16dp-1


 




生田目 翼(23歳・日本通運)投手の個別寸評へ






生田目 翼(流通経済大)投手 174/76 右/右 (水戸工出身) 
 




                      「意外に実戦的」





 水戸工業時代から、茨城では投打で注目されている選手でした。流通経済大に進んでからも、順調に実績を積み上げてゆきます。そして昨年は、リーグ戦で9勝0敗。チームを大学選手権に導き、MAX152キロのストレートを投げ込み一躍その名を全国に知らしめました。

 そんな生田目選手「将来は公務員にでもなって」という発言で注目されましたが、その口ぶりとは違い、これだけの投球を続けてもスタミナが落ちないところをみると、相当体をイジメ抜いていることがわかります。また投げっぷりの良さから、強気の投球ばかりが目を惹きますが、パッと牽制を挟んだりと実に冷静。投手としてのセンスも、兼ね備えています。


(投球内容)

 中背の体格から、少しスリークォーターぽいフォームで投げ込んできます。

ストレート 常時145キロ~MAX152キロ

 ファーストストライクから、149キロを記録するなどスピード能力は突出しています。ボール自体は比較的キレ型で、それほど球威があるわけではありません。空振りをバシバシ奪うというよりは、相手の手の出ないところにズバッと投げ込み、見逃しの三振を奪うタイプでしょうか。

 右打者へのコマンドは高いものの、左打者のへの制球は結構バラついて暴れる傾向にあります。左打者には、大まかに内外角を投げ分けて来るという感じでしょうか。

変化球 スライダー、カーブ・カットボール・チェンジアップ・フォークなど

 球種は実に多彩ですが、基本的に小さく横滑りするスライダーとのコンビネーションです。それに余裕が出てくるとカーブを混ぜたり、カットボール・チェンジアップ・フォークなどを微妙に織り交ぜてきます。まだ変化球に、絶対的に空振りを誘える球はありません。ただし追い込んでから、ストライクゾーンからボールゾーンに切れ込むのを振らせるのは上手く、そういったセンスには長けているように見えます。

その他

 牽制もまずまず鋭いですし、パッと間合いを取るために軽く投げる時もあります。クィックは1.0秒前後で投げ込めるなど高速。元遊撃手だけに、フィールディングの動きも悪くありません。

 この選手は、非常に運動神経がよく、野球センスも兼ね備えている選手だと考えられます。けしてただ速い球を投げるだけの、粗っぽい選手とは違います。

(投球のまとめ)

 球速に頼ることなく、スライダーを中心に他の変化球を織り交ぜ上手くピッチングを組み立てています。けして素材型なのではなく、投球センス・技術にも優れた選手だと言えるでしょう。

 投げっぷりの好いハートの強さだけなく、冷静さも兼ね備え、また野球に向かう姿勢にも確かなものがあると評価します。例の公務員発言は、彼なりの照れなのではないのでしょうか。



(投球フォーム)

<広がる可能性> 
☆☆☆☆

 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばしているので、お尻は一塁側に落ちている。そのため体を捻り出すスペースは確保できているので、カーブやフォークのような腕を送り出して投げる球種を投げるのにも無理がない。

 「着地」までの粘りは平均的で、それほど体を捻りだす時間は確保できていない。ある意味、一通りの変化球は投げられるものの、絶対的な決め球がないのもこのせいかもしれない。

<ボールの支配> 
☆☆☆

 グラブは最後まで体の近くに抱えられており、両サイド野投げ分けは安定しやすい。しかし実際には、左打者に対しては上手く制御できていないのだが。

 足の甲の押し付けは、最初押し付けられているものの、途中で完全に浮いてしまうという特殊なフォームになっている。この辺力を入れて投げると、ボールが上吊ったり、バラつく要因になっているのかもしれない。「球持ち」は平均的で、特別指先の感覚に優れているようには感じない。しかし右打者の外角いっぱいには、かなり精度の高いコントロールを魅せる。

<故障のリスク> 
☆☆☆☆

 お尻を落とせるフォームなので、カーブやフォークを投げても無理はない。それにそれほど多くはこれらの球種を使って来ないので、肘への負担は少ないのでは?

 腕の送り出しを見ていても、無理がなく投げられている。そういった意味では、肩への負担も大きくはないだろう。ただし本人のコメントを訊く限り、肘への不安は抱えているようだ。

<実戦的な術> 
☆☆☆

 「着地」までの粘りは平均的で、けして合わせずらいフォームではない。また「開き」も平均的で、ボールが走っていないと厳しいタイプではないのだろうか。

 腕をしっかり振れるのは魅力で、速球と変化球の見極めは困難。しかし足の甲が浮いてしまうなど、ボールへの体重の乗せはもう一つで、その辺が打者の手元までの球威の物足りなさにつながっているのでは?投げ終わったあとも、地面を蹴り上げるような動作は見られないで、力をロスしてしまっている。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作ある「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」「開き」「着地」と並で、「体重移動」に課題を抱えている。もう少し下半身の使い方が上手くなると、打者の手元までグッと来るような凄みが生まれて来るはずなのだが。

 コントロールを司る動作は、足の甲の押し付けが課題。故障のリスクは感じないが、本人は肘への負担を口にしている。フォームに関しては、可も不可もなしといった感じだろうか。


(最後に)

 けしてスケール感溢れる素材ではないが、持ちえる能力を存分に発揮できており、投球センス・テクニカルな部分でも想像以上の選手だった。順調にこの一年間を過ごせば、上位12名の中に収まる可能性は高いだろう。

 田中正義(創価大)との投げ合いの日には、今までにないぐらいの観客が、リーグ戦に殺到するのではないのだろうか?二人の投げ合いが、今から楽しみで仕方ない。


(2015年 大学選手権)