16dp-18
堀田 晃(大院大4年)投手 180/78 右/右 (松山商出身) |
「ボール自体は一番良かった」 ズバーンと手元までグッと来るボールの勢いは、先日関西で見たきた投手の中でも一番ではないかと思えるものだった。しかし課題も多く、社会人あたりでこの辺が改善されて来ると面白い存在になるのではないのだろうか。 (投球内容) 松山商業時代は、130キロぐらいの好投手タイプだった記憶がある。しかし今や150キロにも到達するという前評判もあり、観戦するのが楽しみだった。外人のように、マウンド突っ立つようなフォームから投げ込んで来る。 ストレート 130キロ台後半~MAX89マイル(142.4キロ) ☆☆☆★ 3.5 球速自体に驚くようなものはないのだが、打者の手元までしっかり来る感じは素晴らしかった。この球質で、140キロ台後半を連発されたら、容易には打てないだろうと想像する。しかしその一方で、フォームに粘りがないせいなのか? 打者には簡単に合わせられたり、ボールが常に高く打ち頃のゾーンに集まる欠点を持っている。そういった部分を修正しないと、幾ら良い質のボールを投げていても、プロのレベルの打者相手には通用しないだろう。 変化球 スライダー・チェンジアップなど ☆☆☆★ 3.5 右打者外角にはスライダーを集め、左打者の外角にはチェンジアップを落とすことができている。スライダーは体の近くでキュッと曲がる実戦的なものであり、空振りを誘うほどではないが、変化球のキレ・精度は悪く無い。 ただし右打者には速球とスライダー、左打者には速球とチェンジアップと的を絞りやすいので、単調になりやすいところも改善したい。 その他 牽制は非常にターンが鋭く、走者を刺せる・釘付けにすることが期待できます。クィックも1.1秒前後とまずまずで、運動神経に優れ投球以外の動作のレベルも高そう。 (投球のまとめ) 観戦した龍谷大戦は、シーズン初登板ということで力みから持ち味が発揮できなかったとも考えられます。もう少し普段は、ボールが上吊らないのかもしれません。しかしまだ本当の制球力・技術が身についておらず、大学からのプロ入りは時期尚早であるように感じます。 (投球フォーム) 今度は、投球フォームから問題点を考えてゆきたい。 <広がる可能性> ☆ 1.0 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、体を捻り出すスペースは確保できません。したがって捻り出して投げるカーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種を投げるのには適しません。 また「着地」までの粘りがなく、すぐに地面を捉えてしまい体を捻り出す時間が確保できません。こうなるとカーブやフォーク以外の球種の修得、あるいはキレや曲がりの大きな変化球を武器にするのは厳しいかもしれません。カットボール・ツーシーム・スプリットなどの小さな変化を武器にしてゆくことで、投球の幅を広げてゆくのが得策かと。 <ボールの支配> ☆☆★ 2.5 グラブは最後まで体の近くにあるものの、最後後ろに抜けて解けそうにはなっています。それでも両サイドには適度に散っており、この点では気にしなくても。 むしろ問題になるのは、足の甲での地面の押し付けが浅いこと。これにより力を入れて投げると、どうしてもボールが上吊ってしまいがち。「球持ち」も我慢できないのでボールを押し込めず、ボールが低めに集められません。 <故障のリスク> ☆☆ 2.0 お尻が落とせないフォームなので、カーブやフォークを投げると窮屈になり肘に負担がかかります。現状これらのボールは殆ど見られないようなので、悲観することはなさそう。 腕を真上から振り下ろすことを意識しているので、腕の送り出しに無理があり肩への故障が心配になります。そのため日頃から、充分にケアに務めて欲しいと思います。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りに乏しいので、「開き」自体は早くないのに容易に合わされてしまいます。まして球が高いところを、狙い撃ちされるわけです。 腕は強く振れており、速球と変化球の見極めは困難。ボールに体重が乗り切る前にリリースを迎えており、ステップ幅や着地までのタイミングを工夫して、この欠点を改善して欲しいものです。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」以外の部分は課題を抱えていて実戦的とは言えません。 足の甲の押し付けの浅さからボールが上吊りやすかったり、腕の送り出しから肩への不安なあるなど、フォームに関しては推せる材料に乏しいのが現状。いろいろ指摘しましたが、一つ「着地」までの粘りを意識すると、必然的に多くの欠点が改善されて来るように思うわけですが。果たして高校時代から同様の欠点を抱えたままここまで来ましたが、どこまで改善できるでしょうか? (最後に) 元々マウンド捌きもよく、素材型というよりは実戦派に近いタイプだと思います。しかし技術が、このタイプにしては疎かにされてきたのではないかと危惧します。すべてを改善することは難しいでしょうが、その中でも「着地」に意識を向けることで、いろいろ改善されるのではないのでしょうか。持っている資質はプロをも意識できるところまで来ているので、今後どこまで改善されるか注目したいところ。かなり時間を要するでしょうから、社会人など次のステージでの改善を期待して、その時を待ちたいところです。 (2016年 春季リーグ戦) |