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尾仲 祐哉(DeNA)投手のルーキー回顧へ







 尾仲 祐哉(広島経済大4年)投手 172/70 右/左 (高稜出身)
 




                   「指名されるのではないか?」





 170センチそこそこの小柄な体格ながら、無理せずに140キロ台後半を叩き出せる 尾仲 祐哉 。ただ速いだけでなく、コントロールもまとまり、変化球のキレもよく、速球の質も悪く無い。短いイニングならば、プロでも充分通用するのではないのだろうか。


(ここに注目!)

 今年の大学選手権では九州国際大相手に緒戦で破れたものの、8回を投げて14奪三振を奪った。ただ速いだけでなく、三振が奪える球質・決め手があるところに注目して頂きたい。

(投球内容)

足を引き上げるときに、振り子のように足を使って反動を活かした力投派。

ストレート 常時145キロ前後~MAX149キロ 
☆☆☆☆ 4.0

 どちらかというと、手元でピュッと来る感じのキレ型。空振りが奪えるキレがある一方で、高めに甘く浮くと痛打を浴びやすい球威の無さ。両サイドに散らすコントロールはある一方で、ボールが高めに浮くことがあり、その球を捉えられることが少なくない。ボールに角度があったり、球威があったりすると打ち損じてくれることも少なくないのだが、そういったことが少ないタイプ。そのためちょっとでもキレや勢いが落ちて来ると怖い。

変化球 スライダー・カットボール・チェンジアップ・フォークなど 
☆☆☆★ 3.5

 曲がりながら沈むスライダーもあるが、小さく横に動くカットボールを多く使って来る。チェンジアップのようなストライクゾーンに沈んでカウントを稼ぐ球もあれば、フォークのように低めに切れ込んで空振りを誘える球もある。けして速球だけの投手ではなく、速球を見せながらも、こういった変化球でカウントを整えたり三振を奪うことができる。特に変化が、打者の身体の近くでキュッと曲がるので実戦的。

その他

 クィックは1.05秒前後とまずまずだが、あまり牽制を入れて来ない。小柄で俊敏そうなタイプであり、野球センス以上に身体能力が高いタイプなのではないのだろうか。

(投球のまとめ)

 「間」を使って微妙な駆け引きをしたり、際どいコースで出し入れするような繊細さはない。あくまでもキレのある速球や変化球を、コースに散らせて来るタイプ。空振りは奪える選手なので、リリーフには適しているように思う。結構な力投派だけに、プロの長いシーズンを想定した時に、年間とおして活躍できるだけの体力があるかは微妙なところ。しかし純粋にボールだけを見ていれば、一年目からプロで使えそうな完成度・ボールの威力は持っている。


(投球フォーム)

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足をピンと伸ばさないまま体重を落として来るので、お尻は一塁側には落ちていません。したがって身体を捻り出すスペースは確保できず、カーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種には適しません。

 前に大きくステップさせることで、「着地」までの時間を稼ぎます。したがって身体を捻り出す時間はある程度確保できており、キレのある変化球や曲がりの大きな球が投げられる下地はあります。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 グラブは最後まで身体の近くにあり、両サイドの投げ分けは安定。足の甲での地面への押し付けは浮きがちで、力を入れて投げるとボールが上吊りやすい。「球持ち」もある程度は前で放せており、適度にコントロールできている。

<故障のリスク> 
☆☆★ 2.5

 お尻が落とせない割にフォークなど結構縦の変化を使って来るので、身体を捻り出すスペースが足りず窮屈になります。そのため、肘などに負担が大きく故障の原因になりかねません。

 腕の送り出しを見る限りは、肩への負担は少なめ。しかし力投派ではあるので、消耗が激しく登板過多になると心配です。

<実戦的な術> 
☆☆ 2.0

 「着地」までの粘りは平均的で、打者としては苦になるというほどではありません。身体の「開き」も少し早いところがあり、甘く入ると痛打を浴びやすい。

 腕は強く振れており、速球と変化球の見極めは困難。しかしボールに体重を乗せきる前にリリースを迎えており、打者の手元まで球威のある球が投げられません。あくまでもキレ型の球質なのは、下半身の体重移動が不十分だからでしょう。投げ終わったあとも、地面の蹴り上げは不足しています。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」「体重移動」などに課題を抱え実戦的とは言えません。またお尻が落とせない割にフォークなどを結構使うことや、足の甲の押し付けが浅くボールが上吊りやすい傾向も見られ、フォームの観点からすると実戦派とは言えません。

(最後に)

 純粋にその投球を見ている限り、リリーフならば非常に面白そうな素材。しかしフォーム分析をしたり、高めに浮いた球を簡単に捉えられてしまうところを見ると、あまり過大に評価するのは危険ではないかと。あくまでも短いイニングでなら面白いのではないかというぐらいで、位置づけておいた方が妥当な気がします。

 それでも140キロ台後半を無理せずに連発できる能力、変化球、コントロールも悪く無いことを考えると、小柄とはいえ全く評価しないわけにはゆけには行きません。そのため指名リストには充分載せるだけの力は、現時点であると評価します。ドラフトでも5位前後ぐらいならば、面白いのではないのでしょうか。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2016年 大学選手権)





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尾仲 祐哉(広島経済大)投手 170/67 右/左 (高稜出身) 

 140キロ台中盤を連発。170/67 の小柄な体格ながら、ボールの勢い・質は一級品。サイズに関係なく、このボールが投げられるならば、変化球・制球力・アピール次第で、2年後の候補として期待できるかもしれない。

 ポテンシャルで圧倒する森川と、小さな体をめいいっぱい使って投げ込む尾仲と、タイプは全然違うが二人の速球は見応え充分だった。

(2014年 大学選手権)