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堀岡 隼人(巨人)投手のルーキー回顧へ







 堀岡 隼人(青森山田)投手 183/84 右/右
 




                    「夏もそれほど調子上がらず」





 夏の予選では、2回戦の五所農林戦で先発。9回を5安打・5四死球・1失点と完投。しかし続く大湊戦では、2回を3安打・5四死球・3失点と乱調で敗退。センバツから、それほど大きな上積みがあったのかは疑問が残る成績だった。そこで今回は、改めてセンバツの模様を見直し、寸評を作成してみたい。


(ここに注目!)

腕を真上から叩きつける力があり、球速以上のボールを生み出している。


(投球内容)

ストレート 135~140キロ台前半 
☆☆★ 2.5

 プロに入る右投手にしては、球速的にはやや物足りません。それでもそれを補うだけの、ボールの勢い・球威があり、その点では球速以上の価値がありそう。ボールは両サイドに散らせつつも、かなりアバウトだと言えるでしょう。

変化球 縦横のスライダー・カーブ・チェンジアップなど 
☆☆☆ 3.0

 右打者への変化球は、横滑りするスライダー。しかしこの球は抜け気味で、甘く入ることも少なくない。左打者に対しては、チェンジアップを使ってきます。その他更に緩いカーブ、そして追い込んでからは縦に鋭く切れ込むスライダーで空振りを誘います。横のスライダーの精度が低いのは気になりますが、縦のスライダーのキレ・精度は想像以上です。その縦スラに磨きがかかれば、この球がプロでも武器になりそう。

その他

 クィックは、1.05~1.15秒ぐらいと平均的。牽制の動きは基準以上で、フィールディングは並ぐらいでしょうか?

 それほど細かい投球術や微妙な駆け引きはありませんが、ボールを適度に散らせつつ、多彩な球種を織り交ぜ的を絞らせないようにするピッチングスタイル。

(投球のまとめ)

 気になるのは、かなりコントロールがアバウトな点。これだとプロの狭いストライクゾーンでは、より制球に苦しむ危険性があります。ストレートには球速以上の力を感じるのと、キレイに抜けた時の縦スラの落差はフォークのような切れ味があるので精度が高まるようだと面白ろそう。まだまだ発展途上の選手で馬力もありますからボールが大幅に速くなっても不思議ではありません。


(投球フォーム)

<広がる可能性> 
☆☆ 2.0

 地面に向けて足をピンと伸ばすために、お尻の一塁側への落としは不十分。そのため体を捻り出すスペースは確保されず、カーブで緩急を利かせたりフォークのような体を捻りだして投げる球種は適しません。

 また「着地」までの粘りも充分とはいえず、体を捻り出す時間も物足りません。そういった意味では武器になるほどの変化球を、将来的にモノにできるかは微妙なのでは?

<ボールの支配> 
☆☆★ 2.5

 グラブは最後まで体の近くに抱えられているので、両サイドの投げ分けは安定。しかし足の甲での地面への押しつけが浮きがちで、力を入れて投げるとボールが上吊ってしまいます。「球持ち」もそれほどではないので、指先の感覚もいまいち。そういった意味では、コントロールがアバウトになりがちなのも頷けます。

<故障のリスク> 
☆☆★ 2.5

 お尻を落とせないフォームでカーブやフォークには適しませんが、そういった球をほとんど投げないので悲観するほどではないでしょう。また腕の送り出しは、上から叩きつけるために多少肩に負担を感じます。極端というほどではないのですが、日頃からケアには充分注意して欲しいところ。まだ頑強そうな体つきではあるのですが、腕を相当強く振るので消耗も少なくないはず。その辺で登板過多になったときには、少し心配な部分も。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りがさほどなく、打者としてはあまり苦にならないのでは? 体の「開き」自体は平均的で、コースを間違わなければそれほど痛手は食らい難いのではないかと。

 腕は強く振れており、速球と変化球の見極め困難。ボールへの体重の乗せは発展途上ですが、打者の手元までの勢いや球威はあるので、その点は今のままでもそれほど問題はないように思います。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、各動作にもう少し粘りが欲しい気がします。特に「着地」に粘りが出てくれば、自然と他の動作にも粘りが出てくるはず。

 故障のリスクが多少高いのと、足の甲の押し付けが甘くボールが上吊るなどのコントロールに課題を残します。すべてが発展途上であり、まだまだ改善される余地が残されています。


(最後に)

 まだ絶対的なものはありませんが、ボールの勢い・球威はあるので、球速が上がって来るようだと変化球も生きそう。また縦スラのキレは悪くないので、これの精度が高まれば強烈なフィニッシュボールとして投球を組み立てて行けそう。

 必ずモノになる素材ではないものの、導き次第では育成ドラフト7位でも支配下登録されるような選手に育つかもしれません。時間はかかると思いますが、腰を据えて育てて頂きたい。


(2016年 選抜大会)