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太田 龍(20歳・JR東日本)投手の個別寸評へ








 太田 龍(れいめい3年)投手 188/82 右/右
 




                    「期待ほどではなかった」





 映像でもしっかり確認したことがない選手だったので、ぜひ一度生で観てみたかった、それがこの 太田 龍 だった。しかし前の試合で完封し、更に翌日には強豪・神村学園との試合を控えていたためセンターでのスタメン。試合中盤になっても肩を作ることもなかったので、この日の登板を諦めかけていた7回。突如、彼はマウンドに上がってきた。


(投球内容)

知り合いも言っていたが、何処か高校時代の 武田翔太(ソフトバンク)を彷彿とさせるようなフォーム。

ストレート 常時130キロ台後半~MAX89マイル(142.4キロ)

 2日前には九回完封、更にこの試合もワンサイドだったことを考えると、多少力をセーブした投球だったのかもしれない。球速は、常時130キロ台後半~MAXで89マイル(142.4キロ)。特に手元でグ~ンと来る感じも、ピュッとキレるような空振りを誘うほどではなかった。MAX147キロを記録するという、勢いの片鱗はこの試合では観られず。

 両サイドに大まかに投げ分けられるコントロールがあり、打者の胸元にズバッと投げ込むストレートの威力は確かにあった。しかし本当の意味でのコントロールはまだ無さそうで、あくまでも発展途上の選手との印象。

変化球 スライダー・フォークなど

 むしろコントロールに自信があるのは、スライダーの方かもしれない。この球ならば、カウントが悪くなっても整えることができる。打者の空振りを誘うというよりも、カウントを稼ぐ意味合いが強い。フォークを持っているのだが、まだ空振りを誘うほどのキレ・精度には欠け、こちらも発展途上。そのためストレート含めて、打者を仕留めきるほどの決め手には欠ける。翌日の神村学園戦で、あっさりコールド負けしたのは、疲労や状態だけの問題ではなかったのではないのだろうか。





(投球のまとめ)

 この試合を観る限り、まだまだ素材型であり、全国大会に勝ち上がって来るような総合力は持っていない。それだけに夏に甲子園で観られるかと言われれば、疑問だと言わざるえない。そのためもう一回、夏の予選あたりで確認し、最終的な評価を下してみたい。現状は指名はされると思うのが、上位指名とかするのには怖すぎる。地方組では屈指の素材かと期待してみたが、そこまで図抜けたものは感じられなかった。

(投球フォーム)

ではフォームの観点から、この選手の将来像を考えてみたい。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足は比較的高い位置で伸ばされているので、お尻は一塁側に落ちてはいます。そのため体を捻り出すスペースはそれなりで、カーブやフォークといった球種を投げるのにも無理は感じない。

 ただし「着地」までの粘りは薄いので、体を捻り出す時間がまだ不十分。キレや曲がりの鋭い変化球を修得するのには、今のままだと苦しいでしょう。そのため、武器になるほどの球が修得できていないといえます。

<ボールの支配> 
☆☆★ 2.5

 グラブは体の近くに最後まであるので、両サイドの投げ分けはそれなりに。しかし足の甲での地面への押し付けは浅いので、力を入れてしまうと上吊る危険性も(試合では上吊ってはいませんでしたが)。更に「球持ち」も良いとは言えず、腕の回旋も体の近くをまわっているというほどではないので、本当のコントロールがつき難いと考えられます。

<故障のリスク> 
☆☆☆☆ 4.0

 お尻はある程度落とせるフォームなので、カーブやフォークといった捻りだして投げる球種を投げても、窮屈さは感じられず肘への負担は少ないはず。

 腕の送り出しにも無理はなく、肩への負担は少ないのでは? この試合を観る限りは、それほど力投派には見えず、むしろ持ちえるスペックを活かしきれていない印象を受けました。現状ならば、故障の可能性は低いのでは。

<実戦的な術> 
☆☆ 2.0

 「着地」までの粘りがないので、打者としては苦になく合わせやすいはず。ただし「開き」は抑えられているので、コントロールを間違わなければ、それほど痛手は喰らわないのでは。

 気になるのは、腕が強く振れておらず、これでは変化球を振ってはくれないだろうなということ。更にボールにしっかり体重が乗せられていないので、打者の手元まで生きた球が行きません。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」以外には物足りなさを感じます。

 コントロールを司る動作もそれほどでもないのですが、故障のリスクが少ないのは推せる材料。あくまでも、まだまだ素材型の域を脱していません。それだけ今後の育成・指導次第では、伸びしろを残しているともいえます。

(野球への取り組み)

 ネクストでの所作を観る限り、試合への入りもよく、けして雑なプレーヤーではありません。ただし名門で鍛えられているような洗練されたイメージはなく、まだ田舎の高校生という未成熟な印象を持ちます。しかしこういった選手は、教えれば伸びて行ける可能性はあるので、ただ知らないだけ、教わっていないだけという気はします。上のレベルの指導者・環境に混ぜたら、大きな化学変化を起こすかもしれません。


(最後に)

 現状まだまだという感じで、プロに入っても一軍で戦力にするのにはかなり時間がかかるか、厳しいことにはなりそう。ただしこの完成度で、これだけの投球ができるということは、秘めたるポテンシャルは高いのだと感じます。

 夏に何処まで引き上げて行けるのか、あるいはもっと状態の良い時に観てみたい部分もありますが、この試合を観る限りは上位候補とまでは推せませんでした。本格的な指導や環境の整っているところで野球をやってみたら、見違えるほど化ける可能性は秘めていると感じました。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2016年 春季鹿児島大会)