16ky-17
石原 彪(京都翔英3年)捕手 169/87 右/右 |
「育成あたりなら指名ありそう」 中学時代U-15の日本代表で、4番を打っていたほど逸材。上背こそないが、ぽっちゃりとした捕手体型で 「京都のドカベン」 の異名とる強打者。夏の甲子園では緒戦で破れてしまったものの、レフト方向へ2本ヒットを放ち存在感を示した。 (ここに注目!) 中学時代から、世代を代表する強打者として鳴らす一方、強肩ぶりにも目を惹くものがある。特に今年は捕手の人材が乏しいだけに、オフェンス型ではあるが指名があるのか注目して頂きたい。 (ディフェンス面) ミットを投手に示し、そのグラブを地面に下げるような癖はありません。1球1球の押し込み、キャッチングはしっかりしていて、ワンバウンド処理も下からミットが出て悪くありません。ただ少し残念なのは、重苦しい体型のせいか? コースから外れた球に身体ついて行かない場面が目立ち、その辺が捕手としてどうなのかは心配になります。フットワークが、鈍いというのが致命的にならないと良いのですが・・・。 やはり強打の捕手としてやってきたせいか? ランナーがいても座ったまま投手に返球したり、試合がワンサイドになるプレーが雑になったり、ボール処理の際の指示ももっと捕手らしく明確に記すべきかと。そういった意味で、捕手としての適性に関してはあまり買いません。ただし地肩は素晴らしく捕ってかも素早いので、塁間1.85秒前後で投げ込めるなど、ただ打つだけの選手ではありません。あとは、もう少し精度が上がってくればプロでもスローイングでも目立つでしょう。 そういった意味では、捕手的性格かとかフットワークの点で不安は残るものの、キャッチング・スローイングに関しては良いものを持っており、思ったよりも悪く無いじゃないかという評価にはなると思います。プロでレギュラーを任せられる捕手になれるかには疑問は残りますが、打撃が良いのでこのぐらいのディフェンス力でもO.Kを出す球団は出てくると考えます。打撃が目立つようであれば、いずれはコンバートも視野に入れて。 (打撃内容) 甲子園での試合を見る限りは、引っ張りに徹したプルヒッターという印象は受けます。高校通算40本以上を誇るように、上手く巻き込んだ時はスタンドインできる長打力があります。 <構え> ☆☆☆ 3.0 スクエアスタンスで両足を揃え、グリップを高めに添えます。腰を深く沈め、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスと並ぐらいでしょうか。 <仕掛け> 平均 投手の重心が沈みきった時に動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。本質的には、スラッガーというよりも中距離タイプなのでしょう。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足を大きく引き上げて、真っ直ぐ踏み込んできます。始動~着地までの間はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも打ちたいタイプかと。 踏み込んだ足のつま先は引っ張りを常に意識しているので、どうしてもインパクトの瞬間に動いてしまいます。引っ張るにはそれで全然構わないのですが、これで外角へ逃げてゆく球や低めの球に対し、対処できるのかに不安が残ります。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れません。しかし振り出しは、身体から遠回りにまわっており、インパクトまでにロスを感じます。それでもバットの先端であるヘッドは下がらずに広い面でボールを捉えられ、打ち損じは少ないタイプ。大きな弧を描いて、強烈な打球を生み出します。 気になるのは、引っ張りオンリーの割に、バットが内から出てこないので内角に強くないということ。そのため引っ張り込める程度の真ん中~外寄りの甘い球じゃないと捌けないわけで、打てるポイントが限られているのは気になります。 <軸> ☆☆☆ 3.0 足を大きく上げる割に、目線の上下動が静かなのは非凡なところ。身体の開きが我慢できないのは気になりますが、軸足の内モモの筋肉が発達しており、強烈な打球を生み出します。 (打撃のまとめ) 技術的には粗っぽく、まだ打てる球は限られていそう。その辺をプロ入り後、どのように幅を広げて行けるかでしょう。それでもプロのスピードに力負けしないであろう振れるスイングをしており、U-15の4番を任せられるほどの根本的な打力があるのは魅力を感じます。時間を経てゆけば、いずれは打撃で強烈な存在感を示しても不思議ではありません。 (最後に) 現状攻守に粗く、捕手としても小さいことを考えると本会議での指名となると首を捻ります。しかし打てる捕手になれる資質はありますし、肩も良い。育成あたりならば、面白いのではないかと考える球団が出てきても不思議ではありません。 私自身は指名リストに入れませんが、育成ならばアリなのではないかと思います。また性格的にも、アマでちまちまというよりはプロでこそ個性が伸ばされるタイプではないのでしょうか。 (2016年夏 甲子園) |