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三森 大貴(ソフトバンク)内野手のルーキー回顧へ






三森 大貴(青森山田3年)遊撃 185/70 右/左 





                     「当てる能力は相当高い」





 神宮大会では線の細さが気になる体格ながら、信じられないぐらいの強烈な打球が際立っていた 三森 大貴 。しかし注目された選抜の舞台では、最終打席にセンター前にはじき返したヒット一本で緒戦で姿をけした。それでも彼の能力を高く評価していた、ソフトバンクからドラフト指名されることになる。

走塁面:
☆☆☆☆ 4.0

 一塁までの到達タイムは、3.9~4.0秒台ぐらいで走り抜けるなど相当速い。新チーム結成以来の秋の成績では、196打席でチーム最多の23盗塁を記録。これをプロのレギュラー選手並みの500打席で換算すると、59個ペースで1シーズン走っていることになる。

 当然高校とプロでは、バッテリー間の牽制・クィック・捕手のスローイング能力なども格段に違う。この数字は高校生としては図抜けた数字ではないものの、充分プロでも中の上~上の下ぐらいの走力はあると観て良いだろう。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 神宮大会の時には、まだ無駄な動きが多かった。しかしその辺は、ひと冬越えてだいぶショートが板についてきている。けして肩の弱い選手ではなかったが、難しい体勢からの送球には不安があった。守備は確かにうまくはなっているが、プロを想定すると二塁か外野あたりが適正な守備位置ではないのだろうか。


(打撃内容)

 秋~春にかけて、メカニズム的には殆ど変わっていません。オフの間の寸評でも、センバツ後の高校野球.COMでのレポートでも打撃フォームの分析はしているので、今回は少し志向を変えて彼の可能性を模索してみたい。彼の新チーム結成以来の成績は

54試合 196打数 7本 19四死球 7三振 打率.495厘 

 196打席で三振は7個ということで、三振比率は 僅か3.6%。15%以内ならば優秀というなかで、この数字は驚異的であり、ボールをバットに当てるコンタクト能力が図抜けていることがわかってくる。その彼が、センバツの舞台では4打数で2三振をきしていたという珍しいことだった。

 また196打数で四死球は19個ということで、四死球比率は9.7%と10%台には僅かに届いていない。ボールを見極める眼も悪くないが、彼は四死球を選ぶというよりも4番であるので、結果を残すことを重視したからかもしれない。その分三振比率が驚異的に低いので、四死球比率が驚くほどではないのを気にすることはないだろう。

 196打席で7本塁打。これをプロの規定打席である500打席で換算すると、1シーズン18本程度なのがわかってくる。時々ツボにハマればスタンドインの可能性は秘めているものの、本質的には強烈な打球で野手の間を抜けてゆくタイプなのだろう。

 ただし神宮大会などを見ていると、引っ張って巻き込んだ時は長打を。流す時は実に綺麗流す好打者になる傾向が。


(最後に)

 守備に関しては並なものの走力は基準以上であり、プロの環境に慣れれば年間10~20盗塁はできそうな走力はある。何よりこの選手が非凡なのは、細身なのに強烈な打球を放つことができるということ。そしてボールを捉える、コンタクト能力の高さにある。これだけ細身でも打球が強烈なのは、それだけバットの芯で射抜く能力が突出している可能性がある。

 そう考えると現時点では多大な評価はできないものの、プロでその才能が大きく花開くことがあるかもしれない。そういった部分を期待して、指名リストに名前を残してみたいと思わせる選手だった。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2016年 センバツ大会) 









三森 大貴(青森山田3年)遊撃手の選抜レポート(無料)へ






 三森 大貴(青森山田2年)遊撃 181/64 右/左
 




                    「あの細身の体から」





 見るからに線の細い体型からは信じられないぐらいの、鋭いヘッドスピードを誇る 三森 大貴 。全国の高校生の中でも、そのスピードは屈指のレベルにあるのではないのだろうか。ただ鋭く振りぬくだけでなく、柔らかく膝を使い綺麗にレフト方向へ流すバッティングも魅せる。選抜大会でのアピール次第では、高校からのプロ入りも現実味を帯びてくる。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、左打席から3.9秒前後に到達。秋季東北大会では、4番打者でありながら5試合で5盗塁と走りまくった。180センチ台の大型内野手ながら、トップスピードに乗るのが速い。上のレベルでも、充分通用する脚力の持ち主だろう。

 その走力に対し、遊撃手としては心もとない。ボールを丁寧に処理しようと正面に回りこむのは良いのだが、動作の切り返しが遅く、際どい当たりだと内野安打を許してしまう。またボールを捕るまでも、何かおっかなびっくりしている印象で、一冬越えてどのぐらいの守備力になっているのか注目したい。地肩自体は、遊撃手としても基準レベルの強さは持っている。

 現時点では、ドラフト候補としては走力は上の下ぐらい、守備力は中の下 ぐらいの印象だろうか。


(打撃内容)

 神宮大会の東邦戦では、ライトフェンス直撃のツーベースを放った。その次の打席では、綺麗にレフト前に流して魅せるなど、幅の広い打撃が持ち味。4番打者ではあるが、けして飛距離で魅了するタイプではなく、バットコントロールとヘッドスピードの速さが売り。

<構え> 
☆☆☆

 前足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰を沈め、両目で前を見据える姿勢は良い。ただし全体のバランスとしては、大きな体を持て余し気味で、あまり格好の良いスッとした構えではない。あえて泥臭いプレーを目指すのならば、これでも良いとは思うのだが。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が下がりきった時に動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。これは、ある程度の確実性と長打力をバランス良く兼ね備えた中距離ヒッターやポイントゲッターが多く採用する。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 足を大きく引き上げ、まっすぐ踏み出して来る。始動~着地までの間はそこそこあり、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応できるはず。まっすぐ踏み出すように、内角でも外角でも幅広く対応したいタイプ。

 踏み出した足元はブレないので、外角の厳しい球や低めの球にも、体を残して上手く流すことができる。緩急にもコースにも、そして打球の方向にも幅があり、穴な少ない打者だと言えるであろう。

<リストワーク> 
☆☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのが、少し遅れがちなのは気になる。こうなると速い球への対応が、立ち遅れる心配が生じる。それでもバットの振り出しは、上からミートポイントまでロスなく振り下ろされるインサイド・アウト。それでも内角だけでなく外角の球に対しても、バットのヘッドを立て、頭を残して上手くレフト方向に流す。

 それほど大きな弧を描いたり、フォロースルーを使うことはなく、最後までしっかり振りぬいてくる。あの体型であれだけのヘッドスピードを持っているのだから、更に一冬超えたらどうなるのか本当に楽しみ。

<軸> 
☆☆☆

 足の上げ下げが大きいので、目線の上下動はそれなりにある。それでも開きを我慢でき、軸足にも粘りが感じられる。しっかりとらえた打球は、打ち損じすることなく射抜く。

(打撃のまとめ)

 柔らかさと鋭さを兼ね備え、バットコントロールの高さには目を見張るものがある。神宮大会でプロを意識できると思わせてくれた野手は、藤嶋健人(東邦)投手のパワーと、この三森のヘッドスピードぐらいだった。


(最後に)

 体格にも恵まれ、体が逞しくなってくれば非常に楽しみな素材。遊撃手としてはまだ心もとないが、一冬越えて破綻のないレベルまでくれば、走力と打力で候補に押し上がって来るだろう。

 選抜で、どのような活躍を魅せてくれるのか? 夏までにどのぐらい凄みを増して来るのか、期待せずにはいられない。ぜひ選抜の舞台では、注目して頂きたい。


(2015年秋 神宮大会)