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丸山 泰資(東海大4年)投手 176/79 右/右 (東邦出身) |
「よくわからず」 春のリーグ戦の内容では、プロ入りはないだろうという醜いデキだった 丸山 泰資 。しかしこの秋は、3.29 だった防御率が 2.84 と回復傾向にあったように幾分復調の兆しを魅せていた。 しかしこの秋ようやく確認できた丸山は、僅か5球程度の登板で何処まで復調しているのかまではよくわからなかった。 (ここに注目!) 好調時には、150キロ前後の切れ味抜群の速球を投げ込みます。私が観戦した横浜市長杯でタイムリーを浴びた速球は、ハマスタのガンでは149キロ・私のガンでは94マイル・151キロを表示していた。そこまで彼の球速は、回復したと見ても好いのだろうか? ちなみに春のリーグ戦で観戦した時は、先発だったとはいえ87マイル(140キロ)がMAXだった。 (投球内容) 観戦した試合では、リリーフで登場。ボールがひっかかり過ぎてまともにストライクが決まらずに死球。ランナーをタメたところで、渾身のストレートをセンター前にはじき返されて降板した。 気になるのは、この試合も終盤になるまで起用されなかった今の状態と彼のチーム内での位置付け。この起用の仕方からも、春よりは良かったものの、全幅の信頼を勝ち取るまでには回復していないと見た方がいいのかもしれない。 (投球フォーム) 球数も少なかったのと、春の寸評の時にフォーム分析をしていないので、この秋のフォームから今後の可能性を考えてみたい。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は一塁側には落ちません。身体を捻り出すスペースが充分ではないので、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に鋭く落ちる変化球には適さない投げ方です。 「着地」までは、適度に前に足を逃がすことができ悪くありません。そういった意味では、身体を捻り出す時間はキープできており、カーブやフォークといった球種以外ならばモノにして行ける可能性は感じます。実際のところ、曲がりながら沈むスライダーには威力があります。 <広がる可能性> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定。足の甲でも地面を押し付けることができ、ボールは力を入れても高めには抜け難いはず。むしろボールが引っかかり過ぎて、ワンバンするような球の方が多いと感じがします。「球持ち」は並で指先の感覚もそれほどでもなく、繊細なコントロールがあるというタイプではないでしょう。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻は落とせないフォームですが、たまにカーブを使ってきます。それでもその頻度の少なさや、フォークなどは使って来ないので肘への負担は悲観しなくて好いでしょう。 腕の送り出しを見る限り、肩への負担も少なそう。パフォーマンスの低下は、何処に原因があったのかは外部からは伺い知れず。フォーム的には、それほど故障の原因になりそうな動作は見当たりません。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りも悪くなく、身体の「開き」も抑えられているので、打者から合わされやすいということはないと思います。 腕の振りは鋭く、投げ終わったあと身体に絡みます。そのため、速球と変化球の見極めは困難。踏み込んだ足元が突っ張ってしまって、体重がグッと前に乗って来ないところが気がかかりです。そのためボールはキレ生みますが、球威が持てない原因になっています。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「体重移動」に若干物足りなさを感じます。コントロールを司る動作や故障のリスクは悪くないので、その点ではそれなりに評価できるフォームではあるのですが。 (最後に) 下級生までの内容ならば、3位前後で指名されても不思議ではない内容でした。特に体格の無さから先発であると物足りなさは残るものの、リリーフ時のボールのキレには目を見張るものがあります。そういった意味では、山崎康晃(DeNA)と似たようなタイプとも言えるでしょう。ボールの勢いを取り戻すことができれば、1年目からリリーフでも貴重な活躍を魅せても不思議ではありません。ただし完全復調にはまだ疑問が残る部分があるので、評価としてはおさえ気味にならざるえなくなります。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2016年 横浜市長杯) |
丸山 泰資(東海大4年)投手 176/75 右/右 (東邦出身) |
「完全に踏み外した」 昨年の大学選手権では、リリーフでMAX151キロを記録するなど素晴らしい伸びのあるボールを投げ込んでいた 丸山 泰資 。しかし秋の神宮大会の代表決定戦で見た彼の姿は、大学選手権の面影のないものだった。それだけに今春は、どんなピッチングをするのか注目して見ていたが、昨秋の不調を引きずるようなピリッとしないシーズンとなった。上位指名候補とも目されていた一人だが、ドラフト戦線からは大幅に後退した印象は否めない。 (ここに注目!) リリーフ時のボールのキレ・勢いには素晴らしいものを持っている。先発とリリーフとのギャップの激しさは、亜細亜大時代の 山崎康晃(DeNA)を彷彿とさせるものがあります。ぜひ彼の良さを堪能したければ、リリーフでの登板時に注目して頂きたい。 (投球内容) エースの期待を担った今季だが、成績を観る限りその期待に応えられずにいた。しかし実際にその投球をみて、想像以上に芳しくないことを実感させられる。 ストレート 常時135キロ前後~MAX87マイル・140キロ 打者の手元までしっかり伸びてくるボールが魅力なのだが、明らかにボールに勢い・伸びが感じらない。元来球威があるタイプではないので、甘く入ると簡単に合わせられてしまう。この手のボールならば、コンスタントに145キロを超えて来ないと、なかなかプロの打者を抑えこむのは厳しいのではないのだろうか? しかし今春のリーグ戦で観戦した時は、ボールは両サイドに散っており、けしてコマンドが低かったわけではない。特に2回ぐらいまでは打ち込まれたが、以降はなんとか球筋も安定し低めに粘り強く集めて投球を続けていた。 変化球 カーブ・スライダー・ツーシーム・チェンジアップ・フォークなど 元々勢いのある速球に、ブレーキの効いたカーブが良いアクセントに。横滑りするスライダーに、カーブのような曲がりながら落ちるスライダーの種類があり、他にもツーシーム的なボールに、チェンジアップなど球種自体は多彩。変化球それぞれの曲がりも独特で面白い投球をする投手なのだが、やはり軸となる速球が良くないとこういった球が生きてこない。 その他 最大の武器には、0.9秒台で投げ込む高速クィック。牽制も非常に鋭く、フィールディングの動きも悪くない。そういった投球以外の部分には、極めて優れた選手だと言えるでしょう。 けして野球センスに優れているというよりも、運動神経に優れたタイプではないのでしょうか。繊細なコントロールや、微妙な駆け引きができるタイプではないので。 (投球のまとめ) この春の内容では、大学からのプロ入りは厳しいのではないかと考えられます。しかし力がある投手なのはわかっているだけに、秋にリリーフでアピールすることができれば、再び候補として浮上して来るのではないのでしょうか。まずは状態を立て直し、秋に評価は持ち越したいところ。いずれにしてもこの投手は、リリーフで通用するかどうかで見極めたいタイプで、いずれは先発にという選手ではないように思います。 (投球フォーム) オフシーズンにフォーム分析をしているので、変化がある部分に注目してフォームを観てみよう。 フォームを見てみると、かなり変わっていることに気がつく。 1,お尻がしっかり一塁側に落とせるようになっている。 2,グラブを最後まで身体の近くに抱えられるようになってきている。 3,腕の送り出しに無理がなくなり、負担が緩和されている。 4,身体の「開き」がかなり改善されている。 その一方で気になるのは、 1,「着地」までの粘りがなくなって合わされやすい 2,抑えるポイントを抑えられるようになった分、上体が振れなくなった。 3,踏み出した足元が突っ張って体重移動を阻害し、ボールにしっかり体重が乗せられていない などの弊害も見られた。そのため発展途上の段階であり、フォームを思考錯誤しているのが見受けられる。夏場を経てフォームに慣れる、固まるなどして、しっくりしてくるようだと新たな丸山像が見えて来るのではないかと期待している。 (最後に) 上体を立て直すことに成功し、起用もリリーフに限定すれば、評価を取り戻せる可能性は残されていると判断する。そのため今春の内容は醜かったものの、簡単に見限ることはできない。秋まで追いかけて、最終的な判断を下したい。 蔵の評価:追跡級! (2016年 春季リーグ戦) |
丸山 泰資(東海大3年)投手 176/75 右/右 (東邦出身) |
「素晴らしかった大学選手権」 敗れたとはいえ、大学選手権・九州産業大戦に魅せた 丸山 泰資 の投球は素晴らしかった。リーグ戦では先発をしていたが、この試合ではリリーフでの登場。2回を投げて無安打・無四球・4奪三振で、MAX151キロを記録。この投球が安定して出せるのであれば、今年の上位指名は揺らがない。しかし秋の神宮大会関東代表決定戦・横浜市長杯では、この時の面影はなかった。 丸山 泰資 の本当の実力とは、どこにあるのだろうか? (投球内容) ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。しかし足を勢いよく、高い位置まで引き上げる躍動感あのフォーム。本質的には、ゲームメイクする先発型ではなく、リリーフタイプの投手なのかもしれません。 ストレート 常時140キロ台~MAX151キロ ビシッと捕手のミットに収まる、キレのあるボールを投げ込んできます。両サイドに上手く、ボールを散らせるコントロールもあります。気になるのは、横浜市長杯の時には、このストレートをことごとく左打者に打ち返されていたということ。左打者からは、ボールが見やすい可能性があります。 ストレートもキレ型なので、先発で少しでも力を落として投げると見栄えがしなくなります。この投手のボールは、ある程度145~150キロ級の勢いがあって初めて生きてくるタイプであり、140~145キロぐらいだと、あまり見栄えがしなくなるわけです。そのため打者にとっても、先発だとそれほど苦になく打ち返します。 変化球 カーブ・スライダー・フォーク(チェンジアップだか) 主な変化球は、ブレーキの効いた120キロ台のスライダーにあります。この球を右打者の外角低め、更に左打者には内外角に使いわけることができます。特に左打者の内角膝下を突いて来るコントロールは見事。 他にも100キロ台のカーブの曲がりもよく、投球において好いアクセントになっています。他に縦に切れ込む縦スラやチェンジアップのような、シュート回転してストライクゾーンに沈むボールもあり、これがフォークだという話もあります。普段は、速球の威力が落ちる変わりに、それぞれ異彩を放つ変化球とのコンビネーションで討ち取ってきます。これでフォークがストンと落ちるようになったら、手がつけられません。 その他 牽制自体鋭い選手ですし、フィールディングの動きも悪くありません。更にクィック自体が、0.9秒台で投げ込めるという、超高速クィックの持ち主。これは、彼の持つ大いなる武器。 (投球のまとめ) 先発だとキャパの無さから、ボールの見栄えが極端に落ちます。しかし先発で行っている変化球とのコンビネーションが、リリーフではより生きます。この投手の良さは、リリーフ時のストレートの質の良さ・コントロールだけでなく、変化球の良さも出てくるからです。現状は、リリーフでこそ持ち味が最大限に発揮できると言えるでしょう。 課題は、左打者に甘く入るストレートのコマンド。これを先発時に、いかに注意して投球するかではないのでしょうか? 恐らく最終学年でも先発を任されるでしょうから、そんな時にどんなピッチングを魅せるかが見極めのポイントではないのでしょうか。 (投球フォーム) ではフォームの観点から、彼の可能性について考えてみましょう。 <広がる可能性> ☆☆☆☆ 引き上げた足は地面に向けて伸ばすのですが、フォーム後半ではしっかり一塁側にお尻は落ちています。そういった意味では、体を捻り出すスペースは確保できているのではないのでしょうか。そのためカーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の変化球を投げても、無理がないと考えられます。 「着地」も地面に着きそうなところから、適度に足を逃がすことで体を捻り出す時間はそれなり。好い変化球を身につけられる下地があり、実際速球以外の変化球のキレ・曲がりも好い物があります。 <ボールの支配> ☆☆☆ 投げ終わったあと、グラブが体の近くから離れており、両サイドの投げ分けは不安定。しかし大学選手権では、上手くボールが散っていました。しかし春の成績は素晴らしかったのですが、秋はコントロールを乱していたことがわかりました。 足の甲では地面をしっかり捉えており、力を入れて投げてもボールは上吊り難いことがわかります。「球持ち」もそれなりですが、指先で微妙にボールを操るといった繊細さはなさそう。 <故障のリスク> ☆☆☆ お尻は落とせているので、カーブやフォークといった球種を投げても、窮屈なことはなく肘への負担は少ないのでは。 腕の送り出しは、多少グラブを持っている肩が下がり、ボールを持っている肩が上がり気味。それでも悲観するほどではないので、無理をしなければ問題がないのでは? ただし中背の体をめいいっぱい使って投げるタイプなので、消耗は激しいタイプだといった気がします。その辺が、登板が過多になった時には注意したいところ。 <実戦的な術> ☆☆☆ 「着地」までの粘りはそれなりで、可も不可もなしといった感じか。体の「開き」も平均ぐらいですが、左打者からはボールが見やすいのか? 甘く入ると簡単に打ち返されてしまいます。 腕は強く振ることができ、速球と変化球の見極めは困難。ボールへの体重の乗せも悪くないのですが、多少ステップが狭いので、股関節の柔軟性を養いつつ、下半身強化に取り組めば、まだもうワンランク上のグッと前に体重が乗るボールが身につくはず。そうなれば、キレだけでなく球威もボールに生まれてきます。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、極端に悪いところもない変わり、特別好いところもありません。この辺は、まだまだ改善の余地・伸び代が残されています。 グラブを抱えられないことからのコントロールのアバウトさがあるところは気になりますが、無理をしなければ故障の可能性はけして高くはない。いずれにしても、もっと良なるく可能性は秘めているものの、現状絶対的なものはないということなのでしょう。 (最後に) 勢いのある時の速球の質・変化球とのコンビネーションは素晴らしく、冴えている時は上位指名級の投球を魅せます。問題は、そういった投球を安定して出せるのか? 先発の時にも見栄えがする投球ができるのかが、見どころなのではないのでしょうか。 いずれにしてもプロを想定した場合、現状はリリーフでこそ持ち味を発揮できるタイプ。しかし元来は、ゲームメイクできるセンス・変化球の引き出しも豊富なことを考えると、いずれは先発への可能性も残すことになります。上位指名候補の一人として、追いかけてみたい選手です。 (2015年秋 横浜市長杯) |