16ky-24
松本 龍憲(崇徳3年)遊撃 175/72 右/左 |
「あまりピンと来なかった」 育成枠での指名なので、総合力で物足りないのはわかる。しかし何か光るものがあると思うから指名するわけで、そういった意味では私には、ソフトバンクが指名した 松本 龍憲(崇徳)遊撃手はピンと来ない選手だった。 (ここに注目!) スピード感溢れるプレーが売りの選手だが、プロで三拍子何か売りになるものがあるのは微妙という印象は残る。 走塁面:☆☆☆☆ 4.0 一塁までの到達タイムは、途中で緩めたものなどで参考になるほどのものはなかった。しかし本気で走ったと思われる三塁打の到達タイムは、11.5秒とまずまずの俊足。夏の広島大会では、出塁するとすかさず盗塁を仕掛けるが捕殺されていた。 確かにプロに混ぜても俊足だとは思うが、足を売りにできるほど絶対的なものがあるのかには疑問が残る。 守備面:☆☆☆★ 3.5 打球への一歩目の反応まずまずで、ニ遊間に必要なスピード感、軽快さは適度にある。しかし球際での強さがもう一つで、ドラフト指名される遊撃手としては、平均的な技量の持ち主ではないのか? 地肩は深いところから刺せる肩があり、中の上レベルの強さは持っている。 (打撃内容) 野手の間を鋭く抜けてゆく当たりが持ち味で、高校通算25本塁打を誇る。オーバーフェンスするというよりも、二塁打・三塁打が多いタイプ。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。背すじを伸ばしつつ、腰の据わり、全体のバランスとしては並ぐらい。両目で前を見据える姿勢は良く、球筋を錯覚を起こすことなく追うことができている。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が下る時に動き出し、ベース側につま先立ち。本格的に動き出すのは、リリーフ直前という極めて遅いタイミングで動き出す。ここまで遅いタイミングでの始動は、日本人の筋力やヘッドスピードでは厳しく、プロレベルの投手相手だと厳しいことになりそうだ。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足の引き上げは小さく、ベースから離れた方向にアウトステップして来る。始動~着地までの間がないので、どうしても 点 の打撃になる。狙い球を絞り、その球を逃さないことが求められる。 アウトステップするように、内角を意識した打撃。踏み込んだ足元はブレないので、アウトステップでも甘めの外角や低めの球を拾うことはできるはず。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」を作るまでが遅く、これでは速い球に対し立ち遅れてしまう。バットの振り出しはインサイド・アウトではなく、外の球を大きな弧で捉えにゆくタイプ。アウトステップするのも、この大きな弧を描くスイングなので懐のスペースに余裕をもたせたいからだろう。 外の球を捉えるのにはロスなく、バットの先端であるヘッドも下がらず広い面でボールを捉えることができている。タイミングさえ合えば、打ち損じは少ないのではないのだろうか。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。体の開きは我慢でき、軸足にも粘りが感じられるところは良いところ。 (打撃のまとめ) 始動の遅さ、トップを作るまでが遅く、プロのスピード・キレに対応するのには時間がかかりそう。スイング自体は、大きな弧を描いてブンと振ってくるので、まとも捉えれば二塁打・三塁打などの野手の間や頭を抜ける長打は少なくないのだろう。 (最後に) 守備・走塁でも、現時点ではプロで売りにできるほどかと言われると疑問。この辺は、プロの指導の元技術を高めに、守備・走塁で勝負できるまでの引き上げたい。 打撃もスイングだけ見ていれば、好打者というよりは強打者タイプ。果たしてプロで通用するスイングを身につけるのに、どのぐらい時間がかかるだろうか。個人的には広島の遊撃手というと、持田 大和(如水館)ならば指名があっても不思議ではないと思ったが、この 松本選手は完全にノーマークだった。試合の模様や幾つかの動画を観る限りは、指名リストに載せるほどの魅力は感じられなかった。うまく育った時は、同じ中国地区出身の 梶谷隆幸(DeNA)のような未来像を描いての指名なのだろうか。まずは、ソフトバンクの育成力に期待してみたい。 (2016年夏 広島大会) |