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藤嶋 健人(中日)投手のルーキー回顧へ







藤嶋 健人(東邦3年)投手&右翼 175/78 右/右 





                        「打撃で存在感」





 神宮大会では、神宮球場の中段に連発してぶち込み世代屈指の強打者であることを強烈に印象づけた。しかし選抜では、投手として力を注ぎ、打席ではミスショットが多く精彩に欠く内容。しかし最後の夏は、あわや後一本シングルヒットが出ればサイクル安打を記録する場面で、ツーベースを放つなど打撃で存在感をアピール。大会を通じても14打数8安打・打率.571厘をマークして、打撃で再び輝きを取り戻した。私は一環して、この選手を野手としてしか興味を持ったことがない。そこで今回も、野手・藤嶋 健人 として最終寸評を行ってみたい。

(ここに注目!)

打ち出したら止まらない、爆発力のある打撃に注目して欲しい! 

走塁:
☆☆ 2.0

 この選手を見ていて、際どい当たりというのを見たことがない。そのため本気で一塁まで駆け抜けたのを見たことがないので、正確な到達タイムがわからない。そんななかでの一塁到達タイムは、右打席から4.7~4.8秒ぐらいが多く、これは左打者で換算すると、4.55~4.65秒ぐらいと極めて遅い。実際走っている姿をみても、とても上のレベルで足を売りにするようには見えて来ない。しかしこの夏の愛知予選の5試合で2盗塁を決めたり、光星戦でも盗塁を仕掛けるなど、その走力以上に盗塁を試みてくる印象はある。

守備面:
☆☆★ 2.5

 この選手の打球への反応、落下点までの入りなどを見ていると、可も不可もなしといった感じ。しかし走力の無さからも、プロなら左翼手あたりではないかという気もし、守備範囲は広くない。投手として140キロ前後は連発できるように、地肩はかなりの強肩なのだが。

 本当は右の強打者だということで、三塁あたりが守れるようだと良いのだが。しかし打球への反応や投手としての動きを見ていても、その辺は微妙かという印象は受ける。プロ入り後三塁を試される可能性は充分あるが、結局は外野に収まるという可能性も無きしもあらず。しかしそれ以上に厄介なのは、本人が投手志向が未だに強いことで、その割り切りがどの段階で出来るかではないのだろうか。


(打撃内容)

 基本はセンターからレフト方向への打撃だと思うが、高めの球ならば右方向にも飛ばすことができる。将来的には、広角に打ち返す中距離タイプの打者になるかもしれない。しかしまともに捉えた時の飛距離は、高校球界でも指折りのものがある。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰は適度に据わっているが、全体のバランス・両目で前を見据える姿勢は並ぐらい。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がっている時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。春よりも若干始動が早くなり、より確実性を重視しているのが伺える。基本的にこれは、アベレージヒッターに多く観られる仕掛け。

<足の運び> 
☆☆★ 2.5

 足を引き上げ、ベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でも合わせやすい打ち方に。ベース側に踏み出すように、外角寄りの球に意識があるのがわかります。多少変化に応じて、踏み込むタイミングを図っているようなので、対応力は低くありません。

 気になるのは、踏み込んだ足元がインパクトの際にブレて開きが抑えられないこと。こうなると外角に逃げてゆく球や低めの球を捌くのは厳しくなります。元々腰の逃げが早く手打ちになってしまう欠点が選抜の時から目立ったのですが、少しインステップして踏み込むことでこの欠点を補おうとした跡が伺えます。以前はカカトをめり込ませてでも開きを抑えていたのが、夏はできていなかったのが気になります。結果を求め過ぎて、少し粗くなっていた可能性があります。

<リストワーク> 
☆☆★ 2.5

 早めにグリップを捕手側に引いて、トップの形を作ろうとします。しかしトップ自体はあまりきっちり作れないまま打ち出す、ボールとの距離間を作るのが下手な選手に見えます。バットの振り出し自体も、少し身体から離れて外回りにまわるドアスイング。インパクトの際にもバットの先端であるヘッドが下り気味で、ミスショットは多いのでしょう。

 最後までしっかり振り切れているのは良いのですが、大きな弧を描くとか、フォロースルーを使ってボールを遠くに運ぶとかそういったスイングではありません。あくまでも体幹の強さと金属バットの反発力、腕っ節しの強さで打球を叩き潰している感じです。

<軸> 
☆☆ 2.0

 足の上げ下げはあるので、目線の上下動はそれなり。身体の開きが我慢できず、軸足も適正な場所に戻そうと後ろにずらして振ったりしています。体軸を起点に、綺麗な回転で打てているわけではありません。

(打撃のまとめ)

 選抜では平凡な外角球でも空振りしていたように、根本的なボールを捉える能力に疑問を持ちました。しかしこの夏は、平凡なボールならば、かなりの確率で捉えられる精度の向上は感じます。これに元々持っていた爆発力が加わり、この夏の活躍に繋がったと考えられます。少なくても神宮大会の輝きは、最後の夏に取り戻したと言えるのではないのでしょうか。


(最後に)

 ボールを捉える対応力の低さや、技術的な粗さは正直今も気になります。しかし投手としては、それほどもう伸びしろを感じないので、やはり将来性を考えると断然野手だと評価します。

 しかし本人の割り切りがなければ、野手に専念させたところで中途半端な結果に終わるでしょう。そこでまずはプロでは投手としてやらせてみて、その適正をみてコンバートという段階を踏むと考えられます。

 貴重な右の強打者候補なので、その才能を活かしたいと考える関係者も少なくないはず。三塁あたりができると面白いのですが、結局は右翼か左翼あたりに収まるのではないかという気がしています。個人的には野手としてもリスキーな素材だと思うので、そこまで高い評価はできません。しかしキャラのたつ選手ですし、思考的にはイケイケで野手向きの性格だと評価します。ドラフト的には、中位ぐらいでの指名があるのではないのでしょうか。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2016年夏 甲子園) 





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藤嶋 健人(東邦3年)投手&右翼 176/80 右/右 





                     「ミスショットが多過ぎる」





 センバツ大会の中でも、その打撃が最も注目された 藤嶋 健人 。 神宮大会では、圧巻の飛距離を印象づけた。しかしこのセンバツでは、期待された1発は出ず、物足りないまま甲子園をあとにした。何より気になるのが、外角のストレートに対し、当たらないことが多いということ。このミスショットの多さは、調子や技術云々の問題ではなく、かなり根本的な資質の問題なのではないかと危惧する。


(守備・走塁面)

 一塁までの到達タイムは、右打席からとはいえ4.7~4.8秒ぐらいかかっている。むしろ本気で、最後まで全力で駆け抜けていることも少ない。しかし実際に走っている姿を見ても、実に遅い。むしろ新チーム結成以来の47試合で、6盗塁を記録していることの方が驚き。上のレベルで、足を売りにすることはないだろう。

 右翼手としても、この脚力のため守備範囲は広くない。打球への反応、落下点までの入り方などを見ていても、可も不可もなしといった感じで上手くはない。投手をやっていてフィールディングなどの動作・反応は悪く無いので、将来的には 三塁手で鍛えてみたい と思わせるものはあった。


(打撃内容)

 2戦目の明石商戦では、吉高投手の低めのスプリットを上手くセンター前にはじき返したり、カーブを突っ込むことなく左中間に放って見せたあたりには、意外な対応力をあることを改めて実感させられる。

<構え> 
☆☆☆ 3.0 

 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・全体のバランスとしては並だが、両目で前を見据える姿勢は悪く無い。構えとしては、懐を深く取れており、昨秋とさほど変わった印象はない。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下がりきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を、バランスよく兼ね備えた中距離ヒッターが多く採用する。元来この選手は、生粋のスラッガーというよりも、勝負強さを売りにするポイントゲッターなのかもしれない。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足をひきあげて回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの時間はそれなりにあり、速球でも変化球でもソコソコ対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角の球でも外角の球でも打ちタイプ。特に踏み込んだ足元もブレないので、外角の厳しい球や低めの球にも喰らいつけます。現に明石商戦では、吉高の低めのスプリットに上手く拾うことができていました。足元のブレは、カカトを地面にめり込ませ、なんとか踏ん張れているといった感じ。

 しかし選抜で観戦していて、一つ大きなことに気がつきます。外角の球にミスショットが多いのは、腰の逃げが早く完全に外の球を捌くときに手打ちになってしまっていたということ。そのため上手く引っ張り込める球が来ないと、脆いのだということ。このため実際には、外角に逃げゆく球や外の厳しい球は苦手なのではないかと考えられる。更に根本的に、速い球への対応を苦手としているふしがある。

<リストワーク> 
☆☆ 2.0

 神宮大会の時には気にならなかったのだが、打撃の準備である「トップ」の形を作れないまま振り出している。準備ができないまま振り出すので、実に打撃が中途半端になりがち。神宮大会の時は、違和感なく自然体で振れていたように見えたのだが。

 バットを振り出す時もヘッドが下がっているので、どうしてもボールを捉えるまでに遠回り。ボールも広い面で捉えられず、打ち損じも少なくない。それほどスイングの弧が大きいとかフォロースルーを使うとかそういったタイプでもない。内角を上手く巻き込むのは悪くないが、配球の7割を占める外角の球をきっちり捉えるのには適していない。

<軸> 
☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げはそれなりで、目線の上下動は結構ある。体の開き・軸足の形も並であり、内モモの筋肉の強さは感じられるものの、軸を起点に綺麗に回転できているとはいえない。

(打撃のまとめ)

 上手く巻き込めた時は驚きの飛距離を残すものの、打撃の基本である外角球への対応はいまいち。それでも低めの変化球やカーブに対しては上手く対応できていたので、速球をきっちり叩けるスイングを身につけられるかがポイントではないのだろうか。


(最後に)

 高校からプロにゆく素材だろうし、投手ではなく野手として期待される。しかし走力に欠け・守備も並であること、更に根本的な対応力に欠点を持っており、あまり高い評価はできない。しかしこの選手の場合、変化球などへの対応が脆いわけではない。むしろ速球に対する、ミスショットを減らす、確実に叩けるスイングを身につけられるかではないのだろうか。果たして評価を、夏に向けて取り戻すことができるのか? 最後まで、追い掛けてみたい。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2016年 センバツ) 










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藤嶋 健人(東邦2年)投手&右翼 176/75 右/右 (東邦出身) 
 




                      「圧倒的な体の強さ」





 神宮大会緒戦・秀岳館戦で魅せた、2打席連続ホームランは、圧巻の飛距離だった。体幹の強さを活かした、パワフルな打撃が売り。将来性では、ダントツ野手の素材だろう。イメージ的には、東福岡時代の 村田 修一(巨人)内野手を彷彿とさせる。

(守備・走塁面)

 あんまり全力で駆け抜けないので、右打席から4.7秒台ぐらいのタイムしか出ておらず参考にならない。しかし走っている時の姿を見る限り、足はプロに混ぜるとかなり遅い部類なのではないのだろうか。実に重苦しく、プロの外野手としてはちと心配。

 右翼手としての動きを見ていると、可も不可もなしといった感じ。しかし上記にも記載した通り脚力がないので、将来的には三塁手あたりの方が良いのではないのだろうか。フィールディングや牽制などの動きを見ていると、まずまずの動きを見せるので。地肩は、140キロ台のボールを連発するように、相当強いのは間違いない。


(打撃内容)

内角寄りの球はどうかな?と思ってみていたが、脇を閉めて無理に開かずとも素直に振り抜けていた。外角に強いのは緒戦の秀岳館戦でわかっていたので、内角にも苦手意識を持っていないのは収穫。飛距離は、神宮球場の中段にポンポン叩き込む姿をみても、相当なものがある。右のスラッガー候補として、大いに注目を集めることになりそうだ。

<構え> 
☆☆☆

 前足を引いた、右オープンスタンス。グリップを高めに添え、腰の据わり具合・全体のバランスとしては並ぐらい。しかし懐を深く構え、両目で前を見据える姿勢は悪く無い。打席でも、リラックスしているのも良いところ。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下がりきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を、バランスよく兼ね備えた中距離ヒッターが多く採用する。元来この選手は、生粋のスラッガーというよりも、勝負強さを売りにするポイントゲッタータイプなのかもしれない。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 足を上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出して来る。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもそれなりに対応。興味深いのは、足下ろすタイミングを球種に変えてタイミングを図るなど、ボールの合わせ方に特殊な技術を持っているということ。腕っ節の強い打者に多く観られるような、脆さがないところが彼の良さか。

 真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいタイプ。踏み込んだ足元も、カカトを地面にめり込ませインパクトのブレを最小限に抑えている。現状引っ張り中心の打撃なので、右方向へどの程度打てるのかはよくわからない。選抜では、そのへんも注意しながら観てみたい。

<リストワーク> 
☆☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形を作るまでも自然体で、リストワークに力みが感じられないのは良いところ。振り出しは、少しヘッドが下がって出てくるので、遠回りかなと思える部分もある。しかし内角を捌く時などは、脇を閉めてインパクトの際にはバットの先端であるヘッドが上がり、ドアスイングになるのを防いでいる。

 打球の強さは際立っていて、内角でも外角でもそれほど苦にせず捌けるポイントの幅は、この時期の高校生としてはレベルが高い。中途半端にセンターから右方向に合わせるバッティングは見たくないが、右方向への融通さもあれば、率は上がってくるだろう。

<軸> 
☆☆

 足の上げ下げがあるので、目線jは上下動に多少動くきらいが。体の開きも、腰の回転で巻き込むことを重視しているので、それほどブレを抑えることを重視したスイングではない。軸足の形も、インパクトの際に綺麗に地面から伸びているというほどでも。それでも軸足の内ももの筋肉の発達は目立っており、強烈な打球を生み出す原動力になっているのは間違いないだろう。

(打撃のまとめ)

 足の下し方でタイミングを図れるので、スピードの変化にも上手く対応。内外角捌ける技術もあり、見た目以上に穴も固さもないところは素晴らしい。これだけの強打者でありながら、脆さがない右の強打者は珍しい。

 現状フォロースルーを使ったり、大きな弧を描くようなスイングではなく、あくまでも腕っ節に頼ったスイングではある。しかし 村田修一が日大時代に中距離打者からボールを運べるスラッガーへと変貌したように、そうなれるだけの可能性と資質を秘めているのは間違いないだろう。


(最後に)

 選抜でも2本ぐらいぶち込んだら、一躍上位指名だと騒がれるのではないのだろうか。現状は中位ぐらいの位置づけかと思えるのだが、すでにドラフト指名を意識できるレベルまで来ている。

 選抜でもどんなバッティングを魅せてくれるのか、今から楽しみな一人。現時点では、全国の右打者でもトップクラスに位置づけられる選手ではないのだろうか。


(2015年秋 神宮大会)









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