16dp-38


 




坂本 工宣(巨人)投手の藁をも掴むへ







坂本 工宣(巨人)投手のルーキー回顧へ







坂本 工宜(関学大・準硬式)投手 180/80 右/右 (関西学院出身) 





               「こういう選手でもプロになれるのだな」





 兵庫の強豪・関西学院時代は、外野手で公式戦出場経験無し。関学大に進学後は、準硬式で野球を続ける。2年生になって投手に転向し、3年生になって先発で頭角を現した。僅か2年の投手実績ながら、MAX147キロを記録する速球は、複数球団からマークされる存在にまで成長。晴れてこの秋、育成枠ながら巨人に指名された。


(ここに注目!)

 投球フォームを観る限り、非常に理にかなったフォームをしている。実際の投球は確認できなかったが、今からどんな投球をするのか楽しみだ。特に準硬式は、硬式球より5キロぐらい球速が遅くなるとも言われており、硬式球になれたときには更なるスピードアップも期待される。


(投球フォーム)

 残念ながら投球内容は確認できなかったので、投球フォームから考えられることを考察してみたい。

<広がる可能性> 
☆☆☆☆★ 4.5

 足を高い位置でピンと伸ばせており、お尻をしっかり一塁側に落とせるフォームになっている。体を捻り出すスペースが確保できているので、カーブで緩急をつけたりフォークのような縦に鋭く落ちる球種を投げるのにも無理がない。

 「着地」までのタイミングも悪くなく、体を捻り出す時間も適度に確保。そのため曲がりが鋭く、武器になる変化球を習得できる可能性も広がる。縫い目がしっかりしている硬式球の方が、準硬式より変化球が曲がりやすいとも訊く。そういった意味では、変化球の部分でも期待できる。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 グラブは最後までしっかり内に抱えられており、両サイドへの投げ分けは安定しやすいはず。足の甲の地面への押しつけが浅いので、力を入れて投げるとボールが高めに抜けやすい、あるいは集まりやすい危険性は感じる。「球持ち」は平均的で、それほど指先の感覚に優れているという風には見えない。それでも投げ終わった後のバランスもよく、制球が悪い投手には見えない。

<故障のリスク> 
☆☆ 2.0

 お尻をしっかり落とせるフォームのため、カーブやフォークなどを使っても窮屈なことはなく、肘への負担は少ないと考えられる。持ち球や投球内容がわからないので、どの程度そういった球を投げるのかもよくわからないが。

 むしろ気になるのは、肩の方。一つは、テイクバックした時にかなり背中のラインよりも肩が後ろに入り込むので痛めやすいのではないのか?という疑問。もう一つは腕の送り出しの際に、ボールを持っている肩は上がり、グラブを持っている肩がかなり下がっているので、このへんで肩への負担が心配になる。とくにより硬い硬式球を持つことで、体への負担も増すことも懸念される。

<実戦的な術> 
☆☆☆☆ 4.0

 「着地」までの粘りも悪くなく、打者としてはそれほど合わせやすいわけでもないでしょう。体の「開き」も抑えられており、球筋もすぐには読まれません。

 腕がしっかり振られており、速球と変化球の見極めも困難。ボールへの体重の乗せも悪くなく、打者の手元まで生きた球がゆく可能性は高そうです。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に大きな欠点はなく、バランスの取れた良いフォームだと評価できます。コントロールを司る動作では高低がどうなのか?という疑問は残りますが、全般的には悪くなさそう。しいていえば肩への負担が大きく、その点で充分に注意してもらいたいというところでしょうか。


(最後に)

 準硬式ながら実績も充分で、けしてただ速い球を投げられるだけの投手ではないのでしょう。フォームを観る限り非常に理に適っており、実戦でどのぐらいやれるのかぜひ見てみたいものです。むしろ凄みよりも実戦派なのかな?というイメージを受けますが、ぜひ三軍から叩き上げで一軍まで昇りつめて欲しいものです。非常に、興味深い投手だと思います。