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久保田 昌也(24歳・日本新薬)中堅手の個別寸評へ







 久保田 昌也(国学院大4年)中堅 177/77 右/左 (龍谷大平安出身)





                    「振り出しの良さに注目」





 高校時代は、チームメイトにドラフト1位でカープに入団した 高橋 大樹 などがおり、右の高橋・左の久保田として注目される存在だった。国学院大進学後は、1年春・秋と3割台を記録。2年時は低迷したものの、3年秋にベストナインを獲得し復活。今季も成績はイマイチなものの、振り出しの鋭さに磨きがかかり、時々「おっ!」と思わせる打撃を魅せる。イメージ的には、専修大時代の 長谷川 勇也(ソフトバンク)を彷彿とさせる。


(ここに注目!)

踏み込み強さと振り出しの鋭さに注目。潔い好いスイングで、スパンと振りぬいた時の打撃は逸脱。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 強打者タイプでありながら、中堅を守る守備が安定しているのが特徴。打球への反応、落下点までの入り、キャッチングとまずまずで、地肩も基準以上。高校時代は一塁手だったわりに、中堅も無難にこなすディフェンスを持っている。ドラフト候補としては、中の上レベルの守備力か。

走塁面:
☆☆☆ 3.0

 一塁までの塁間は、4.1秒前後ぐらい。これらもドラフト候補としては基準以上であるが、プロに混ぜると平均レベル。上のレベルで足を売りにすることはないと思うが、足を引っ張ることはなさそう。


(打撃内容)

 今季は、11試合消化時点で、2本 11打点 1盗塁 打率.214厘 と数字は良くはない。しかしながら、時々勝負どころで魅せる鋭い打球とツボにハマった時のパンチ力には観るべきものがある。タイプ的には、勝負強さを売りにするポイントゲッタータイプの中距離打者かと。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 前足を引いた左オープンスタンスで、グリップは高めに添えられている。腰の据わり具合・全体のバランスは並だが、両目で前を見据える姿勢は悪く無い。やや構えた時に力が入りすぎて固くなっている感じがするので、もう少しリラックスを心がけ柔らかさを意識したい。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈み込んだ底の部分で動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる仕掛け。まさに、彼のプレースタイルに合致しているのではないのだろうか。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足を引き上げ、ベース側にインステップして踏み込んできます。ただし踏み込んだ足元がいち早く地面を捉えるので、始動に余裕がある割に「間」が取れないスイングになり、確実性が低いのではないかと考えます。しかしその一方で、ステップが狭いスイングが、強烈な腰の回転を生み出す原動力になり、彼独特の踏み込みの鋭さに繋がっており、なかなか悩ましい部分ではないのでしょうか。彼の場合始動は平均的ですが、狙いを球を絞りその球を逃さない 一点 集中型のスイングになっています。すなわち確実性よりも破壊力を重視した、始動の遅いスイングと良く似た効果になるのではと。

 ベース側にインステップして踏み込むので、外の球を重視しているのがわかります。ただし左打者がインステップすると、右投手のクロスに食い込んで来る真ん中~内角よりの球に詰まらされ、率が上がり難い傾向になります。彼のような強打者タイプは、インステップすることもありだと思いますが、率は残し難いのかと。しいて言えば、踏み込みを真っ直ぐ踏み出すようにして懐にもう少し余裕を持てた方が、率は上がるように思います。踏み込んだ足元はインパクトの際にブレないので、外角の厳しい球や低めの球にも喰らいつくことは出来ると考えられます。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 早めに打撃の準備である「トップ」の形は作れており、速い球には立ち遅れません。バットの振り出しは、上から振り出しロスは感じられません。ボールを捉える時もバットの先端であるヘッドは下がっておらず、打ち損じは少ないのではないのでしょうか。

 スイングの弧はそれほど大きくなく、フォロースルーも使っていません。そういった意味では、スパンと鋭く振り切ることに主眼が置かれています。強烈な打球が、野手の間を抜けてゆくタイプの強打者かと。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはありますが、目線はそれほど動いていません。身体の開きは我慢できますが、ステップの狭さからか? 軸足が綺麗に地面から真っ直ぐ立てていません。この辺が、彼の能力をロスしている、力を出しきれていない要因かもしれません。

(打撃のまとめ)

 呼びすました時の打球は、実に見事で惚れ惚れします。しかしその打撃を、安定して発揮できないところに課題を感じます。その要因は、やはりステップの狭さと左打者ながらインステップすることでの確実性の低さに原因があるのではないのでしょうか。

 問題はこの動作により、彼独特の踏み込みの良さを生んでいる部分でもあり、修正した時に持ち味を損なわないかということ。欠点を解消するために、彼の良さが無くなるようでは意味がありません。基本的に打撃フォームは、高校時代からあまり変わっていないように感じました。



(最後に)

 素材としては光るものはあるのですが、守備・走力も平均的で打撃も波のある左の中距離ヒッターとなると、プロで特徴を見出し難い可能性は否定できません。しかしそういったタイプでも、長谷川 勇也 のように、プロで一流に昇りつめた選手もいるので悲観することはないでしょう。

 ただし常識的にみて、大学からの指名は厳しいかという気がします。何処か彼の才能に入れ込む球団が現れれば別ですが、このまま社会人にゆくことになるのではないのでしょうか。最後の秋に才能を爆発することを期待しますが、今のところは指名リストに名前を残すまでには至っていないと判断します。



(2016年 春季リーグ戦)




 








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