16kp-20
島 孝明 (ロッテ)投手のルーキー回顧へ
<br>
島 孝明 (東海大望洋3年)投手 180/80 右/右 |
「今年1番の衝撃」 昨年の春季大会、一学年上の 原田 泰成 のチェックに私はやってきた。しかしその原田がイマイチだったあとに、当時2年生の 島 孝明 が登場。当時は175/70 の中背の体格で、MAX89マイル(143キロ)まで記録したものの、筋の良い好投手との印象だった。しかしMAXは148キロまで到達したとか、身体が180センチまで大きくなったと聞きつけ、私は袖ヶ浦で行われている市立船橋戦に足を運ぶ。そこで、今年1番の衝撃を受けることになる。 (ここに注目!) コールド直前の僅か1イニングの登板ではあったが、その内容は衝撃的だった。投げ始めてからの島の速球はすべて92マイル・148キロ以上記録し、MAXでは95マイル・153キロに到達。幾らリリーフでも、ここまで速い球を連発できる高校生は他にはいない。そう、この島のスピードを、ぜひ堪能して頂きたい。 (投球内容) あまり細かい投球ができるタイプでは昨年からなかったのですが、ストライクゾーンの枠の中にガンガン投げ込んできます。 ストレート 常時140キロ台後半~MAX153キロ 物凄く手元で伸びるとかキレるとかいう印象よりも、とにかく速いので高校生では当たらないという勢いを感じます。市船戦に初登場したあと、千葉大会制するまでの4試合・8イニングを投げて、実に16奪三振を奪っています。ただ速いたけでなく、球質も兼ね備えているということになるのではないのでしょうか。 ただし昨年から、コースを丹念に突くとかそういった感じはなく、ストライクゾーンの枠の中に力のあるボールを投げ込むタイプといった印象。しかし四死球で自滅するような、不安定なところは見られません。 変化球 スライダー・チェンジアップ・カーブ 横滑りする高速スライダーみたいな球と、カーブような曲がりながら落ちる変化球があります。更にチェンジアップだかフォークのうような沈む球もあり、昨春はスライダーとのコンビネーションだけだったのに比べると、投球の幅を広げているのではないかという気がします。 その他 2月に足首の捻挫のため調整が遅れていたが、秋は先発でも実績を残した選手。筋の良いセンス型だったので、粗っぽいという感じはしなかった。微妙な駆け引きや、繊細なコントロールはないものの、けして素材型ではないはず。フィールディングの動きもまずまずで、野球センスの高さが伺われる。 (投球のまとめ) 昨春からセンスの良さは光っていたが、175センチぐらいと身体がまだ小さく、身体が大きくなればという思いはあった。しかし今春見た感じでは明らかに身体は大きくなっており、体つきがごつくなっている。そういった体格で見劣るということはなくなり、好投手から剛球投手へと変貌を遂げつつある。 ただしいかんせんリリーフでの1イニングの観戦だったので、球速が上がることで元来良かった投球センスなどが損なわれているかどうか、変化球レベルはどの程度なのかは、正直よくわからなかった。これは、夏の観戦を待ちたいところ。 (投球フォーム) 僅かな投球だけでは良くわからなかったので、フォームを分析をして特徴を把握したい。ワインドアップから、振りかぶって投げ込んでくる。 <広がる可能性> ☆☆★ 2.5 重心を沈ませるときに少し前に倒れがちに体重を落として来るので、お尻の一塁側への落としは甘くなる。そのため身体を捻り出すスペースは充分でなく、カーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種にはあまり適さない。 「着地」までの粘りもそれほどなく、ステップが少し狭い気がする。あっさりというほどではないが、身体を捻り出す時間としては並み程度だろう。そういった意味では、将来的に武器になる変化球を身につけられるかは現時点では微妙。 <ボールの支配> ☆☆ 2.0 グラブの抱えは解けてしまって、後ろで遊んでしまっている。そのため外に逃げようとする遠心力を抑え込めず、両サイドへの投げ分けは不安定になりがち。 足の甲での地面への押し付けも、短いし浅く見える。そのため力を入れて投げるとボールが上吊る危険がある。それでも四死球を少なめにできているのは、「球持ち」がよく、指先までボールに力を伝えられるから。これにより好き勝手暴れる身体を、なんとか制御しているといった感じだろうか。同じようなタイプでコントロールに優れる投手というと、上原 浩治(レッドソックス)などがあげられる。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻がしっかり落とせるフォームでは無い割に、カーブやフォークらしきボールも投げ込んでくる。それほど割合が多くないので悲観することはないが、この沈む球がチェンジアップではなくフォークだとすると、肘への負担も考慮しないといけないだろう。 腕の送り出しは、真上から投げ下ろすというよりもスリークオーターといった感じ。そのため肩への負担は少なく、そういった部分での心配はない。あとはゆったり始動するフォームながらフィニッシュは結構力投派になっているので、消耗は激しい可能性は否定できない。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りはそれほどでもないので、打者としてはそれほど合わせ難いタイプではないだろう。それでも身体の「開き」は抑えられており、コースを間違わなければ痛手は食らい難いと考えられる。 腕は強く振られ身体に絡んでおり、速球と変化球の見極めは困難。「球持ち」が良いので、ボールに体重を乗せてからリリースを迎えられるようにはなっている。そのため打者の手元で力のあるボールを投げられており、空振りも誘えていると考えられる。あとは、投げ終わったあと一塁側に重心が流れる。股関節の柔軟性を養いつつ下半身強化に取り組み、適正なステップ位置を見つければ更に凄みを増す余地が残されている。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」「開き」は抑えられている。あとは「着地」「体重移動」などを磨くことで、より実戦的かつエネルギー伝達を更によくすることは可能だと考える。 制球を司る動作に課題があるのと、捻り出すスペースが狭く肘への負担がかかる危険性もあり、他に後推しできる材料は乏しい。しかしそれでも滑らかな身のこなし、柔らかい腕の振りをする選手であり、まだ良くなれる余地が残されている。 (最後に) 私が観戦した市立船橋戦では、スカウトの間から1位指名候補 の言葉も飛び出すほどの衝撃でした。しかしその後の結果をみても、この日ほどのスピードはなかったものの、結果を残し続け春の千葉大会を制します。関東大会でのアピール次第では、上位候補となるのは間違いないのではないのでしょうか。 やはり多くのスカウトが、先発をした時にはどうなのか? そういった部分が私のみならず気になっているところでしょう。恐らく夏の予選では先発をしてくるのではないかと思いますが、その時にどんなピッチングを魅せるのか。その内容次第では、1位指名の評価も出てくるかもしれません。いずれにしても、今年観戦した中で1番の衝撃だったのは間違いありません。 蔵の評価:☆☆☆ (この夏の内容次第では更に上昇) (2016年 春季千葉大会) |
島 孝明(千葉・東海大望洋2年)投手 175/70 右/右 |
球速は、原田の最速だった84マイル(134.4キロ)~MAX89マイル(142.4キロ)まで記録。体型も投手体型ですし、フォームも中々シッカリしたものを持っています。変化球は、まだスライダーだけであり、この球とのコンビネーション。あまり細かいコントロールはありませんが、ボールの威力で勢いづく多古打線を抑え込みます。 順調に伸びて行けば、来年のドラフト候補としてマークできそうな楽しみな素材。夏の大会ではもっと背番号も小さくなり、大事なところも任されてゆくのではないのでしょうか。期待して、今後も見守って行きたい一人でした。 (2015年 春季大会) |