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北村 朋也(東海大相模3年)投手の最新寸評へ







北村 朋也(東海大相模2年)投手 182/76 右/右 





                    「素晴らしいフィニッシュ」





 昨夏の神奈川予選、北村 朋也 の躍動感溢れる投球に目を惹かれた。ポンポンと早いリズムで、勢いのある球をどんどん投げ込んで来る。そのボールの勢い・キレは素晴らしく、来年のドラフト候補に上がってくるなと強く実感させられた。

(投球内容)

今時珍しい、ワインドアップから振りかぶって投げてきます。

ストレート 常時140キロ台~MAX146キロ

 打者の手元まで伸びてくる、ボールの質・勢いが素晴らしい。しかしコントロール自体はアバウトで、シュート回転して抜けてしまうことも少なくない。持っているボールは一級品でも、コントロールが原因で伸び悩む可能性が高いのではないのだろうか。

変化球 スライダー・フォークなど

 右打者に対しては、曲がりながら落ちるスライダーを外角に投げ込んできます。その一方で、左打者に対しては速球しかカウントを整えられる球がないのではないかと心配になります。スライダーでもカウントを取れるようにするか、他の球で代用しなければいけないでしょう。

 追い込むと、落差のあるフォークも持っています。これから更に精度が高まれば、この球への比重が高い投手になるのではないのでしょうか。

その他

 非常に鋭い牽制を投げる選手ですが、ちょっと力が入り過ぎなのが気になります。クィックも1.0秒を切るような高速クィック。そういった運動神経は、かなり高い選手ではないかと考えられます。

(投球のまとめ)

 速球にしても、変化球のキレ・曲がり自体にも素晴らしいものがあります。しかしまだそれを活かすだけの、コントロールが不安定。この部分が、彼の非凡な才能に暗い影を落とします。

 また勢いで押すタイプなので、基本的に先発に向きません。昨年もよくTwitterなどで呟いたのですが、彼が先発でエースをやっているようだと、相模の来年は厳しいと書いていました。現時点では、彼の良さを活かすのはリリーフに限定されるように思います。





(投球フォーム)

今度は、彼のコントロールを乱す原因なども含めてフォームを考えてみましょう。

<広がる可能性> 
☆☆☆☆

 引き上げた足を地面向けて伸ばすものの、その後身体を前に移動させる段階では、お尻は適度に一塁側に落ちているように見えます。すなわち甘さは残すものの、身体を捻り出すスペースはそれなりに確保。カーブで緩急を効かせたり、フォークのような球を投げるのも、けして無理ではないかと。

 また「着地」までのタイミング・足の逃し方なども悪くなく、適度に身体を捻り出す時間も確保。これによりキレや曲がりの大きな変化球の習得も可能であり、現時点でその片鱗は感じられます。

<ボールの支配> 
☆☆☆☆

 グラブは最後まで体の近くにあり、両サイドの投げ分けは安定しやすいはず。足の甲でも地面を捉えており、ボールが上吊るのも防ぎます。また「球持ち」もよく、前でしっかりボールを放せています。これだけ揃えば、コントロールが悪いのが不思議なぐらいです。

 しかし1つ問題なのは、振り下ろされる腕が体から離れて振られているということ。どうしても体の近くを軌道しないと、ブンと外回りに軌道し、コントロールを乱す大きな要因になります。これを、もう少し体の内側から振られるように修正することが、この投手の最大の課題ではないのでしょうか。

<故障のリスク> 
☆☆☆☆

 お尻も適度に落とせているので、カーブやフォークといった球種を使っても、それほど肘への負担は大きくないはず。

 振り下ろされる腕の送り出しにも無理はなく、肩への負担は少ないのでは。しかし外回りにブンと腕を振ってくるので、この部分が肩への負担を高めている可能性があります。故障の観点からも、ここは改善したい。

<実戦的な術> 
☆☆☆☆

 「着地」までの粘りも適度にあり、打者としてはそれほど合わせやすいわけではないでしょう。しかし体の「開き」は早いので、いち早く球筋が読まれやすく、コースを突いた球でも打たれてしまう危険性は感じます。

 腕の振りは素晴らしく、投げ終わったあとしっかり身体に絡んできます。これならば、速球と変化球の見極めは困難。「球持ち」も良いために、ボールにしっかり体重を乗せてからリリースできています。地面の蹴り上げも素晴らしく、「体重移動」も理想的なフォームではないのでしょうか。


(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の中で、「開き」に大きな課題があります。フォームも比較的直線的であり、打者としてはボールが見やすいフォーム。しかしあとの部分は、非常に素晴らしいと言えます。

 コントロールを司る動作もしっかりしており、あとは腕の軌道を改善すること。故障のリスクも同様にすることで、故障の可能性もほぼなくなるのではないのでしょうか。


(最後に)

 
持ちえる資質は素晴らしく、コントロールと開きの早さ をいかに改善して行けるかにかかっている。資質的には全国でもトップクラスの可能性を持った選手だとは思うが、この2つの欠点が彼の成長を大きく妨げる可能性も否定できない。

 
ボールの見やすさは、グラブを斜め前に伸ばすなどして、身体が正対するのを遅らせる、隠す動作が求められるだろう。腕の軌道の改善とともに、いろいろ工夫して自分に合ったものを見つけて欲しい。相模は戦力に恵まれているだけに、ある意味自分の修正にも取り組みやすい環境。創意工夫が、夏までに形になることを期待せずにはいられません。ぜひ成長した姿を、あえて春よりも夏に完成することを楽しみにしております。


(2015年夏 神奈川大会)