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菅原 祥太(日本ウェルススポーツ大)中堅 183/95 左/左 (駿台学園出身) |
「まさに隠し玉」 ドラフト指名されるまで、正直全く知らない選手でした。恐らく指名したロッテ以外は、何処もマークしていないだろうということで、ロッテの指名の中でも一番最後での指名になったと考えられます。今回は、今ドラフトでも1,2を争う隠し玉について触れてゆきます。 (プレースタイル) 強肩・俊足、パワフルな打撃という触れ込みですが、見た目はアスリート系というよりもガッチリした体型で、それほど俊敏な選手には見えません。イメージ的には、少しオーソドックスにした 脇本 直人(健大高崎-ロッテ)外野手に似た感じがする選手。 走塁面:☆☆☆★ 3.5 一塁までの塁間は、左打席から4.0秒前後とまずまずの速さ。ただしプロでドラフト指名される左打者の平均は、4.1秒ぐらい。そう考えると、全体としては中の上レベルぐらいかと。最初の一歩目はそれほど鋭くないのですが、トップスピードまでの加速、隙を突くベースランニングなどにはスピード感を感じます。 観戦した試合では、3塁への盗塁を試みるもアウト。そういった実戦で盗塁を決められる能力に優れているのか? そこまでプロに混ぜた時に、図抜けた走力の持ち主かと言われると微妙かと。特に盗塁に必要なのは、走力や癖を盗む技術も大切。しかし一番重要なのは、積極的に次の塁を狙おうとする勇気です。その点でこの選手は、ガンガンゆくような攻撃的なタイプに見えなかったのは気になる部分でした。 守備面:☆☆☆★ 3.5 打球勘は良く、落下点までの動きに迷いはありません。それでも守備範囲が凄く広いとか、キャッチングが上手いという印象ではありません。高校時代は投手だっただけはあって、返球は強く地肩はそれなりに強く見えました。ただし気になるのは、スローイングの際に少し雑な一面が見られ、そういった意味で連携プレー含めてどうなのか? という不安は残りました。俊足、強肩の身体能力はある程度あるのでしょうが、実戦的な部分では疑問は残ります。何度か飛んでいった打球の処理や動きを見る限り、プロに混ぜると平均~中の上レベルといった感じで、まだまだプロで鍛えないと行けないだろうなという気はします。 (打撃内容) ティーバッティングの動画などを見ていると、凄く豪快なスイングをしているのは印象的。しかし試合を観る限りは、右に左へと強く打ち返しますが、それほど打球が上がるタイプには見えません。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えます。背すを伸ばし、全体のバランス、両目で前を見据える姿勢も悪くありません。素材としてはやや柔軟性に欠けるタイプに見えますが、力まないように身体を動かし揺らいでリラックスを心がけます。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。始動の観点で言えば、対応力を重視したアベレージヒッターの傾向が強い打者です。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を引き上げて、真っ直ぐ~アウトステップ気味に踏み込みます。始動~着地までの間は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐからアウトステップするのをみると、内角への意識が強く引っ張り傾向が強いように思います。それでも左方向にも、強い打球を飛ばすこともできます。 踏み込んだ足元は、インパクトの際にもなんとかブレずに我慢。しかし腰の逃げが早いせいか? 外角の球や低めの球に対しては、開きを我慢しきれないでスイングしています。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備であるトップの形は、早めにバットを引いて作れています。そのぶん前の肩が早くから後ろに引かれているために力みやすく、リストワークには柔軟性は感じません。振り出し自体は特に癖はないのですが、恐らく真ん中~内角よりの球をかち上げるように引っ張る時に長打を放つのでしょう。しかしそのわりには、インサイド・アウトで振り抜けているわけではなく、内角の球に対しスムーズにバットが出てくるかは微妙。それでいて外角へのスイング軌道は悪くないのですが、腰の逃げが早いぶん充分に壁をキープできないので、打てるコースの幅は狭いのではないかと予測します。それでもバットの先端であるヘッドは下がっていないので、タイミングさえ合えば、しっかり叩けるとは思うでのスが・・・。 あとスイングの弧の大きさやフォロースルーはそれほどでもなく、よほどうまく巻き込めないと打球は上がらないのではないかと思います。スイング自体は非常にパワフルで、プロの球に力負けするということはないと思いますが。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げはありますが、目線の上下動は少なめ。身体の開きも我慢できていますし、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定。さらに内モモの筋肉も強そうで、強烈な打球を生み出す原動力にはなっていそう。 (打撃のまとめ) 恐らく緩急への対応よりも、さばけるコースが限られていることが問題なのではないかと。内角でも厳しい所をさばけるスイングではないし、外角の球に対し壁をキープして打つのにも優れていません。そのため捌けるコースは真ん中周辺であり、限られているのが気になります。 そういった意味では、プロの球や配球に対応するのには時間がかかりそうな気がします。打てる球を逃さず叩き特徴を出すのか、打てるゾーンを広げて対応力を上げてゆくのか?長所を磨いてアピールするのか、短所を修正して確実性を増すのか? 難しい選択に迫られそうです。 (最後に) 走力・肩などの身体能力はそれなりにあり、守備も悪くありません。打撃もパワフルで、ひょっとして大化け?の期待は抱きなる素材ですが、現在プロにおいて際立つ武器があるのかは疑問。それだけに一つ間違えると、非常に中途半端な位置づけに埋もれてしまう危険性も感じます。 また上記に触れたスローイングの雑さや、打席に入る時にも足場の馴らしが淡白だったり打席に入るまでの気持ちの持って行き方にも問題があり、まだまだ意識が浅いのかなと思える部分が見られました。この辺は、プロの厳しい環境で何処まで改善されるのか注目したい部分。 個人的には隠し玉というよりは、やはり育成枠ならでは可能性に賭けた素材だと思います。そのため一軍で勝負できるようになるのには、ある程度の時間と忍耐力が必要だと考えます。育成枠での指名選手が一軍で活躍しているロッテだけに、どのように彼を導いてゆくのか期待が持てます。あくまでも現時点では、身体能力の高い素材型選手を育てる、そんな感じの指名ではないのでしょうか。 (2016年秋 オープン戦) |