16kp-30
横尾 蓮太(静清3年)投手 182/86 右/右 | |
MAX148キロの速球で、プロにも注目されるまでになった 横尾 蓮太 。しかしあくまでもボールのキレとセンスが勝っているタイプで、ボールの力強さに欠ける気がする。高校からプロに入る選手は「上手さよりも凄さ」 、そういった観点から考えると物足りない。 (ここに注目!) 安定したコントロールやマウンド捌きなど、技術の面では秀でている。そういった部分には、ぜひ注目して頂きたい。 (投球内容) ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。足の曲げ伸ばしこそないが、どことなく 三浦 大輔(DeNA)みたいな感じの投手に見えてくる。試合を見たのは、最後の夏となった常葉橘戦の模様。前日も完投していたせいか? 投球には疲れが感じられるものだった。 ストレート 130キロ台後半~MAX142キロ ☆☆★ 2.5 この日の球速は、普段は135キロ~後半ぐらいで、ギアをあげた時に140キロを超えて来るぐらい。元々キレ型の球質だけに、ボールがキレている時は良いが、疲れが溜まって来ると誤魔化しが効かなくなる。しかし普段からこんなものという話もあり、それだと現状は、高校からプロに入るのには物足りない。しかし両コースに投げ分けるだけの、コントロールは持っている。 変化球 スライダー・フォークなど ☆☆☆ 3.0 基本は、曲がりながら沈むスライダーと速球のコンビネーション。このスライダーの曲がりは大きく威力があるのだが、昨年の方がもっと横滑りする感じだった記憶もある。あとフォークなどの縦の変化球も結構混ぜてくるが、この球は見極められてしまい、それほど効果を発揮していない。現在は、意識を低めに集めるぐらいの働きでしかない。 その他 クィックは1.2秒前後と平均的で、マウンド捌きや投球術などからはセンスが感じられる。元来コントロールが悪い選手ではないが、疲れなのか球筋がぼやけて、思い通り決まらないことも少なくなかった。 (投球のまとめ) 昨夏に比べると体重も10キロぐらい増えており、球威・球速の成長を感じたかったところ。しかし春先は調子が上がらずイマイチな内容だったという話で、この夏も昨夏ほどの状態だったのかと言われると微妙なところか。 コントロールや投球術などはそれなりだが、高校からプロに入る選手のボールの厚みではないのでは? そういった意味では、大学なり社会人などワンクッション置いた方が良いのではないのだろうか。 (投球フォーム) ではフォームの観点で、今後の可能性について考えてみたい。 <広がる可能性> ☆☆★ 2.5 重心が前に倒れ込む感じのフォームなので、お尻は一塁側に落とせない。そのため身体を捻り出すスペースは確保されず、カーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦に大きく落ちる球種は適さない。 早めに地面を捉えそうなところから、大きめにステップをとって着地までの時間はなんとか確保。それでも身体を捻り出す時間は並ぐらいで、武器になるほどのキレや曲がりの大きな変化球を身につけられるかは微妙なところ。今のところは、スライダーが上のレベルで使えそうな球種ではあるのだが。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブをしっかり抱えられないフォームであり、そのため外に逃げる遠心力を抑え込めず球筋が安定しにくい。足の甲でも地面を捉えているので、ボールはそれほど上吊らない。「球持ち」は比較的良いので、指先の感覚は悪くなさそう。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻が落とせないフォームの割にフォークなどを多く使うので、肘への負担は気になるところ。腕の送り出しには無理がないので、肩への負担は感じ無い。元来それほど力投派ではないので、疲労の蓄積・消耗は少ないタイプではないのだろうか。 <実戦的な術> ☆☆★ 2.5 「着地」までの粘りは平均的なので、特に合わせやすいわけでも苦になるフォームでもないのだろう。それでも身体の「開き」も平均的で、直線的なフォームだけにどうだろうか? 振り下ろした腕は身体に絡み、速球と変化球の見極めは困難。しかし「球持ち」が良い割には、体重を乗せきる前にリリースを迎えており、打者の手元まで球威のある球が投げられていない。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「体重移動」に課題を残す。そのため打者の手元まで勢いや球威がもう一つで、プロ仕様の球が投げられていないといえる。 グラブの抱えができず球筋が安定しない部分や、お尻が落とせないために肘への負担なども気になるところ。そういった意味では、推せる材料も乏しく、それほど実戦的とも言えません。 (最後に) センスは高いもののボールや身体の強さやフォーム技術や決め手になる球などもなく、プロ入りには時期尚早ではないかと感じます。筋は良い選手なので、体幹などを鍛え強さが出てくると面白いのではないかというセンス型。大学などでは、比較的早く頭角を現してきても不思議ではないだけに、今後の活躍が期待される。段階を踏んで技量を伸ばして行ければ、3,4年後には有力な指名候補となっているだろう。 (2016年夏 静岡大会) |