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リャオ・レンレイ(巨人)投手のルーキー回顧へ







 リャオ・レンレイ(台湾・開南大)投手 201/125 右/右 (岡山共生出身)
 




                   「コントロールが・・・」





 プロレスからもスカウトされた経歴があるという、リャオ・レンレイ 。高校は、日本の岡山共生を卒業しているので、外国人枠に属さないで獲得できる台湾人。しかしそのためには、ドラフトで指名しなければならなかった。高校卒業後は、台湾に戻り開南大に進む。オフに行われるウインターリーグでの好投で、日本のプロ球界の目に留まったのだという。


(ここに注目!)

 メジャーリーガーもビックリの巨体で、日本人には殆ど経験の無いサイズの大型投手。その迫力に、最初は戸惑うのではないのだろうか。身体の大きさというのは、実際にプレーしてみると想像以上に圧力を受けるものだから。

(投球内容)

ストレート 130キロ台後半~140キロ台中盤 
☆☆☆★ 3.5

 好調時には、140キロ台後半~150キロ以上を連発してくるという。私が見た映像では、130キロ台後半~140キロ台中盤ぐらい。凄く重いとか、ボールが切れるということはなく、結構手元で動くクセ球という印象がある。低めに決まることもあるが、コマンドが低くバラつく。ここぞという時に決められる本当のコントロールがなく、じっくり観られると厳しい。

変化球 スライダー、カーブ など 
☆☆☆ 3.0

 ボールを動かして来る球種以外だと、小さく横滑りするスライダーが最大の武器。また大きく曲がるカーブも使ってくることがあり、この球が決まってくると厄介。他にもチェンジアップ系のボールもあるようだが、映像を観る限りよくわからなかった。特に決め手になるほどの変化球はなさそうだが、変化球自体の精度・曲がりは思ったよりも悪くなかった。

その他

 クィックは、1.0秒~1.1秒ぐらいでまとめるなど、大型だが下手ではない。ランナーを背負ってからも、ボールをじっくり持って相手を焦らすなど、そういった投球センスは身につけている。

(投球のまとめ)

 大型で剛球投手のイメージがあるが、むしろボールを動かしたりして芯をズラす投球を持ち味にしている。150キロ前後を連発するような投球も観るとイメージが変わるかもしれないが、けして力だけで押すだけの投手ではないということ。また球速を落としても制球が不安定なところを観ると、力を入れて投げたらなおさらコントロールが乱れるのではないかと危惧する。

(投球フォーム)

 ノーワインドアップから、投げ込んできます。足を引き上げる勢いや高さは平均的で、軸足の膝にも適度に余裕があり、バランスよく立てています。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 お尻は甘さは残すものの、なんとか一塁側には落ちています。そのため身体を捻り出すスペースは確保できており、カーブを投げたり、フォークを落とすのには無理は感じません。

 「着地」までの粘りはさほど感じませんが、適度にステップさせることで身体を捻り出す時間は平均的。そのため大型ですが、思ったよりは下半身が使えていました。決め手になるほどの変化球を身につけられるかまでは、正直微妙だとは思いましたが。

<ボールの支配> 
☆☆ 2.0

 グラブは内に抱えられているわけではないのですが、結果的に身体の近くにはあります。むしろ問題なのは、足の甲での地面の押し付けが浮いてしまっていて、力を入れてしまうとボールが抜けてしまう可能性があるということ。また「球持ち」も浅いので、ボールがうまく制御できていません。この辺の動作を改善してゆかないと、コントロールはままならないのではないのでしょうか。

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻は甘さはあるものの落とせているので、カーブなどを投げても肘への負担はそれほどでも。また腕の送り出しにも無理はないので、肩への負担も少なめだと考えられます。しいて言えば少し投げやりなフォームのために、そのへんが身体に負担を与えている可能性は感じますが。

<実戦的な術> 
☆☆★ 2.5

 「着地」までの粘りは平均的で、合わせやすいわけでも合わせ難いわけでもないでしょう。身体の「開き」も抑えれており、球筋がいち早く読まれる心配もありません。むしろこの身体から投げ込まれるので、打者としては相当な圧力を感じるだろうということ。

 腕の振りが身体に絡んで来ないなど、速球と変化球の見極めがつきやすいということ。またボールに体重を乗せきる前にリリースを迎えているので、打者の手元までグッとボールが来るとか、重い球がゆくとかそういうことはありません。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に「球持ち」に課題があるように見えます。また故障のリスクは少ないように見えますが、コントロールを司る動作に課題を残します。簡単に言えば、もう少しフォームに粘りを、コントロールに改善をということではないのでしょうか。


(最後に)

 外国人枠を使わないとはいえ、育成レベルの外国人を1人獲得した、そんなイメージです。まだ若いですし、日本への理解もある選手。それだけにうまくプロの指導を受けて、欠点を改善して行けるかではないのでしょうか?

 即戦力としては期待できませんが、一年ぐらいファームでの指導を受けた時に、化学変化が起きることを期待します。まずは、巨人の育成力に期待しましょう。