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梅野 雄吾(ヤクルト)投手のルーキー回顧へ








 梅野 雄吾(九産大九産3年)投手 175/80 右/右
 




                   「課題は克服できていたのか?」





 結局3年間、梅野 雄吾 を直に見られないまま終わってしまった。しかし昨年の映像を幾つか見ていて気になっている部分があった。しかしその課題を今年になって克服できていたかどうかは、今年の投球を確認できずに終わったのでよくわからない。今回は、その課題とは何かについて考えてみた。


(投球内容)

 昨秋は、九州大会にまで駒を進めて140キロ台後半のボールを投げ込み一躍注目される。今春には150キロ台に到達し、夏の緒戦である浮羽究真戦でもMAX150キロを記録するなど、健在ぶりをアピールして魅せた。

ストレート 常時140キロ台~MAX150キロ

 今年になってからの凄みのある150キロ台のボールを直に見たわけではないが、昨秋の投球を見る限りボール勢い・威力は確かだったものの、高めに浮きやすく制球も非常にアバウトだったのが気になっていた。この夏の150キロを記録した球も、押し出しだったと訊いている。

 けして福岡でも強豪校とはいえない浮羽究真相手に、8回を投げて6安打・9奪三振というのは微妙な成績だった気がする。体調を崩しようやく立て直したところだったみたいだったので、夏の緒戦も本来のデキだったのかも疑問が残るところ。ボールの勢いはあるものの、バシバシ三振を奪うような球質なのかどうかも、昨年映像を見ていて気になっていた。

変化球 スライダー、チェンジアップ、カーブなど

 気になるのは、カーブを投げる時に腕が緩むこと。またスライダーもキレこそ悪くないものの、高めや甘いゾーンに曲がって来ることが多く、その辺の制球という部分では不安が残っていた。チェンジアップも悪くなさそうに見えるが、何処まで現状武器にできるのほどだったのかには疑問が残る。

その他

 フィールディングの動きの良さは目立ち、身体能力の高さを感じる。クィックも1.1秒前後とまずまずで、野球センスが高いというよりも、運動神経・身体能力に優れたタイプなのではないのだろうか。

(投球のまとめ)

 実際に見た人の話だと、三嶋 一輝(福岡工-法政大-DeNA)と似ていたという。なんとなく、そう言われるとイメージも掴めて来る。三嶋の場合はスライダーが特に素晴らしかったのだが、この梅野の場合は三嶋以上にストレートに特化したタイプなのかもしれない。

 しかし破れた試合では、試合の最後の最後でやっと登板したぐらいで投げられる状態ではなかったようだ。一体何処まで課題であるボールの上吊り、甘いコントロール、変化球の精度・威力を改善できていたのかはわからない。それでも150キロを記録するストレートの速さ・勢いは、全国でも指折りの存在なのだろう。





(投球フォーム)

 あくまでも昨秋のフォームを参考にしながら、この選手の特徴について考えてみたい。このひと冬の間に、どのぐらい改善できているのかはわからないが。

<広がる可能性> 
☆☆★ 2.5

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は一塁側にはあまり落ちません。そのため身体を捻り出すスペースは確保されず、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種には適しません。

 また「着地」までの粘りも平均的で、身体を捻り出す時間も並ぐらい。こうなるとキレや曲がりの大きな変化球の修得が難しく、武器になる球を見出だせず伸び悩む危険性があります。将来的にもスライダー・チェンジアップ、それにカットボール・ツーシーム・スプリットなど、球速のある小さな変化でピッチングの幅を広げてゆくことになりそう。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 グラブは最後まで身体の近くにあり、両サイドの投げ分けは安定。むしろ足の甲の地面への押し付けが短く、高めに浮き上がる球を抑えきれません。「球持ち」は悪くないので、もっとボール長く押し込めるようになると、低めにも集められるようになるかもしれません。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻は落とせないフォームですが、カーブやフォークといった球種は投げません。そのため肘への負担は、それほど大きくないと考えられます。

 腕の送り出しは角度をつけて投げていますが、送り出しに無理があるという感じはしません。ただしこの夏の緒戦に150キロを投げてしまったら反動で全く投げられないという状況をみると、体調だけでなく消耗という部分ではどうなのかな?という不安は残ります。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは平均的で、フォームとしては特に合わせやすいわけでも合わせ難いわけでもなさそう。「開き」は抑えられており、甘く入らなければ連打を食らい難いとは思います。

 腕は強く振れているので、速球と変化球の見極めは困難。この小さな身体でも150キロ級のボールを投げられるのは、ボールにシッカリ体重が乗せられ、下半身のエネルギー伝達が高いからだと考えられます。

(投球のまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」」「体重移動」では、特筆すべきほどのものはありませんが大きな欠点もありません。

 足の甲の押し付けが甘くボールが上吊りやすいなど、コントロールへの不安。更に将来的に武器になるほどの変化球を修得し、ピッチングを広げて行けるのかという不安は残りました。


(最後に)

 一度も直で見たことがある選手ではないですし、一冬超えた成長も確認できていないので評価づけはできません。通常高校から175センチ以下の右腕を指名するケースは極めて稀なのですが、その例外になるぐらい突出したストレートを投げ込むということなのでしょう。

 総合力や将来性に関しては不安は残るものの、プロ志望届けを提出すれば、3位ぐらいでは指名されるのではないかというスカウトの熱の入れようは感じます。理屈抜きにプロの打者を力で抑え込むレベルまで到達できるならば、リリーフなどで活躍できる可能性は充分あると思います。しかしそれができないレベルの速球だとすると、細かいことができないだけに伸び悩む危険性は感じます。果たして一冬超えた成長でプロを押し切るレベルまで到達しているのか、ぜひ確認してみたい選手でした。また将来的にも、その可能性を秘めているのか、ぜひ見極めてみたところでした。