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沢田 圭佑(立教大4年)投手 178/96 右/左 (大阪桐蔭出身) |
「復調気味だったのに・・・」 六大学通算22勝をあげ、この秋は復調気味だった 澤田 圭佑 。しかし11月に行われた ヤクルトVS六大学選抜 の試合では、いっきょ六失点するなど試合をぶち壊した。それ以上にこんな投球では、プロ入り後大丈夫なのかと不安を残す内容だった。 (ここに注目!) 下級生の時は、140キロ台後半の速球を投げるわりに、実戦的な投球もできる力と技を兼ね備えた投手だった。通算22勝のうち14勝は、最初の2年間にあげたもの。大学3年生から明らかにボールの勢いがおち、その投球を取り戻せるかが鍵となる。 (投球内容) ワインドアップから、振りかぶって投げ込んできます。 ストレート 130キロ台中盤~140キロ台前半 ☆☆★ 2.5 ヤクルトとの交流戦では、シーズンも終わっていた時期とはいえ130キロ中盤~後半程度で打ち頃でした。それでいてそれほど繊細なコントロールもないので、ボールが走っていないと格好の餌食に。全盛期に比べると、球速は10キロは遅くなっています。しかしこの秋のリーグ戦で見た時は、常時140キロ前後~中盤ぐらいまでは出ているのではないかという勢いは取り戻しており、復調気味だったように見えたのですが・・・。またボールが走らなくなった原因が、イマイチはっきりしないのも気になります。いずれにしても今のままでは、プロでも早期に退団することになるでしょう。 変化球 スライダー・チェンジアップ・フォーク・カーブなど ☆☆☆★ 3.5 曲がりながら落ちるスライダーでカウントを整え、カーブで緩急を利かしたり、チェンジアップなどを織り交ぜ的を絞らせません。それほど空振りを誘える落差はありませんが、フォーク系の沈む球も持っています。速球派でありながら、多彩な変化球も織り交ぜられるのが、この投手の良さでした。 その他 身体は太いのですが、クィックは1.1秒前後でまずまずで牽制も鋭いものがあります。ベースカバーやフィールディングも、その見た目と違い動きの良さを感じます。野球センスが高いというか、動ける身体能力は持っています。 (投球のまとめ) 器用貧乏というか、速球派の割に多彩な変化球を織り交ぜ、うまく投球に織り交ぜるセンスがあります。その割に繊細さがないというか雑な一面があり、その辺が成長を妨げたり、結果に結びつけなかったりとする部分があるようです。 高校でも最終学年になって頭角を現したり、大学では下級生までに不動の地位を築きました。どうも身体が持たないのか?気持ちが持続できないのか? いずれかの要因で長く安定した成績を残せないタイプなのではないかと感じます。元来の能力を取り戻せば、ドラフト8位でも上位指名に引けのとらない活躍が期待できます。 (成績から考える) 今回は、彼の全盛期だった1年~2年までの通算成績と復調気配を魅せた4年秋の数字を比較しながら考えてみたい。 1、2年 35試合 220回1/3 172安打 43四死球 143三振 防御率 1.59 4年秋 9試合 8回2/3 6安打 1四死球 4三振 防御率 1.69 1,被安打はイニングの80%以下 ◯ この秋のサンプルは少ないものの、被安打率は69.8%。下級生時代は、78.1% と基準を満たしている。そういった意味では、ボールの威力だけでなく、配球やフォーム含めて大きな欠点ではないように思う。 2,四死球はイニングの1/3以下 ◎ この秋の四死球率は、11.6%。下級生の頃の四死球率は、19.5% と、元々非常に四死球率が低い安定したコントロールの持ち主だった。 3,三振は1イニングあたり0.8個以上、ただし4年秋は0.9個以上 ☓ 4年秋は、リリーフでの登板だったので0.9個以上を求めたい。しかし1イニングあたり0.47個と極めて少ない。それに比べ下級生時代は、0.8個以上を決め手のある目安に。下級生時代も0.65個と並なレベルであり、元々三振を奪うタイプではない。サンプルが少ないので一概に比較できないが、この三振比率の低下が以前ほどのものを感じられない理由かもしれない。 4、防御率は1点台以内 ◯ 今季が1.69 と基準レベルだし、下級生の時も1.59と大差はない。絶対的な数字ではないが、ファクターを満たしており問題はないだろう。まぁ上位指名を狙うような選手は、何処かで一度は0点台のような絶対的な数字を残して欲しい。彼の場合は、2年秋の 1.11(2位)が、最高の成績となっている。 (データからわかること) やはりこの秋の成績を観る限り、下級生時代の成績に勝るとも劣らない数字は残していた。もちろんサンプルも少ないし、何より先発で残していた下級生時代とリリーフで残した4年秋とでは一概に比較はできないだろう。 しかしてっきり社会人に進むものかと思っていたが、この復調気配をオリックスが見落とさなかった。更に8位でも入団するという、確かな情報を元に指名したことが伺われる。 (最後に) 仮に4年秋まで下級生並みの投球を続けていたら、間違いなく3位以内では指名されていただろう。ちょっとパフォーマンスが低下した理由がよくわからないものの、それがウエートコントロールやモチベーションの低下などが要因だとしたら、短期的には能力を取り戻せる可能性は秘めているといえる。 そういった意味では、それだけの能力のある選手が8位で指名できたのは美味しい指名でもあったのかもしれない。私自身も秋の沢田は復調気味で面白いのではないかとTwitterなどでも呟いていたので、とりあえずドラフト指名されたことは興味深い。全幅の信頼はヤクルトとの交流戦を見たらできないが、仮に復活するかもという期待は抱ける状況なので、指名リストに名前を残してみたいと思わせる秋だった。 蔵の評価:☆ (一か八か指名の最後の方ならアリなのでは?) (2016年秋 プロ・アマ交流戦) |
澤田 圭佑(立教大3年)投手 178/90 右/左 (大阪桐蔭出身) |
「クレバーなのに雑」 ゴッツイ体格から腕を真上から叩きつけて来る 澤田 圭佑 。その見た目とは裏腹に、間合いを変えて相手を焦らしたり、内角を突いて内野ゴロを必要なときに打たせるなど、その投球内容は実にクレバー。逆にそのことが、下級生の時のようなパワーピッチをしなくなった要因の1つではないのだろうか。彼にはもっと、持ちえる能力でガンガン押して頂きたい。 (投球内容) 春見た時はワインドアップから投げ込んでいたのですが、秋の法大戦ではノーワインドアップから投げ込んでいました。 ストレート 130キロ台後半~140キロ台中盤 腕を真上から叩いている来るフォームなので、ボールに角度が感じられます。以前のような140キロ台中盤~後半で押すようなパワーピッチは見られず、現在は常時130キロ台後半~140キロ台中盤ぐらいとおとなしくなった気がします。 基本的に四死球で崩れるようなタイプではないのですが、ストライクゾーンの枠の中では結構アバウト。右打者にはおおよそ内外角に投げ分けられているものの、左打者にはあまり細かいコントロールはありません。 力で押している時には見栄えがしますが、開きは早く合わされやすいフォーム。それを角度をつけることによって、微妙に芯をズラすような投球が持ち味です。 変化球 スライダー・フォーク・カーブなど 主な変化球は、この3つ。曲がりながら落ちるスライダーでカウントを整えます。そしてカーブで時々緩急を利かせつつ、追い込むとフォークを投げてきます。しかしこのフォークの精度も、まだ絶対的なものはありません。 その他 牽制は鋭いですし、ベースカバーに入るのも遅くありません。クィックも1.10~1.15秒で投げ込めるなど基準レベル。見た目と違い、動きもまずまず俊敏なタイプ。 内角を意識的についたり、ランナーを出すとボールを長く持って、打者や走者を焦らします。そういった、投球センスも併せ持ちます。 (投球のまとめ) 必ず第一戦を任せられる絶対的な立場から、どうしても力をセーブせざるえないチーム事情もあります。しかし昨年は、何処か痛めていたのか? それを割り引いてもらしくない投球も少なくありませんでした。最終学年だけに、もう一回引き締めて挑んで欲しいところ。 クレバーなのだけれども、きめ細やかさがないという、ちょっと面白いタイプの投手。その辺が、最終学年においてどう出るか気になります。 (投球フォーム) 今度は実際にフォームを分析して、何処が雑なのか見てみましょう。 <広がる可能性> ☆☆☆ 引き上げた足は、比較的高い位置でピンと伸ばせてはいます。しかし二塁側にかなり送り込んでいるのもあり、多少甘めなのが気にはなります。体を捻り出すスペースは大方確保できているので、カーブで緩急を効かせたり、フォークのような縦の変化を投げるのにも無理は感じません。 「着地」までの粘りは平均的で、可も不可もなしといった感じ。そのため体を捻り出す時間は、並と言えるでしょう。いろいろな球を投げられる下地はあるものの、絶対的なキレや曲がりを得られないのは、この辺の動作に甘さが残るからかもしれません。 <ボールの支配> ☆☆☆ グラブが体の近くで抱えられていないので、どうしても外に逃げようとする遠心力を抑えられず両サイドへの制球を乱しやすくなります。まして足の甲も完全に地面から浮いてしまうので、力を入れて投げるボールが上吊ってしまいます。 その辺を上から腕を振り下ろすことや「球持ち」の良さで、なんとか制御しているという特殊なフォーム。 <故障のリスク> ☆☆ お尻は落とせるフォームなので、カーブやフォークなどを投げても、肘への負担は少ないのでは。しかし腕の送り出しは、無理に真上から叩きつけているために、肩への負担は大きいのではないのでしょうか。その辺が、昨年のパフォーマンス低下に繋がったのではないかと危惧します。そういった部分で、プロでどのぐらいのパフォーマンスを長いシーズンで持続できるかには、多少の不安は残ります。できれば先発で、間隔を空けて使って頂きたいタイプかと。 <実戦的な術> ☆☆☆ 「着地」までの粘りは平均的ですが、ボールに角度をつけることで打者のタイミングをズラすことはできています。しかし「開き」は早いので、球筋がいち早く読まれやすくコースを突いた甘くない球でも打たれてしまう危険性があります。 腕は強く振れているので、速球と変化球の見極めは困難。足の甲で地面を捉えられていないのは気になりますが、前に覆いかぶさるように体重をかけることで、ボールにある程度体重を乗せることはできています。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」に大きな課題を持っています。 制球を司る動作には問題があるものの、他の部分で補いソコソコに。腕の送り出しの問題から、肩への負担など故障の心配があります。 (最後に) 最終学年に、下級生の時のようなパワーピッチが取り戻せているのならば、上位指名の可能性も充分あるでしょう。しかし昨年ぐらいの内容だとすると、中位以降に落ち着いても不思議ではありません。ゲームメイクできる先発も可能な貴重なタイプだけに、もう少し細かいところまで追求してゆくような欲が出て来れば、面白いと思います。そこが、今年のチェックポイントではないのでしょうか。 (2015年 秋季リーグ戦) |