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笹川 晃平(23歳・東京ガス)外野手の個別寸評へ







笹川 晃平(東洋大4年)中堅 181/79 右/右 (浦和学院出身) 





                 「何が悪いというわけでもないのだが」





 昨秋の東都入れ替え戦で 今永 昇太(DeNA)と息詰まる対戦を魅せた 笹川 晃平 。大学球界屈指の、右の強打者として期待された今季、思うような成績が残せず苦しんでいる。現状の笹川はどうなのか? 今回は考えてみたい。


(経歴)

 浦和学院時代は、毎年いる浦和学院の好選手の一人という感じでした。しかし3年夏に本格化し、甲子園で活躍。U18の世代を代表する野手に育ち、私自身も卒業時に ☆ を付けた選手でした。東洋大に進学後は、一年春から主力として活躍。1年春・秋で、二部リーグながら3本ずつのホームランを放つなどモノの違いを魅せます。2年春には、打率.419厘で二部ながら首位打者を獲得。秋も.321厘で5位と好成績を残します。しかしこの2年生以外は、2部でも1割台や2割台前半に低迷するなど確実性に課題を残します。それでも昨年の入れ替え戦で魅せたように、時々おっ!と思わせるプレーを魅せる選手であり、能力の片鱗は見せてくれます。しかし打率だけでなく、3年時はホームランも無し。最終学年に一部昇格を果たし、どんなバッティングを魅せるのか注目されたシーズンでした。

走塁面:
☆☆ 2.0  走塁偏差値 40

 一塁までの到達タイムは、右打席から 4.5秒前後。これを左打者に換算すると、4.25秒前後とそれほど早くはありません。これをドラフト指名された右打者のタイムで偏差値化すると、走塁偏差値は 40 となり、かなりプロでは遅い部類に入ります。

 実際プレーを見ていると、もう少し早くは見えます。しかし3年生までの6シーズンで最も盗塁をしたのは2盗塁。足で、アピールするプレースタイルではないことが伺えます。

守備面 
☆☆☆★ 3.5

 打球への一歩目の反応、落下点までの入り方、キャッチングなどは、基準~それ以上のレベルにはあると考えられます。守備範囲も結構広いですし、ときどきちょんぼも観られますが、高校時代よりも上手くなっています。地肩も強い部類なので、上のレベルでも守備で足を引っ張ることはそれほどないのでは。全体的には、中の上レベルの外野手とみています。

(打撃内容)

 ツボにハマればスタンドインできるパンチ力を秘め、広角に打ち返す中距離打者。特に集中した時の打撃は見事なので、1,2年時はシーズンで5打点以上をすべてマーク。しかし今季は、9試合終了時点で 1本 3打点 0盗塁 打率.200厘 と低迷しています。 特に、おもいっきりが悪くなっている感じがします。

(技術的には)

 オフに作成した寸評でフォーム分析をしているので、今春のフォームと比較してみた。しかしフォーム的には大きく変わっておらず、技術的に大きな問題は感じない。もともと、技術的に大きな欠点はない選手なので。この選手の良さは、集中力を高めて甘い球を逃さない「鋭さ」を持っているところ。しかし今は、甘い球が来ても反応し切れず、打ち損じていることが多いように思う。この好球必打が、十分できていないことが1番の問題なのではないのだろうか。

(野球への意識づけ)

 ネクストからバッターボックスに入るときに、ラインを踏む・踏まないの意識には無頓着だということ。ただしこの辺は、強打者タイプの打者だけにそれほど細かさは問題にはならない。むしろ強打者には、そんなことを気にしないぐらいの鈍感さがあった方が結果が悪くても尾を引かない。しかし足場の馴らしも平凡で、打席に入るまでのルーティンにも特にこだわりがないようで、その辺があまり深く野球を追求してきたのか?という不安は感じる。それでも先日生観戦した時に、ネクストで前の打者の投球を真剣に見つめ、投球動作に対しタイミングを合わせるなど準備がいい加減な選手ではなかったし、ネクストでも集中して試合に入れている印象は受けた。あとはもう一歩深く、野球を追求する習慣が欲しい 。

(最後に)

 今季の結果云々に関わらず、プロ入りするのには「旬」を迎えてはいない気がする。もし今プロ入りしても、自分の売りにできるものを見出だせず、埋もれてしまう危険性を強く感じる。この辺は、社会人などに進む、自分の方向性を見つめなおす時間が必要ではないのだろうか。イメージ的には大学の先輩である、清田 育宏(NTT東日本-ロッテ)を思い出すものがある。

清 田の場合は素材の確かさはあるが、粗さが残りもう少しレベルの高い野球を経験してからでもという感じの選手だったと記憶する。この笹川も ポテンシャルの高さは感じるので、それを安定して出せるようになれるか が、指名へのポイントではないのだろうか。それができるようになった時、プロ入りの旬を迎えた評価できそう。今は、その時が来るのをじっと待ちたい。


(2016年 春季リーグ戦) 








笹川 晃平(東洋大3年)外野 181/79 右/右 (浦和学院出身) 
 




                    「ここぞの集中力は素晴らしい」





 昨秋の東都入れ替え戦・DeNAに1位指名された 今永 昇太(駒大)投手との対戦で、改めてこの選手の能力の片鱗が感じられた。浦和学院時代も、最後の夏に素質を開花。JAPANのメンバーの一員としても活躍したが、ここぞの場面での集中力は今も健在。

 1年春から東都二部に低迷するとはいえ、名門の東洋大のレギュラーとして活躍。2年春には、首位打者を獲得。しかし3年の春・秋と共に2割前後の打率に低迷。しかし入れ替え戦でその才能の片鱗を見せ、この春はいよいよ初の一部でのシーズンに挑む。今年の右の大学生外野手としては、全国でもトップクラスの実績と実力を兼ね備えた選手だと言えよう。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、右打席から4.5秒前後。これを左打者に換算すると、4.25秒前後に相当し平凡なタイム。むしろプロに入る選手のレベルで考えれば、中の下レベルであり走力は期待できない。実際もう少し速く走れそうにも見えるが、大学入学以来最も多いシーズン盗塁数は2個。3年時には、春・秋共に盗塁は記録していない。基本的に、走力を期待するのは厳しそう。

 外野手としても、アマレベルでも可も不可もなしという感じで、けして際立つものはない。しかし地肩に関しては、結構強い部類なので、この点ではプロでも基準レベルを満たすものは持っていそう。長い目で見ると、右翼より左翼あたりで落ち着くのではないのだろうか。

(打撃内容)

 ここまでの6シーズンでの通算本塁打は8本。そのうち6本までが1年時記録しており、3年時には一本も記録していない。基本は、パンチ力を秘めた広角打者という印象。打撃成績にムラがあるが、首位打者を獲得したこともあるように爆発力は秘めている。

<構え> 
☆☆☆☆

 前足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・全体のバランス・両目で前を見据える姿勢も理に適っている。打席でも適度な緊張感と程よく力も抜けており、高い集中力を感じさせる良い構えではないのだろうか。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がり始めるかというぐらいには動き出す、「早めの仕掛け」を採用。ボールを 線 で追うタイプであり、速球でも変化球でも、幅広く対応しようとするアベレージヒッターの打ち方。

現状の彼は、少しでも打率をあげようと確実性を重視していることが伺われる。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 始動~着地までの時間に余裕があり、真っ直ぐからややベース側に離れた方向に踏み出すアウトステップ。アウトステップするということは、懐を空けて打つわけで内角を強く意識したスイングであることがわかります。
 
彼の場合は、けしてインサイド・アウトにバットが出てくるタイプではなく、得意の内角をより捌くためというよりも、苦手な内角球を少しでも克服するため と考えた方が適当なのではないのだろうか。踏み込んだ足元はブレないので、アウトステップでも外角よりの甘い球や高めの球ならば充分ついて行けるはず。

<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形は早く作れており、速い球に立ち遅れません。それでいて、リストワークに力みが感じられないところは良いところ。

 バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトで内から出てくるタイプではありません。しかし外の球に対しては大きなロスは感じられず、インパクトの際にもバットの先端であるヘッドが下がらないのは良いところ。甘い球を、打ち損じの少ないスイングで叩けています。

 しかしインパクト後のスイングの弧の大きさや、フォロースルーなどの形などを見ると、強く引っ叩くタイプであり、打球を遠くに運ぶ打者ではけしてありません。鋭い打球で野手の間を抜けてゆく打者であり、けして長打を売りにするタイプではないことがわかります。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げはありますが、それほど目線の上下動は激しくありません。体の開きも我慢できていますし、軸足も地面から崩れることなくスイングできています。軸は安定しており、打撃の波は少なそうな打者に見えますが、そうでもないのは気になります。

(打撃のまとめ)

 高校時代に 
 を付けた選手でもあるのですが、秘めたる打撃の潜在能力はかなり高いと見ています。江越 大賀(駒大-阪神)外野手の大学時代に比べると、爆発力では劣るものの根本的な対応力では上回るのではないかとみています。


(最後に)

 江越のような肩・走力などに高い能力はないので、あまり潰しが効かないところは気になります。しかしそうかといって、けして守備力・肩がないわけではないので、勝負は打力によるところが大きいとみています。

 高校時代はJAPAN代表で活躍するような高いレベルでも揉まれており、プロの世界に入れればその潜在能力の高さはもっと引き出されるのではないかと期待します。4年春、それも初の一部という舞台でモチベーションが上がらないはずがありません。そういった中で、どんな結果を残してくれるのか期待せずにはいられません。そこでの結果で、プロ入りの有無が決定してきそうです。


(2015年秋 入れ替え戦)









笹川 晃平(浦和学院3年)右翼 181/78 右/右 
 




                      「この夏評価急浮上」





 夏の埼玉県予選では、打率.211厘と低迷。しかし甲子園では、2試合連続ホームランを放つなど、大いに存在感をアピール。その勢いのままU-18の日本代表メンバーに選出され、試合ごとに評価をあげていった。予選リーグ序盤は、9番打者として出場。しかし決勝リーグの頃には、5番打者として信頼を勝ち得た。しかし私は、この選手をこれまで、殆ど気にしたことがなかった。今やプロからも注目されるほどになった 笹川 晃平 。その実力のほどを考察してみたい。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間を、大体4.5秒前後で走り抜けます。これを左打者に換算すると、4.25秒前後。高校生としては速い部類ですが、上のレベルに混ぜてしまうと並の走力。夏の埼玉予選では、6試合で3盗塁。それなりに動ける選手ではありますが、これから足を売りにして行けるのかには疑問が残ります。

 右翼手としての動きは、けして悪くありません。打球への反応、守備範囲・球際に強いキャッチングなども、一連の流れの中で動けています。U-18の韓国戦でもホームへの返球で見せたように、地肩はかなり強い部類。プロでも、右翼手を担えるだけの身体能力・守備力はあると評価できます。これからも強肩を生かして、右翼を守り続けるのではないのでしょうか。

 こうやってみてみると、ドラフト候補としては走力は平均的、守備は、中の上レベルには位置づけられる選手ではないのでしょうか。


(打撃内容)

 基本的に、どの方向に打球を打ち返せる幅のある打撃ができます。その反面、緩急に脆い印象を受けました。ツボにハマれば、スタンドインのパンチ力を兼ね備えるなど、広角に打ち返す中距離ヒッターという感じです。

<構え> 
☆☆☆

 前足を引いた、右オープンスタンスで広くボールを呼び込みます。グリップの高さは平均的で、背筋を伸ばし打席に立ちます。全体のバランスは並ですが、両目でシッカリ前を見据え、ボールを狂いなく追える構えです。適度にリラックスもできており、特に可も不可もなしといった構えでしょうか。

<仕掛け> 平均的な仕掛け

 甲子園の映像の頃は、一度ベース側につま先立ちして、それからステップし直す「遅すぎる仕掛け」を採用していました。しかしU-18の世界選手権で、それではスピードについて行くのが厳しいと考えたのか、投手の重心が下りきるところで始動する「平均的な仕掛け」に短期間で変更。

 この仕掛は、ある程度の対応力と長打力をバランス良く兼ね備えた中距離打者のスタイル。勝負強い打撃をする、彼らしい仕掛けだと言えそうです。


<足の運び> 
☆☆☆☆

 
始動を早めたことで、着地までの「間」が作れるようになり、速球でも変化球でも合わせやすいタイミングの取り方に変わりました。しかし韓国戦では、やはり緩いカーブが待ちきれない脆さが残っており、緩急への対応が課題という印象を受けます。

 真っ直ぐ踏み出しているように、内角でも外角でも捌きたいという、彼の意志が感じられます。実際に広角に打ち返す打撃をします。踏み込んだ足元は、インパクトの際にもブレません。これにより外角の厳しい球や低めの球に対しても、開きを我慢して食らいついて行くことができます。無理なく右方向に打ち返せるのも、この足元の盤石さ故でしょう。

<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」を無理なく作れています。少しバットを寝せて遠回りに出てくるのですが、それを抑えようと、バットのヘッドを立てる意識を持っています。これでドアスイングになるのは防げているのですが、スイング波打ったりして、少しいびつなスイングになることがあります。それでも割りきって、スパッと振りきれた時のスイングにはみるべきものがあり、ヘッドスピードの早さなどは、ドラフト候補にふさわしいものがあります。

<軸> 
☆☆☆

 少しボールを追ってしまい、頭が動きがちです。それでも身体の開きは我慢できていますし、軸足は地面からまっすぐ伸びて、軸回転でスイングできています。

(スイングのまとめ)

 割り切った時の思いっきりの良いスイングは、まさにプロ級という鋭さがあります。ただ、緩急に脆い部分も垣間見られ、その辺が今後ネックにならないのかが多少心配です。この選手の打撃は、どう転ぶかは非常に判断が難しいように思います。


(最後に)

 守備・走力・打撃と、現状何か図抜けたものがあるかと言われると少し疑問が残ります。そのため上手く特徴を見出して行かないと、例えプロに入っても埋もれてしまう可能性も否定できません。

 ただ、この夏にグ~ンと甲子園、日本代表を経験して伸びたように、勢いのある素材なのは確かでしょう。ドラフト候補としては、指名ボーダーレベルの選手ではあると思います。ただこの急成長を「旬」と考えることもでき、ちまちましたアマの世界で中途半端な選手になっても致し方ありません。どう転ぶかわかりませんが、プロとアマどちらかがいいかと云えば、私はプロではないかという判断を下したいと思います。まさに「鉄は熱いうちに打て」です。



蔵の評価:



(2012年 夏)