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高山 優希(大阪桐蔭3年)投手 180/70 左/左 |
「なおまだわからない」 神宮大会の模様をみてオフに作成した寸評には、この選手の未来像が見えてこないと書いた。一冬越えた選抜をみれば、もう少し青写真が描けるものと思っていた。しかし選抜を見終わってもなお、この選手の将来像が見えて来ない。 (ここに注目!) よくわからないというのは、私に限らず関係者に訊いても似たような返事が返って来る。この選手は大物なのか? それとも中途半端な選手なのか? ぜひ自分の目で見極めて頂きたい。 (投球内容) 非常に手足の長い、投手体型のサウスポー。185センチぐらいには見える体格も、実は180センチとそれほど身体が大きいわけではないことに驚く。 ストレート 135~MAX144キロ ☆☆☆ 3.0 特に手元でグ~ンと伸びてくるとか、ピュッとキレるという空振りを誘えるほどの球質ではない。その辺は選抜の2試合・19回1/3イニングで、17奪三振と思ったほど多くないことからも伺われる。1イニングあたりの奪三振は、0.88個ともちろん数字自体は低くない。それでもドラフトでそれなりの評価で入ろうという左腕ならば、イニングに近い奪三振を奪っていても全然不思議ではないからだ。 それでも手元でビュッと来る感じの勢いは感じられるし、何より長い腕が邪魔して実にタイミングが合わせ難い。むしろこの投手は、その球自体よりも、そのフォーム・体型が打者にとって厄介なタイプなのではないのだろうか。ストレートのコマンドは、適度に両サイドに散っているものの、全体的に高めに集めまりやすい傾向にあるようだ。 変化球 スライダー・チェンジアップ ☆☆☆ 3.0 この選手の三振は、速球よりも変化球で奪っている。横に曲がり幅の大きなスライダーと、右打者外角に沈ませるチェンジアップを持っている。それにたまに、緩いカーブを織り交ぜて来る。変化球自体のキレ・曲がりはそれほどでもないのだが、チェンジアップは右打者の外角低めに沈ませることができ、その精度は高い。この選手の1番良い球は、このチェンジアップなのではないのだろうか。 その他 牽制はそれほど鋭くなく、フィールディングも上手い部類ではない。クィックも1.3秒台で投げ込むなど、正直遅い部類。しかしランナーを背負ってもバタつくことはなく、走者にもしっかり目配せをして対処できている。それだけに、想像以上に走者はスタートがきりにくいのではないのだろうか。 (投球のまとめ) 選抜では19回1/3イニングを投げて7四死球だったように、四死球率は36.2%(基準は33.%以下)と、それほど繊細なコントロールがあるわけでも、微妙な駆け引きができるような投球術があるわけでもない。 そうかと言って、何が凄みのある球を連発するわけでもない。しかし何か相手からしてみると、気持ち悪さが残る投手であり、被安打率も67.4%と少なめで掴みどころがない。荒れ球で的が絞りづらく、長い腕を活かした打ち悪さこそこの投手の真骨頂なのだろうか? (最後に) 細かいことができるわけではないのだが、昨秋の神宮大会の時に魅せたように、ピンチになればリミッターを解除して腕を強く振りきって150キロ級のボールを投げ込んできたりもする。選抜の土佐戦でも、ノーアウト・ニ・三塁のピンチを切り抜けたように、さすが大阪桐蔭のエースと思わせる、ここぞの気持ちの強さが感じられる。 なんとなくイメージはつかないのだが、悪いうよりは良い方に転んで、こんな凄い投手になったのかという風に驚かされそうな気がする。明確な根拠はないが、そういった秘めたる可能性を感じさせてくれる選手ではないのだろうか。しかし現時点では、物凄く高い評価はしずづらい。それでもドラフト当日は、3位前後ぐらいで指名されるのではないのだろうか。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2016年 選抜) |
高山 優希(大阪桐蔭2年)投手 180/77 左/左 |
「未来像が描けない」 神宮大会・高松商業戦では、リリーフで登場しMAX150キロを記録。その前の木更津総合戦に先発した時のMAXは、141キロ程度でイメージを一変させた。 そっぽを向かない岡島秀樹 みたなフォームからは、彼の未来像がどうしても私にはイメージできない。一体、どんな投手に育ってゆくというのだろうか? (投球内容) ギクシャクしたフォームのせいなのか? ボール先行で投球の収まりが悪いのが気になる。 ストレート 130キロ台後半~MAX150キロ この投手のボールも、打者の手元までグッと来る感じがする球質ではない。そのため145キロ以上投げて来ないと、なかなか見栄えがしない。ストライクゾーンの枠の中には投げ込めるものの、コースの投げ分けもアバウトで、ボールが上吊ることも少なくない。ただしこの投手、腕を振って思いっきり投げた方が、低めに集まるという不思議な投手でもある。 変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップ・フォークなど 横滑りする120キロ台のスライダー、それにフォークの落ちが悪いのか?それともフォークとは別なのかわからないが、右打者の外角に沈むチェンジアップような球がある。時々左腕らしい大きなカーブを投げたり、縦に綺麗に落ちるフォークもたまに観られる。 変化球もまだ発展途上という感じで、思い通り曲がってくれたり、コントロールできているとは言い難い。そのため絶対的な信頼度は、どの変化球にもない。 その他 牽制の動きはぎこちなく、けして上手くない。フィールディングの動き、判断力も微妙で、見ていて危なっかしい。クィックも1.2秒~1.3秒ぐらいとやや遅いのだが、これは一塁走者が見て投げる左投手にはよく観られる傾向。 しかし全体的に、細かいコントロール、微妙な投球術、野球センスが感じられるプレーヤーというよりも、まだまだ持ちえる能力に頼ったプレーヤーという感じは否めない。 (投球のまとめ) かなりコントロールのバラつきが顕著なので、一冬越えてどのぐらいまとまって来るかだろう。また先発でも、もう少しボール1つ1つに見栄えがするようになって欲しい。150キロを記録したと言っても、それはリリーフでの話。先発では、まだまだ上位指名確定的とか、そういった投球ではないということ。最終学年での成長ぶりで、評価は上下に大きく動くことになりそうだ。 (投球フォーム) かなりフォームに課題がありそうなので、原因を追求してみたい。 <広がる可能性> ☆☆☆ 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の三塁側への落とし(左投手の場合は)はできていない。したがって身体を捻り出して投げる、カーブやフォークといった球種には適さないフォーム。 「着地」までの粘りは平均的で、身体を捻り出す時間も並ぐらい。キレや曲がりの大きな変化球の習得には、正直疑問が残る。そうなると変化球が投げられても、絶対的なボールが身につかず伸び悩む可能性は大きい。 <ボールの支配> ☆☆☆ グラブが投げ終わったあと身体から離れてしまって、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込めていない。そのため両サイドの投げ分けは不安定になり、実際かなりアバウトになっている。 足の甲では地面を押し付けられているので、力を入れてもボールは上吊り難い。神宮大会緒戦の木更津総合戦では、力をセーブして投げているのにボールが上吊っていた。しかし140キロ台後半を連発した高松商業戦では、膝下に集まるなど高低のコントロールの違いはこの部分に原因があるわけではないのかもしれない。 「球持ち」は並ぐらいで、投球を見る限り指先の感覚に優れているようには見えない。現状は、コントロールに課題があるサウスポーといった印象は拭えない。 <故障のリスク> ☆☆ お尻が落とせない割に、カーブやフォークといった球種を投げる。そのため捻り出すスペースが確保出来ておらず窮屈になり、肘への負担が大きくなりやすい。現状はまだ、それほどカーブやフォークに依存した投球ではないので、悲観するほどではないのかもしれないが。 腕の送り出しも極端にはないにしろ、やや肩に負担のある投げ方。このへんに無理がたたると、影響が出てくるのではないかという気もするがどうだろうか? いずれにしても、体のケアには充分注意してもらいたい。 <実戦的な術> ☆☆☆ 「着地」までの粘りは平均的で、打者からはそれほど苦にならない。それでも「開き」も早過ぎることはないので、コースを間違わなければ、痛手は食らわないのではないのだろうか。 長い腕を持っているので、腕をもっと振れれば身体に巻き付いてきても良いはず。腕の振りがまだ弱いので、速球と変化球の見極めは難しくはない。ボールへの体重の乗せも発展途上であり、まだまだ打者の手元までグッと来る感じのボールが投げられていない。一冬越えて、この辺がどのぐらい変わってくるだろうか? (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち「開き」「体重移動」では、「体重移動」にもう少し改善が欲しい。あとの部分も並であり、改善の余地は残されている。別の言い方をすれば、まだまだ良くなる伸び代が残されている。 (最後に) 現状私には、この投手が今後どうなってゆくのか想像ができない。恐らく選抜ぐらいには、おおよその形がうっすらと浮き彫りにはなって来るとは思うのだが。左腕から150キロという言葉が一人歩きして行きそうだが、まずは足元を見据え投球の基礎を磨いて欲しい。 まだまだ良くなれる余地が残されているだけに、そこに気がつき、いかに伸ばせて行けるのか?そういったことを伸ばせる環境にいると思うので、春までの成長を今は待ちたい。彼あたりが伸びて来るようだと、ドラフト戦線もグッと盛り上がるのではないのだろうか。 (2015年秋 神宮大会) |