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細川 成也(DeNA)外野手のルーキー回顧へ







細川 成也(明秀日立3年)外野 177/78 右/右 
 




                       「振る力は持っている」





 今年の高校生の中でも、その長打力は屈指と言われているのが、この 細川 成也 。あと一歩で甲子園を逃したが、もし出場を決めていたら凄く話題になっていた選手だろう。高校通算63本塁打のパワーを、全国でアピールできなかったことは残念でならない。最後の夏は、投手に専念していて打撃でアピールできたのは大会の終盤戦。破れた決勝の常総学院戦でも、ノーヒットに終わっている。


(ここに注目!)

 技術で運ぶというよりは、腕っ節の強さを活かし思っきり引っ叩く。それでいても右に左にもスタンドインできる、パワーを持ち合わせている。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、右打席から4.5秒台。これを左打者に換算しても、4.25秒以上ということで、走力はあまり期待できない。プロに混ぜれば、中の下ぐらいの走力とみて良いだろう。長打力で勝負するタイプだけに、それほど気にしなくても良い部分だが。

 残念ながら試合の模様をみた常総学院戦では、投手として完投してしまった。そのため外野手としての守備力は、正直よくわからない。しかしフィールディングを始め各動作を見ていると、それほど俊敏だったりセンスは感じない。そういった意味では、やはり内野手よりも外野手向きなのだろう。打球勘や落下点までの入りはわからないが、投手でも140キロ台を連発できる馬力はあるので、かなりの強肩であることは間違いない。将来的には、右翼及び左翼手あたりでのプレーが期待される。


(打撃内容)

 打者としては、古澤 勝吾(九州国際大附-ソフトバンク)や 平田 良介(大阪桐蔭-中日)などのような、腕っ節の強さを活かしたパワフルな打撃が持ち味。ただし打球が上がるのは、金属バットの反発力の恩恵も、結構大きいのではないのだろうか。 古澤よりは打球が上がる印象があるが、目指すべきスタイルは 平田 のようなプレースタイルかもしれない。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えてバットを倒して構えている。腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢はよく、全体のバランスとしては並ぐらいだろうか。見た目は、わかりやすいブリブリの強打者といった感じ。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手の重心が下るときにベース側につま先立ちし、本格的に動き出すのはリリース直前という「遅すぎる仕掛け」。これで日本人の筋力やパワーで、プロレベルのボールを打ち返すにはあまりにも遅い仕掛けだといえよう。将来的には始動を早める方向で、対応してゆくことになってゆきそう。

<足の運び> 
☆☆ 2.0

 小さくステップし、ベース側に踏み込んできます。始動~着地までの余裕がないので、どうしても 点 の打撃になってしまいます。よほど狙い球を絞り、その球を逃さないことが求められます。ベース側に踏み込むインステップを採用しているように、外角の球への意識が強いことがわかります。しかし踏み出した足元が、上半身の強さに負けてしまいインパクトの際にブレてしまう。こうなると外角の厳しい球や、低めへの対応は開きが我慢できず厳しいはず。恐らく右方向への長打は、高めの球を払うように叩いているのではないのでしょうか。

<リストワーク> 
☆☆ 2.0

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、始動の遅さを補うことができている。しかしバットの振り出しは、バットの先端であるヘッドが下がってしまい遠回り。なんとかインパクトの瞬間にはヘッドの下がりを戻し、ドアスイングになるのは防げている。

 スイングの弧は大きく、バットをフルスイング。しかしフォロースルーなどを使ってボールを運んでいるわけではなく、思っきり引っ叩く粗っぽいスイング。これだと、木製バットで思ったほど長打が期待できるのかは微妙かと。

<軸> 
☆☆★ 2.5

 足の上げ下げが小さい割に、目線は結構動いてボールを追いかけてしまう。上半身の力に下半身が負けてしまい、足元がブレて開きが我慢できない。軸足も不安定ながらも軸足の内モモの筋力の強さは感じられるので、その点でボールを遠くに飛ばせる才能は持っているのかなと。

(打撃のまとめ)

 理屈抜きにバットを強く振れるというだけの、筋力と体力はあるのは非凡なところ。その一方で、まだまだ上体の力に頼った金属打ちであり、これから打撃を修正してゆくことが求められる。そういった確実性が将来的に身につくのか? 修正したところで持ち味が消えないのかと考えると、いろいろな意味で微妙な選手ではあるように思える。足元がブレるぐらい振るのであれば、引っ張りに終始するぐらいの山田哲人(ヤクルト)のような割り切りが必要だろう。広角に打ち返すのを持ち味とするのならば、外角の球を捌く時は足元のブレを防ぐ下半身を作り上げたい。


(最後に)

 ボールを捉える技術・センスという意味では、個人的にどうなのか?という疑問は拭えなかった。その一方で、バットを振る力は確かにあるだけに、こういった貴重な人材を球界は育ててゆかなければならないだろう。

 ドラフトでは3位前後ぐらいでは指名されそうな勢いだが、個人的にはあまり入れ込むのには怖い素材だと感じている。かなり出会う指導者なり進む環境によって、プロでの結果も変わって来るのではないのだろうか? 確実に大成するといった、A級の素材ではなかった。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2016年 茨城大会)









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