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中塚 駿太(白鴎大4年)投手 191/105 右/右 (つくば秀英出身) |
「ようやくエースに」 これまでは、MAX157キロの球速が優先し、とにかく速い球を投げられる投手として評価されていた 中塚 駿太 。しかしラストシーズンは、チームのエースとして5勝1敗 防御率 1.83 という成績を残し、はじめて責任ある立場を任された。そんな中塚の、現在の到達点を考えてみた。 (ここに注目!) 今までは、コンスタントに150キロ台を刻める圧倒的なスピード能力で注目されました。しかしこの秋は、常時140~中盤ぐらいまで抑えても、コントロール重視で適度に試合をまとめられるレベルに到達。しかし今の投球で、即戦力になり得るものなのか注目して頂きたい。 (投球内容) かつての大魔神・佐々木 主浩 が投げ下ろして来るような、ゆったりしモーションから投げ下ろしてきます。 ストレート 常時140キロ台~146キロ ☆☆☆★ 3.5 この秋は、神宮大会代表決定戦である横浜市長杯でその勇姿を確認。横浜スタジアムのスピードガンでは、MAXで150キロを超える表示もありましたが、私のガンではMAXで91マイル・146キロまでと、かなり抑えて投げているのが明らかでした。両サイドにボールを散らすコントロールはあり、ストレートのマインドは想像以上のまとまり。しかし相変わらず、高めに浮いた球を簡単に振り抜かれてしまう点は物足りません。時々打者の内角を厳しく突いた時に、おっ!と思える球もありますが、まだその頻度は少ないと言わざるえません。 変化球 スライダー・フォークなど ☆☆ 2.0 春全く制御できていなかったスライダーで、なんとかカウントが整えられるようになったのがこの秋の成長だと訊きます。しかし横浜市長杯では、序盤戦全く変化球が決まらず苦しみます。追い込むと、フォークのような縦の変化を投げます。しかしこの球の完成度もまだ低く、沈みの小さいスプリットのように見えます。他にも球速を殺してカウントを稼ぐことがあり、これが単にストレートの球速を落としてカウントを取りに来たのか? ボールを多少動かして使い分けているのかまでは、正直よくわかりませんでした。春より球種も増え先発できるようになりましたが、まだまだその精度・曲がりは不十分であるのは間違いありません。 その他 クィックは、0.9秒台と極めて高速。ランナーを背負っても殆ど牽制が見られないのも、相変わらずでした。明らかにセカンドでアウトにできるタイミングでの正面のゴロも、全く二塁を見ないで一塁に送球していました。明らかにフィールディングの動き、判断力などは、プロのそれではありません。この辺も、ファームでみっちり鍛える必要がありそうです。 (投球のまとめ) この秋は、確かに先発できるなりの適度なまとまりと力加減を身につけつつあるようです。しかしキャパを落とした速球にそれほど魅力を感じるだけのものはありませんでしたし、変化球の精度・キレともに発展途上。まだその内容は、ファームの投手といったスカウトの言葉も、全くそのとおりであるように思います。 元々持っているポテンシャルは凄いので、プロの指導で何処までその才能を引き出すことができるのか?注目されます。それでも四死球で自滅する、そういった危うさは陰を潜めつつあります。 (最後に) イメージ的には、素材型高校生を獲ったような感じで、ファームで育成しないとプロでは厳しいでしょう。西武がお得意な、大学生や社会を1年ぐらいファームで漬け込んで使えるようにするというパターンに、うまくハマるのかどうか? 時々魅せる、おっ!と思わせる球を、いかに割合を増やすことができるかでしょう。個人的にはプロ入りには時期尚早だと思いますが、プロの指導で育てた場合、このタイミングの入団がどういう結果になるのか注目したいと思います。春よりは格段にまとまってきているところをどう見るかは微妙ですが、個人的にはものになるのにはまだ2年以上かかるのではないかと判断して、指名リストから外したいと思います。投手を育成するのは、投球機会に恵まれるアマの方が優れているように考えるからです。 (2016年 横浜市長杯) |
中塚 駿太(白鴎大4年)投手 188/85 右/右 (つくば秀英出身) |
「いま一番速い投手だよね」 大学2年秋の・神宮大会関東代表決定戦・横浜市長杯で、横浜スタジアムで152キロを記録し一躍その名が知れ渡った 中塚 駿太 。しかしチームでの位置づけでは4番手ということで、なかなかリーグ戦で確認が難しい幻の投手とも観戦者の中では囁かれていた。そんな中塚が、リーグ戦終盤から第二戦の先発を任されるようになる。そこで私も、現状の中塚がいかなるものなのか確認しに栃木まで足を運んだ。 (ここに注目!) とにかく理屈抜きに、球速が速い。登板した試合では、まず150キロを記録する。今春には、MAX157キロにまで到達したとも言われ、関係者からは将来的に160キロの到達も夢ではないという。この破格の球速に、ぜひ注目して頂きたい! (投球内容) 特に投げ込むフォームに大きな癖はなく、何故これで制球が不安定なのか、簡単に打ち返されるのが不思議になってしまう。 ストレート 143~MAX94マイル・151キロ ☆☆☆★ 3.5 観戦した試合では、コントロールに気をつけようと、多少セーブしていた感じがあります。先発ではなかったのですが、二回からマウンドに上がり、長いイニングでの投球が予想されたからかもしれません。どうも指先の感覚、リリースの位置が一定せず、球筋が安定しません。高めに抜けたり、カウントを取り来た球が甘いゾーンに入り、簡単に振りぬかれてしまいます。 特に手元でグ~ンと伸びるとか、ピュッとキレて空振りを誘える球ではありません。それでいて球威で相手を詰まらせて打ち取るというわけでもなく、合わせやすいフォームなのか?打者は苦にせずに打ち返します。この日は、1球だけマイガンで96マイル(154キロ)を記録しましたが、ほとんどは94マイル以下であり、清原球場のガンでも何度も150キロは記録したものの、それ以上は出ないで終わりました。現状は球速は破格なものの、威力としてはけして図抜けたものがあるとは言えません。 変化球 スライダー ☆ 1.0 変化球はスライダーのみであり、この球でカウントを取れるなりすれば良いのですが、速球以上に制御できていないので、ほとんど速球頼みの投球になってしまいます。むしろスライダーを投げようとするよりは、カットボール・ツーシーム・スプリットなど手元で小さく変化するボールを使って、少し力が抜いて投げるコツを磨いた方が良いのではないのでしょうか。スライダーが決まる時は、比較的投球を楽に組み立てることができるのではないのでしょうか。 その他 ランナーを出ても鋭い牽制を入れるとか、フィールディングなどの場面はなかったのでよくわかりません。クィックは1.0秒前後と高速であり、特にできないとかそういったことはなさそう。 (投球のまとめ) マウンドでただ投げているだけという領域を脱しておらず、投球云々というレベルには達していないように思えます。速球以外で何か確実にカウントが取れる変化球が身につけられると、自慢の速球も大いに活かせるようになるのではないのでしょうか。 立ち振舞いなどを見ていても、まだ素材型の高校生を見ているようで、プロに入ってもいろいろな意味で勉強の日々になるのだろうなという気はします。ただし将来的に常時155キロ前後~160キロぐらいを連発できるようになったとしたら、プロの打者でも対応できるかどうか? その辺がどうなるのかは、正直わかりません。そういったところで、可能性を見出してみたいと思わせる素材ではありました。 (投球フォーム) 関甲新リーグは撮影が不可なので、動画サイトに上がっている2年時の投球フォームを参考にさせて頂きます。一体フォームのどこに問題があるのか、考えてみたい。 <広がる可能性> ☆☆☆☆ 4.0 引き上げた足を高い位置で伸ばされており、お尻は一塁側に落とせています。そのため身体を捻り出すスペースは確保できており、カーブで緩急を利かしたり、フォークを投げるのにも窮屈さは感じません。ただし腕の振りが早過ぎるせいなのか?カーブのような緩い球を投げるのは、現状難しいのかもしれません。 「着地」までの粘りを見ていても、けして地面を捉えるのが早過ぎるようには見えません。それだけ身体を捻り出す時間も確保できているので、良い変化球を修得できる土台はあるように見えます。腕の振りが強すぎるが故に、ボールを上手く制御できないのでは?という気がします。やはりこういった投手は、曲がりが小さい、カットボール・ツーシーム・スプリットなどの小さく速い変化を中心に、修得してゆくのが一番良いのではないのでしょうか。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定しやすいのでは? 更に足の甲での押し付けもできているので、ボールが上吊るのを防げそうなもの。更に「球持ち」自体も、比較的前で放せており、何処で制球を乱しているのかよくわかりません。考えられるのは、やはりリリースが不安定であり、力の入れ加減が抜き加減がおかしいのだと思います。 まずは、遅い球でもどのぐらいの球速までなら思い通りコントロールできるのか? そこができたら、次はもう少し力を入れてみたらコントロールできるのかと、力抜いて制御できる場所を見つけるところから始めたら良いのでは? そうなれば仮にカウントが悪くなっても、安心してストライクを取れる力加減が見つかるでしょう。いつも力一杯投げて、相手を討ち取ろうと思わないことです。そのうちに、投げる感覚というのがわかってくるのではないのでしょうか? <故障のリスク> ☆☆☆☆★ 4.5 お尻を落とせるフォームなので、カーブやフォークを投げても肘への負担は少ないでしょう。ましてスライダーぐらいしか投げないので、心配はなさそうです。 腕の送り出しにも無理は感じないので、肩への負担も少なめ。それに思ったほど力投派ではなく、無理している感じもしません。そういった意味では、それほど肘への負担も大きくないと考えられ、かなりタフな活躍が期待できます。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りは平均的で、特に合わせやすいわけでも打ち難いわけでもなさそう。身体の「開き」も早過ぎることはなく、極平均的で、ボールが見やすいわけではありません。 腕の振りに、もう少し身体に巻き付いて来るような粘っこさが出てくると嫌らしさも出てきそう。ボールにはしっかり体重が乗せられており、もっと手元までボールが来るような感覚に見えてもおかしくないのにと思える部分はあります。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち「開き」「体重移動」では、特に大きな欠点は見当たりません。むしろ「体重移動」が想像以上によく、この非凡な球速は、効率よく身体が使えているからだとわかってきました。 制球を司る動作も悪く無いですし、故障のリスクも少ない。フォームだけでいえば、良い土台を持っているように思えます。何故それなのに打たれるのか? (最後に) 私が考えるに、基本的に速球しかないので、打者が速球に合わせて待っていられる。その割に凄く手元で伸びるとかキレるとかいうこともなく、フォームで惑わされるほどではない。ストレートを待ち構えているところに、甘く入って来るのである一定レベルの打者であれば、充分にピッチングマシーンの速い球を打つかごとく打ち返されてしまうのではないのでしょうか? ただし一つでも使える変化球を覚えると、打者の待ち方も全然変わってきます。そういった球が覚えられるかどうか、あとは力の加減を身につけられうかで、この投手の未来は大きく変わってきそう。 そういったことができない現在、私は評価はできません。こういった選手をどう評価するかは、球団によって大きく振れ幅が変わって来ると思います。私は、指名の下位の方~育成枠ではないかと思いますが、速い球を投げられるのは最大の才能と評価する球団があれば、もっと高い順位で指名して来るかもしれません。しかし現状は、怖くて高い評価はできないよねというところで落ち着くのではないのでしょうか。あえて秋までの変化を期待して追い駆けたいと思いますが、今のままならば私は指名リストには名前を載せることはなさそうです。とは言ってもアマでは持て余してしまうタイプでしょうから、条件に関わらず指名の話があればプロに入るべきではないのでしょうか。 蔵の評価:追跡級! (2016年 春季リーグ戦) |