16ky-21


 




古賀 優大(ヤクルト)捕手のルーキー回顧へ







 古賀 優大(明徳義塾3年)捕手 178/75 右/右
 




                      「肩の強さは一級品」





 プロのスカウトが、捕手に1番に求めるものは地肩の強さ。そういった意味では、今年の高校生の中でも屈指の強肩捕手である 古賀 優大 。 打っても明徳義塾の中軸を任され続けてきた選手で、右方向にも打ち返すなど実戦的な打撃を魅せてくれる。


(ここに注目!)

 二塁まで到達するまでの、ボールの強さに注目して欲しい。アウトにできるできないはさておき、セカンドベースに球筋が衰えない送球は必見だ。


(ディフェンス面)

 どちらかというと、打撃よりもディフェンス面を評価されている選手。ミットを少しだけ投手に示したあと、グラブを下げてしまうので投手としては的をつけ難いのではないかという気はします。グラブも地面につけたりまではしませんが、構えたあとかなり下げてしまうので、ワンバウンド処理など低めへの対応は特別素早い感じはしません。

 ボールの押し込み、キャッチング全般でいえば平均レベルの捕手という感じ。しかし低めの難しい体勢からでのスローイングでも、送球を乱さないでコントロールできるだけの圧倒的な地肩があります。送球の多くは、1.8~1.9秒ぐらいでまとめることができる。送球に関しては、プロの捕手とくらべても遜色はありません。あとは、精度をなどを高めてゆけば、スローイングはA級の捕手に育つのではないのでしょうか。

 ランナーがいても座ったまま返球するなど、雑ではないのですが捕手に必要なきめ細やかさや配慮みたいなものはあまり感じられません。そういった意味では、投手陣に全幅の信頼をされるほどの捕手になれるかは微妙でしょう。それでもディフェンスに関しては、高校からのプロ入りを意識できる素材です。


(打撃内容)

 高いレベルでもまれきた選手なのですが、やはりどラフト候補としては打撃が弱い印象があります。しかし捕手というポジションを考えれば、右打ちなどの実戦向きな打撃も魅せ許容範囲であるように感じます。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 ほぼ両足を揃えカカトを浮かし、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合、全体のバランスも悪くなく、両眼で前を見据える姿勢は並ぐらいだろうか。選抜までは少しクロスに構えていたのを、軽くオープン気味にすることでボールを見やすく構えることに心がけている。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは典型的なアベレージヒッターが採用する仕掛けであり、確実性を重視しているのがわかります。幾分早すぎた始動を、夏は許容範囲へと変更してきました。その成果かはわかりませんが、夏の甲子園では16打数10安打.625厘と打撃でもアピールできました。

<下半身> 
☆☆☆ 3.0

 足を大きく引き上げて、軽くベース側に踏み出します。始動~着地までの「間」は充分あるので、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすいはず。軽くインステップして踏み込むので、少し外角寄りに意識が強いようです。踏み込んだ足元は、インパクトの際にも少し早く地面から離れてしまいます。そのため外角球でも右方向には打てますが、基本は高めの球を払う感じではないのでしょうか。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形は早く作れており、速い球に立ち遅れる心配はありません。更に自然体なので、リストワークに力みはないように見えます。

 バットの振り出しが、少し遠回りに出てくるのでスイング軌道にロスは感じます。バットの先端であるヘッドまでは大きく下がっていないので、ドアスイングというほどではないのですが。春よりもヘッドが下がってしまうのに気をつけて、打ち損じを減らすことができていたのかもしれません。

<軸> 
☆☆★ 2.5

 足の上げ下げはそれなりにあるので、目線の上下動は並ぐらい。少し開きが我慢仕切れないところと、軸足が前に崩れてしまい身体がツッコミやすいのは注意したいところ。

(打撃のまとめ)

 けしてスイングがひ弱ではないので、力負けしているというよりも技術的な未熟さを感じます。春よりも改善されているポイントも多いのですが、まだスイング軌道や軸の安定という部分に課題を残します。

 ボールを捉えるセンスなど特殊能力は感じない選手であり、将来的には打撃がネックでレギュラーまでは届かないかもしれない。プロで通用する打力を身につけるにしても、5年ぐらいはかかるのではないのでしょうか。


(最後に)

 明徳の先輩である・伊藤 光(オリックス)の高校時代と比べると、攻守にワンランクぐらいはスケールで見劣りします。しかしスローイングでは、ヒケを取らないでしょう。ドラフトでは4,5位級ぐらいかなという印象ですが、高校からプロに進むべき素材ではないのでしょうか。今年はA級の捕手が大学・社会人含めていないので、需要は高いように思います。同じ高校生捕手の逸材・九鬼 隆平(秀岳館)が打撃型ならば、こちらはディフェンスのウエートが高い選手だと思います。果たしてドラフト会議では、どのような評価がなされるのか気になります。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2016年夏 甲子園)









古賀 優大(明徳義塾3年)捕手の選抜レポートへ(無料)