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中道 勝士(オリックス)捕手のルーキー回顧へ



 中道 勝士(明治大)捕手&内野 173/78 右/左 (智弁学園出身
 




                     「何故指名された?」





 智弁学園時代は、打てる捕手として注目された。プロの捕手としてはやや小柄だったのと、それほど圧倒的な肩があったわけでもないので、そのまま明大に進学することになる。しかし4年間での出場数は、わずかに10試合(10打席)ほど。春こそ8試合に出場してたが、それも一塁での出場だった。たまたま一塁でスタメンに出た試合の模様を見ていたが、これも4年間で唯一のスタメン出場だった。


(ここに注目!)

 高校時代から、打力に定評のある捕手でした。名門・智弁学園でも常に中軸を任されていた選手。高校通算28本塁打のパンチ力を秘めていましたが、最終学年の頃には好打者タイプに変わっていました。

守備面・
☆☆☆ 3.0

 高校時代は強打の捕手という割には、ディフェンスも悪い選手ではありませんでした。また唯一スタメンで出場していた立教大戦では、一塁手としては軽快で打球への反応も悪くありません。一塁ゴロの際には、一塁ベースを踏んでからホームに滑り込んでくる走者を刺すなど、状況に応じ何をしなければ行けないのか冷静に判断できる選手だと感じました。

 捕手としては、普段は捕手をやっていたものの、正捕手の 牛島将太 がいたからマスクをかぶれなかっただけなのか? それとも普段からもう、捕手はやっていなかったのかは定かではありません。オリックスは、やはり捕手として指名したのでしょうか?


(打撃内容)

 打球を見ていると、センターからライト方向への打球が目立ちます。特に途中から、打球がグングン伸びてゆく飛球に特徴があります。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前足を引いた左オープンスタンスで、グリップを高めに添えます。背すじを伸ばし全体のバランスとしては並なものの、両眼でしっかり前を見据えます。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がる段階で動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは典型的なアベレージヒッターに多く観られる仕掛けであり、彼も確実性を重視していることが伺われます。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて回し込み、少しベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。ベース側に踏み込むことからも、やや外角寄りに意識があるのでしょう。

 踏み込んだ足元も、なんとかインパクトの際に我慢。逃げてゆく球や低めの球にもある程度食らいつくことができますが、あまりレフト方向に打ち返そうという意識は薄いように感じます。外の球を引っ張り込むという、確実性に欠けるスイングになっています。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、特に力みも感じません。バットの振り出しの際に肘が下がって出てくるので、ボールを捉えるまでにバットが遠回りになりがちでその辺が気になります。ボールを捉えてからはフォロースルーは観られませんが、スイングの弧が大きく打球を遠くに運ぶのかもしれません。

<軸> ☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げはあり、目線の上下動は平均的。身体の開きは踏み込んだ足元を、なんとか地面にめり込ませて我慢。軸足の形は、打ち終わったあと少し崩れているように感じます。

(打撃のまとめ)

 内角の球に対しては、インステップして踏み込んだり肘を下げて打ち出すので、バットが素直に出てきません。それならば外角に優れた打ち方かというと、無理に引っ張り込む傾向が強いので、打てるコースの幅は限られていることがわかります。

 ボールを捉えてからは、大きなスイングの弧を描き想像以上に打球が伸びてゆくところは魅力。やはり確実性が、どのぐらいなのかが問題なのではないのでしょうか。



(最後に)

 大学に入ってからは一塁しか観ていませんし、非常に限られた打席だけということになります。捕手としてもう一回鍛え直すつもりじゃないと、この選手の指名した意味がわかりません。押し付けられたのかわかりませんが、今ドラフトで最も指名した意図がよくわからない指名でした。


(2016年 春季リーグ戦)









 中道 勝士(智弁学園)捕手 170/74 右/左





                    「意外にディフェンス面もいける」





 元々打撃優先の捕手だと思っていたが、神宮大会でじっくり見てみると、結構しっかりしたディフェンス力を持った選手。それも捕手的な性格も感じさせる選手だった。高校通算26本塁打の強打が目立つが、攻守にバランスがとれているのに驚く。


(ディフェンス面)

 一球一球、投手のボールに力負けせずに、ボール押し込めるキャッチングは見ていて気持ちが良いです。ミットを投手に示して、グラブは地面に下げません。そのためワンバウンド処理にも素早く対応でき、フットワークも見た目以上に軽快。

 また心地の良いキャッチングに加え、テンポの良いリードも投手の好投を導きます。投手への返球は、軽くかつ安定。投手を、上手く調子に乗せてゆきます。スローイングは、正確なタイムは計測出来ていませんが、次の動作への移行も悪く無いですし、送球もコンパクトなので、けして遅くはなさそうという印象は受けます。選抜では、どのレベルの地肩と到達タイムなのか、しっかり見極めたいポイント。

 ただ残念なのは調子の良い時はいいのですが、悪くなると相手の勢い止められず、一気に崩れてしまうところ。その辺をもう少し、リードなり間のとり方などを工夫して、相手のペースにさせない試合運びができるようになると良いと思います。ことスローイングを除く部分(不明点)以外は、中々の好捕手だという印象を受けました。





(打撃内容)

 打撃も、もっとパワフルで荒々しいタイプかと思いましたが、むしろタイミングを狂わされても微調整して、ヒットにしてしまうなど、上手さの方が目立つ選手でした。ちなみに、一塁までの塁間は、4.3秒台であり、中の下レベル。やはり彼の強打は、捕手として活かすべきだと考えます。

<構え> 
☆☆☆☆

 スクエアスタンスで両足を揃え、グリップは高く捕手側に引いて添えられます。腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢などもよく、全体のバランスが抜群の好い構えです。あとは、力まないように脱力することを常に意識したいところ。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 投手の重心が下がるときに始動する、「早めの仕掛け」を採用。典型的な、アベレージヒッターが採用するスタイル。そのため以前のようなパワフルな長打力よりも、合わせる上手さがむしろ目立つようになってきました。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 足を上げて回しこみながら、ベース側にインステップして踏み込みます。足を上げてから下ろすまでの「間」がとれているので、いろいろな変化に対応できる幅があります。ただ強打者らしく、ベース側に踏み込むことで、外の球でも強く叩くことができます。踏み込んだ足元も、地面にめり込ませることで、体の開きやパワーロスを最低限に抑えられています。ただステップを狭めにしているので、レフト方向へ流す打球も可能ですが、基本的に引っ張る打撃を好みます。

<リストワーク> 
☆☆☆

 あらかじめグリップを、捕手方向に引いて添えます。そのため打撃の準備である「トップ」は、早く作れています。ただリストワークが、力んで固くならないように心がけて欲しいですね。バットの振り出しは平均的ですが、バットの先端であるヘッドを下げないようにスイングできているので、大きなロスは感じられません。

 ただ思ったよりもスイングの弧は小さく、コンパクトに振り抜きます。先ほど述べたように、タイミングが狂わされても、微妙に手元で調整してスイングができる器用さがあります。ただむしろ、もっと強く・鋭く振り抜ける凄みみたいなものが、今は欲しいかなと思います。逆に上手さが目立ち過ぎるようになってきて、上のレベルを意識すると、物足りないかなというスイングになっています。

<軸> 
☆☆☆

 足の上げ下ろしは静かなので、目線の動きは小さめで安定。体の開きも我慢でき、むしろ軸足が前に傾いて突っ込んでいるのが気になります。始動が早いせいもあるのですが、ステップの幅が狭く前捌きのような形になっています。これが、アベレージヒッターにとって悪いことかは微妙ではあります。しかし突っ込む打撃だけは、好不調の波は大きくなりがちです。

(打撃のまとめ)

 今はもう、強打者というよりは好打者です。ボールに合わせる技術・センスに優れますし、体が強いので長打も放てます。ただこれからの上のレベルの野球を意識するのであれば、もっとスイングに凄みみたいなものが出てきて欲しいと思います。

(今後は)

 打てる捕手という、希少価値があるのは確かです。また想像以上に、キャッチングを中心にディフェンス力があり、捕手としての適性もありそうな性格です。ただ体格の無さとスローイングの能力がわからないので、まだ私自身判断がつきかねます。その辺は、選抜でじっくり見て見られたらと思っています。ただ現状は、強豪大学や・名門社会人チームなどで、野球を続けて行くタイプになるのではないのでしょうか。


(2011年 神宮大会)