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斎藤 友貴哉(阪神)投手のルーキー回顧へ







斎藤 友貴哉(23歳・HONDA)投手 184/91 右/左 (山形中央-桐蔭横浜大出身) 





 「今なお成長中!」





 今年の社会人投手の中で、1位指名されるならばこの男だろうと思われるのが、 斎藤 友貴哉 だ。桐蔭横浜時代よりも、明らかに球威・球速が増してきている。その姿は、何処か 菅野 智之(巨人)を彷彿とさせる。


(投球内容)

 春の東京スポニチ大会以後も好投し、都市対抗の代表決定戦では 7回を3安打・無失点に抑え本戦出場に貢献。都市対抗の舞台でも四国銀行戦に登板し、5回を4安打・2四死球・5奪三振・無失点で降板したが、チームは敗れわずか1試合の登板のままドームをあとにした。

ストレート 145~150キロ 
☆☆☆☆ 4.0

 春のスポニチ大会の時よりも、球威・球速が暖かくなってワンランク上がった感じがします。手元で伸びて来るような球質というよりは、適度な勢いはあっても球威で詰まらせる感じの球質です。そのボールの厚みは、今年の大学・社会人の中でもトップクラス。

 ただしこの試合では、ボールの収まりが悪くコントロールはやや不安定な部分がありました。取りたいときにしっかりストライクが取れないことで、無駄な四球を出してしまうこともあります。そういったまだ不要な部分というか、未完成な部分は残されている選手ではないかと。


変化球 スライダー・スプリット・カーブなど 
☆☆☆★ 3.5

 右打者には外角に、小さく横滑りするスライダーを投げ込んでくる。左打者には、スプリットのような縦の変化で仕留めにくる。時折緩いカーブで緩急をつけたり、ツーシームやカットボールなどの動かすボールも結構織り交ぜる。130キロ台後半のボールは、何かしらボールを動かしていることが多い。

 ストレート中心の投球であり、変化球に絶対的なものがあるかは微妙。それでも腕の振りが素晴らしいので、どうしても打者は見分けがつかずに仕留められることが多い。変化球の曲がり・精度はそれほどでなくても、この見分けの難しさがこの選手の最大の良さではないかと。


その他

 牽制は非常に鋭く上手く、クィックも1.15秒前後と平均的。ベースカバーへの入りも遅れず、打球処理も悪くない。それほど「間」を使ったり、微妙な駆け引きをしてくるタイプではない。あくまでもストレートを軸に、力で押して来るピッチングスタイル。

(投球のまとめ)

 今年の社会人では、頭ひとつ抜けた存在だとは思う。しかしそれだからと言って、一年目から二桁といった完成度は感じない。むしろ一年目は5,6勝程度かもしれないが、2年目、3年目と環境に慣れてゆくに従い、数字を伸ばしてゆくタイプではないかと。大学卒の社会人ではあるが、まだ発展途上の未完成さと、伸び代が秘められている。


(投球フォーム)

ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足は地面に向けて伸びており、お尻はバッテリーライン上に残りがち。そのため身体を捻り出すスペースが充分確保できず、カーブで緩急を付けたりフォークような縦の変化球には適しません。

 春先より良くなったのは、前に足を大きくステップさせることで「着地」までの時間を稼げるようになったこと。そのためキレや曲がりの大きな変化球の修得も可能になり、もっと武器になる変化球を習得できても不思議ではない。


<ボールの支配> 
☆☆☆☆ 4.0

 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けはしやすい。足の甲で地面を押し付けられているので、ボールもそれほど上吊り難い。「球持ち」も春より前で離せるようになって、良くなっているようには見えるのだが ・・・ 。ただしその効果は、都市対抗を見る限りはわからなかった。

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻は落とせないため、カーブやフォークを投げると窮屈になりがち。そのためフォークよりも負担の少ないスプリットを使ったり、カーブも多くは使って来ない。そういった意味では、肘への負担に神経を尖らせるほどではないのかもしれない。

 腕の送り出しにも無理はなく、肩への負担は少なめ。力投派でもないので、疲労は貯め難く故障のリスクは低いのではないのだろうか。


<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りが出てきたので、春よりも粘っこくなって捉え難くはなっている気がする。むしろ気になるのは、「開き」自体は少し早くなっていて、ボールが見極められたり、コースを突いた球が捉えやすくなっていた可能性はある。それでも「球持ち」は良くなっており、打者としては中々ボールが出てこなく感じられ捉えきれないことも増えたのではないのだろうか。

 振り下ろした腕は身体に絡むなど、勢いは感じられる。ボールにしっかり体重が乗せているようには見えるが、地面をその割に強く蹴り上げていない。何処かで、エネルギーをロスしてしまっている可能性もある。特に左打者外角の逆クロスへ抜ける球が多く、そう感じられることは少なくなかった。


(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」「球持ち」に粘りが出てきたが「開き」が春より早くなっていたことは気になる材料。

 コントロールを司る動作には優れているわりに、実際の投球では球筋がまだまだバラけてしまっている。故障のリスクもさほど大きくはなく、カーブやフォーク以外の球種ならばピッチングの幅を広げて行ける下地はある。何より素晴らしいのは腕の振りであり、速球との見極めが困難な点は高く買える。



(最後に)

 投球内容は、まだ絶対的なものはない。その粗さが残ったままで、ボールの力だけでプロの打者を抑え込めるかと言ったら微妙だと言わざるはえないだろう。それでも春先から比べても、「着地」と「球持ち」に粘りが感じられるなど、短期間での成長が感じれたことは大きい。現時点での内容よりも、数年先を見越して評価すべきではないのだろうか。

 現状は、ハズレ1位から2位のはじめぐらいの指名に留まりそう。それでも数年先には、チームの主戦格に育つ可能性は充分にある。少し戦力に余裕のあるチームが、数年先を見込んで獲得すべき選手ではないのだろうか。それでも投手としてのスケールは、社会人でも屈指のものがあった。



蔵の評価:
☆☆☆☆ (1位指名級)


(2018年 都市対抗)









斎藤 友貴哉(23歳・HONDA)投手 184/91 右/左 (山形中央-桐蔭横浜大出身) 





「スケール増した」 





 桐蔭横浜大時代もプロから注目されていたものの、指名漏れをした 斎藤 友貴哉 。社会人に進み、そこから更にワンランクもツーランクもスケールアップを遂げていた。今や社会人候補のなかでも、トップランクに位置されるまでの存在。再び解禁となる2年目、スポニチ大会でその勇姿を確認してきた。


(投球内容)

本当に絵に書いたような正統派といった感じのフォームだったが、身体付きも相当ゴツくなってきた。

ストレート 常時145キロ前後~148キロ 
☆☆☆★ 3.5

 時期が時期だけに、昨年の都市対抗で魅せたような常時150キロ前後の速球とはゆかなかった。それでも常時145キロ前後~MAXで148キロに到達。問題なければ、今年の都市対抗でも150キロを越えてきそうな状態にはありそうだ。特別グ~ンと手元で伸びてくるような球質ではないが、ボールには確かな勢いと球威は感じられる。彼の素晴らしいのは、そのストレートを両サイドにしっかり散らすことのできるコントロールがあるということ。このスポニチ大会だけでは、ストレートでプロの打者を押し切れるかというと微妙な印象は受けた。ただし昨年の都市対抗並のボールを投げていたら、プロとて容易には打ち返せないのではないのだろうか。

変化球 スライダー・スプリット・カーブなど 
☆☆☆★ 3.5

 右打者には、小さく横ズレるスライダーを。左打者には、小さく沈むスプリットを沈ませて来る。たまに、緩いカーブなどを使って目先を狂わす。スライダーやスプリットは変化は小さめで、かえってそれが速球との見分けを困難にする。それでもボールに勢いがあるので、特にスライダーは効果的に使えている。スプリットはともかく、スライダーは外角いっぱいにしっかりコントロールはできていた。それでもプロの打者をこの変化球で仕留めきれるかどうかは、スポニチ大会を見る限り微妙な印象は受けたのだが。

その他

 牽制は非常に鋭く上手く、クィックも1.15秒前後と平均的。ベースカバーへの入りも遅れておらず、投球以外の部分も悪く無い。それほど「間」を使ったり、微妙な駆け引きをしてくるタイプではない。あくまでもストレートを軸に、力で押して来る。

(投球のまとめ)

 スポニチ大会で気になったのは、右投手には珍しく左打者には両サイドにしっかり投げ分けることができる。しかし右打者には甘く入ることがあり、その球を痛打されていたということ。たまたまこの試合がそうだったのか? そういった傾向があるのかは今後見極めたいポイントとなってくる。

 スポニチ大会で登板した2試合では、いずれも完投勝ち。力で社会人の打者を、ねじ伏せることに成功した。けしてまだ完成された選手ではなく、むしろその真価が問われるのは1年目よりも数年後といったさらなる上積みが期待できる素材だということ。そういった奥行きや将来性も含めると、社会人では一枚抜けた存在だと見て好いのかもしれない。


(投球フォーム)

 果たして技術的には、プロでも通用するものがあるのか考えてみたい。ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。

<広がる可能性> 
☆☆★ 2.5

 引き上げた足は地面に向けて伸びており、お尻はバッテリーライン上に残りがち。そのため身体を捻り出すスペースが充分確保できず、カーブで緩急を付けたりフォークような縦の変化球には適しません。

 「着地」までの粘りも平均的で、身体を捻り出す時間も並。キレや曲がりの大きな変化球の修得が難しく、決め手に欠ける可能性があります。

<ボールの支配> 
☆☆☆☆ 4.0

 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けはしやすい。足の甲で地面を押し付けられているので、ボールもそれほど上吊り難い。「球持ち」は並ぐらいだが、大まかに狙ったところには集められるタイプだろう。

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻は落とせないため、カーブやフォークを投げると窮屈になりがち。そのためフォークよりも負担の少ないスプリットを使ったり、カーブも多くは使って来ない。そういった意味では、肘への負担に神経を尖らせるほどではないのかもしれない。

 腕の送り出しにも無理はなく、肩への負担は少なめ。それほど力投派でもないので、疲労は貯め難く故障のリスクは低いのではないのだろうか。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは並で、打者としては苦になるフォームではないのかもしれない。しかし「開き」は抑えられているので、コントロールを間違わなければ痛手は喰らい難いのではないのだろうか。

 振り下ろした腕は身体に絡むなど、勢いは感じられる。ボールにしっかり体重が乗せているようには見えるが、地面をその割に強く蹴り上げていない。何処かで、エネルギーをロスしてしまっている可能性もある。このへんが改善されて来ると、もっとグッと打者に迫ってくるような真っ直ぐが投げられるだろう。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」と「体重移動」にもう少し粘りが欲しい。制球を司る動作には優れ、故障のリスクもそれほど高くはない。ただし、将来的に投球の幅を広げて行けるかは微妙で、決め手不足で伸び悩む可能性も捨てきれない。

(最後に)

 「着地」「体重移動」の粘りの無さから、球速ほど打者の空振りを誘うような球が投げきれていないこと。将来的に武器になるほどの変化球を修得できるのか?という疑問は、どうしてもつきまとう。

 そのため社会人屈指の素材だとは思うが、即戦力として1年目から大活躍できるのか?と言われるとそこまで絶対的なものは感じられない。むしろこの選手は、2年目・3年目と重ねるうちに何処までスキルアップして行けるのかという将来像を思い浮かべるかにかかっている。そういったビジョンを持ち余裕のある球団に、ぜひ獲得して頂きたい。それでも順調にアピールしてゆけば、上位指名は揺らがない素材ではないのだろうか。上位指名に相応しい投球ができたとき、再度最終寸評を作成させて頂きたい。


蔵の評価:
☆☆☆ (上位指名級)


(2018年 スポニチ大会) 











 斎籐 友貴哉(桐蔭横浜大4年)投手 183/80 右/左 (山形中央出身)





                        「素材は魅力」





 高橋 拓巳とともに、桐蔭横浜大の左右の二枚看板として活躍した 斎籐 友貴哉 。春のリーグ戦では、チーム大学選手権導く活躍で、NVPを活躍。素材型と言われるなか、4勝1敗 防御率 1.01(リーグ3位)の成績を残して魅せた。


(ここに注目!)

 最大の特徴は、腕の振りの柔らかさであり、天性の上半身の柔らかさがあるところに注目して頂きたい。

(投球内容)

ワインドアップから振りかぶるフォームながら、腕の振りを少しスリークオーター気味。

ストレート 常時130キロ台後半~140キロ台中盤 
☆☆☆ 3.0

 ボール自体の勢い・威力は感じられる球ではあるのだが、ストライクゾーンの枠の中に上手く収まらないで高めに抜けることが多い。そういったバラつき・本当のコントロールがないところが気になる。

 ボール自体も空振りを誘うというよりも、手元で微妙に動くクセ球で微妙にバットの芯を外すのが特徴。気になるのは開きが早くボールが見やすいで、この動く球を低めに元来ならば集めたい。しかしその割には、44回2/3イニングで被安打20本と50%以下なのは信じがたい数字。

変化球 スライダー・カットボール・スプリット・カーブなど 
☆☆☆ 3.0

 スライダーは、高めに抜けたり曲がりが早過ぎたりと制御できないことが多い。むしろもっと小さく変化するカットボールのような球の方がコマンドも高く実戦的。また結構フォークのような縦に鋭く落ちるスプリットも持っており、この球の精度が更に高まるようだと将来的に楽しみ。現時点ではまだまだだが、今後凄くなる片鱗は感じられる。

その他

 牽制は非常に鋭く上手く、クィックも1.15秒前後と平均的。ベースカバーへの入りも遅れておらず、投球以外の部分も悪く無い。

 「間」を使ったりとか、コースの微妙なところを突いてという、細かいピッチングはできていない。ポテンシャルとセンスで比較すれば、やはりポテンシャルで押すタイプではある。

(投球のまとめ)

 ストレートとスライダーのコマンドが低く、それでもピッチングを崩さないで投げられるのは、カットボールでカウントを整えられるようになり、追い込むとスプリットという相手の目先を変えられる球種を持っているから。

 プロで一年目から活躍するのかと言われれば、現状は厳しいだろう。しかし一年ぐらいプロの指導・環境で詰め込めば、見違えるように成長しても不思議ではない。そういった上積みを期待できる、素材としての魅力は確かではないのだろうか。





(投球フォーム)

では現時点で、どの辺に問題があるのか考えてみたい。

<広がる可能性> 
☆☆★ 2.5

 引き上げた足をピンと伸ばす高さが低いわけではないのだが、お尻の一塁側への落としには甘さが残る。そのため身体を捻り出すスペースは充分とはいえず、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の変化に適しているとは言えない。

 それ以上に気になるのが、「着地」までの粘りがまだ充分ではないので、身体を捻り出す時間が充分ではない。そのため変化球の曲がり・キレももう一つで、武器になる球種が見出し難い。しかし彼はそこを理解しているのか? スプリットやカットボールのような、小さな変化で投球の幅を広げることができつつある。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分け安定しやすいはず。また足の甲でも地面を捉えているため、元来ならばボールをもっと低めに集められそう。しかしコントロールが結構アバウトなのは、一つは肘を立てて振れないのでボールが抜けやすいのと、腕の軌道がやや身体が遠回りにまわってブンと振ってくるのでコントロールが狂いやすい。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻の落としに甘さはあるものの、けして落とせていないフォームではない。ましてカーブはほとんど使わず、フォークではなく握りの浅いスプリットを使っているので、肘への負担はそれほどナーバスになることはなさそう。

 腕の送り出しにも無理は感じられないので、肩への負担は少なめ。しかし遠回りにブンと投げる部分では、肩に多少の無理が感じられなくもない。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りがもう一つ、身体の「開き」も早め。しかしその欠点を補うべく、ボールを微妙に動かすことで芯をずらす投球ができている。そのためコントロールミスがあっても、打ち損じが多いタイプなのかもしれない。

 腕の振りは悪くなく、ボールへの体重の乗せも悪く無い。ボールを動かすタイプにしては、手元までボールが来ている感じがするのは、体重を乗せてからリリースを迎えているからではないのだろうか。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」と「開き」に大きな課題を残している。「着地」が早い割に、ボールに体重が乗せられてから投げられている珍しいタイプだといえよう。

 コントロールを司る動作は良い割にコントロールがアバウトな部分があるが、故障のリスクは高くないので、鍛えがいのある素材ではないのだろうか。


(最後に)

 現時点ではまだまだ一年目から活躍する素材には見えないが、伸び代を多く秘めた素材であり、プロの環境・指導次第では見違えるほどに成長するかもしんれない。その可能性に賭けて育ててみたいと思う球団にとっては、興味深い素材なのではないのだろうか。恐らくドラフト会議では、本会議の終わりの方から育成枠あたりの指名になるのではないのだろうか? しかしけしてスケール感がない素材ではないし、極端に荒れ荒れというほどの素材でもない。導き方次第では、大化けするのではないのだろうか。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2016年 大学選手権)