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床田 寛樹(中部学院大4年)投手 182/74 左/左 (箕面学園出身) |
「正統派のサウスポー」 スラッとした投手体型で、フォームが実に滑らかな正統派サウスポー、それがこの 床田 寛樹 。下級生の頃から活躍してきた投手だが、ゆっくりとした成長曲線ながら好投手タイプからドラフト候補へと昇ってきた。 (ここに注目!) 一球一球それほど力を入れて投げるタイプではないものの、それが返ってピュッと手元までボールがキレと相まってギャップを生み出す。このことにより打者は、ワンテンポ差し込まれやすい。 (投球内容) 最終学年の投球は、東海地区学生選抜の一員として先発したジャイアンツ戦を観戦。このときはあまり良くなかったので、動画で中日戦の模様も合わせて観てみました。 ストレート 135~140キロ台前半 ☆☆☆ 3.0 ジャイアンツ球場でのMAXは143キロ、中日戦では、MAX144キロを記録。ジャイアンツ戦でのマイガンのMAXは87マイル・140キロでした。だいたい常時140キロ前後のボールを投げ込み、ミットにビシッと決まるキレは感じます。ジャイアンツ戦の内容はあまり良くなくプロは厳しいかなという感じでしたが、中日戦の映像を観ると指名もありかなと思えます。 ボールを両サイドに散らすコントロールはありますが、それほど球威・球速があるわけではないので、一軍打者ならば甘く入れば見逃してくれないだろうなという気がします。その辺を、いかにうまくかわすことができるかでしょう。 変化球 カットボール、スライダー、カーブ・チェンジアップなど ☆☆☆ 3.0 カットボール、スライダー、カーブなど一通りあり、カウントも稼ぐことができます。また巨人戦ではよくわからなかったのですが、中日戦の映像を見ていると、右打者の外角にチェンジアップも使ってきています。どれも打者の空振りを奪うほどの球はありませんが、カウントを取れる制球力と相手の的を絞らせない効果はありそう。今春のリーグ戦の成績をみると、1イニングあたり0.80個とギリギリ基準を満たす奪三振率を誇っていますが、プロレベルの打者相手だと、かなりその数は低下しそうです。 その他 クィックは、1.05秒前後と基準以上のものがあります。牽制も左腕らしく、見分けが難しい。フィールディングの動きも悪くなく、落ち着いてボールを処理できています。運動神経に優れるというよりも、野球センスに秀でたタイプなのではないのでしょうか。 (投球のまとめ) 何か武器はあるのか?と言われると疑問なのですが、左腕で適度にまとめられる能力と野球センスを感じさせる部分では希少価値があります。それほど細かいコントロールや奥深い投球術はありませんが、ボールの威力・変化球とも標準的なレベルには達しています。現時点では一軍レベルの投手という感じはしませんが、二軍レベルにならば混ざっても違和感はないでしょう。あとは、プロで何かを掴めるかではないのでしょうか? (投球フォーム) 今後、その何かを掴める可能性があるのか? フォームを分析してみましょう。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 お尻の三塁側(左投手の場合)の落としは、甘さは残すものの適度に落とせているように見えます。すなわち身体を捻り出すスペースはある程度確保できているので、カーブで緩急をつけたりフォークのような縦の変化球を投げるのにも窮屈になることはありません。 また「着地」までの粘りも適度に取れており、身体を捻り出す時間も確保。そのためキレや曲がり幅の大きな変化球を修得できる可能性があります。現時点では武器になるほどの変化球はありませんが、将来的にはそういった球も望めるかもしれません。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定しやすい。足の甲でも地面を捉えており、ボールもそれほど上吊らない。むしろ引っかかりすぎて、地面にワンバウンドしてしまうことの方が多い。球持ちも悪くないので、コントロールを大きく乱す要素は見当たらない。しいていえば、少し腕が外旋気味でブンと投げてくるところがあり、その辺が細かいコントロールがない要因かとも思えてくる。 <故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0 お尻はある程度落とせている上、カーブやフォーク系の球も多くは投げないので肘への負担は少なそう。腕の送り出しも無理な感じはしないので、肩への負担も少ないのでは? けして力投派でもないので、消耗も激しい方ではないだろう。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りは作れており、打者としてはタイミングは図り難いのでは? また「開き」も抑えられており、ボールの出処は見難く、球筋をなかなか判断し難いところがある。 長い腕は身体には絡んで来ているが、まだあまり強さが感じられない。この辺にもう少し鋭さが増して来ると、より変化球での空振りが期待できるかも。ボールへの体重の乗せも適度にはできているものの、まだ発展途上という感じがする。この辺がグッと前に乗ってくると、ボールにも打者の手元でグッと迫って来る迫力が出てくるだろう。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」に関しては、どれもよく大きな欠点はありません。また制球を司る動作もよく故障のリスクも少なく、更に今後ピッチングの幅や良い変化球を身につけて行ける可能性も感じます。フォームを観る限り、まだまだ伸びて行ける可能性が感じられます。 (最後に) 現時点では、左腕だということを考慮しても指名はボーダーラインレベルだと思います。そのためドラフトでは、下位指名~育成枠あたりではないかと思います。しかし順位的な縛りがないかぎり、左腕である事も考えると何かしらの形で指名はあると考えています。 フォームを分析する限り実戦的ですし、大きな欠点がありません。現時点での投球レベルよりも、プロ入り後大きく資質を伸ばす可能性も秘めています。個人的には、指名リストに名前を残してみたいと思わせてくれる投手でした。 蔵の評価:☆ (下位指名級) |