらいあり、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすいはず。真っ直ぐからベース側に踏み込むことからも、真ん中~外角よりに意識が強い選手なのだろう。

 踏み込んだ足元はカカトをめり込ませ、なんとか開きを我慢できている。また打球は、殆ど引っ張り中心だった。レフト方向にも長打が打てる選手だと訊いていたが、夏の予選を観る限り力んだのか? 引っ張り中心に打球が偏っている。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である、「トップ」を作るのは自然体で特に悪いところはない。グリップを打ちにゆく時に下に下げる動作が気になるのだが? これは古田敦也(元ヤクルト)のように意識的にボールを広く捉えるためにやっているのだろうか? 振り出しはインサイド・アウトではなく、遠心力を生かした大きな弧を描いたプロ仕様のスイング。外の球を強く飛ばすためのもので、上のレベルの強打者ならば身につけておきたいスイングはできている。外の球に対しては、バットの先端であるヘッドも下がることなくロスなく振れている。ただしスイングを観る限り打球は強烈だが、フォロースルーなどは使っておらずボールを運ぶタイプには見えないのだが・・・。

<軸> 
☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げはそれなりに大きいので、目線の上下動も結構動いている。体の開きはなんとか我慢できてはいるものの、上半身の強さに比べ、支える下半身はまだ弱い。軸足の内モモの筋肉は強く、強烈な打球を生み出している。


(打撃のまとめ)

 特に技術的には、大きな欠点はない。特に優れているのは、冒頭にも書いたようにインパクトの押し込みで、エネルギーを集約できるところ。それが、大きな力を生み出していると考えられる。現状は、内角の捌きがやや窮屈の割に、強引に引っ張りにかかっていた気がする。

 球団が思い描くほど打球が上がるタイプになれるのか?という疑問はあるが、パワフル素材だけに育ててみたいと思わせる強打者候補なのだろう。


(最後に)

 守備・走力がさほどなく、いかに打てるかにかかっているという感じはする。私がよくわからなかった捉えた時の飛距離と逆方向への打撃もできるとのことで、この辺はプロ入り後確認できればと思っている。

 育成枠を5人指名したソフトバンクが、いの一番で欲しかった選手。今後どのように育ってゆくのか、密かに注目してみたい。個人的には、指名リストに入れるほどの魅力は感じなかったが、私が☆をつけた長谷川宇輝(聖徳学園)投手や甲子園でも強打を発揮した田城飛翔(八戸学院光星)外野手より優先して獲得した素材だけに期待してみたい。


(2016年夏 愛媛大会)