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大木 貴将(23歳・香川OG)二塁&外野 173/73 右/左 (拓大紅陵出身) |
「わかりやすい」 もう売りは、足 だという、明確にわかりやすい選手であり、育成枠らしい育成枠だと思いました。逆にこの選手は、まず間違いなく、今年のドラフトで指名されるだろうという確信がありました。それだけ、特徴がハッキリしていた選手でしたから。 (走塁面:走塁偏差値 66.5) 一塁までの到達タイムは、3.75~3.9秒ぐらいで刻んで来る、プロ野球でもトップクラスの脚力の持ち主。これを、ドラフト指名された左打者で偏差値化すると、66.5 という数字になり、今年入団した左打者でもNO.1ではないのでしょうか。 ただ速いだけではありません。今年のアイランドリーグで、68試合(248打席)で、43盗塁で盗塁王に。ちなみに2位の選手が、22盗塁ですから、彼がいかに図抜けた存在だったかわかります。ちなみに、これをプロのレギュラー選手並みの500打席で換算すると、87個1シーズンで盗塁することになります。アイランドリーグとNPBのレベルの差を考慮しても、レギュラーで出場できるぐらいならば、盗塁王も狙える素材ではないのでしょうか。 (守備面) 関東に遠征してきた時は、リーグでも圧倒的な数字を残していた割に、試合の途中から出場していたりと、守備に関してはよくわからない部分が多かったです。見た感じでは、内外野どこでも守れる器用さはあるものの、図抜けた動きが良かったとか、肩が強かったという記憶もなく、無難にこなしていた程度にしか覚えていません。しかしセカンドでないときは、ライトのポジションについていたので、肩も弱いというほどではないのでしょう。 (打撃内容) アイランドリーグでの最初の2年間では、打撃の弱さがネックでした。しかし3年目の今年は、打率.327厘で首位打者に輝きます。コンパクトヒッターではあるのですが、結構高めの球は外野手を越えるような長打も放つなど、ひ弱いタイプではありません。 <構え> ☆☆☆☆ 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えます。腰の据わり・全体のバランスも悪く無いですし、両目でもしっかり前を見据えて観ることができています。錯覚を起こすことなく、球筋を追うことができています。 <仕掛け> 遅めの仕掛け 投手の重心が下る途中で動き出し、つま先立ち。そこから本格的に動き出すのは、投手が重心を前に滑りだす「遅めの仕掛け」 です。そのため生粋のスラッガーか天性の二番タイプの打者に多く観られる打ち方で、彼は完全に後者のタイプかと。できるだけボールを見極めてから、状況に応じた打撃を行います。 <足の運び> ☆☆☆ 小さくステップして、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は短く、線ではなく点でボールを捉えるタイプ。そのため狙い球を絞り、その球を逃さないことが求められます。 アウトステップして懐を開けるように、真ん中~内角よりの球を強く意識しているのがわかります。それでも踏み込んだ足元はブレないので、外角でも高めの球や甘めの球ならば、開きを抑えて対応できそう。 <リストワーク> ☆☆☆ あらかじめバットをトップに近い位置に添えて、速い球に立ち遅れないようにしています。バットの振り出しは、インサイドアウトの最短距離で叩くタイプ。内角を捌くのには適していますが、外に強い球を投げると弱そうなスイング。バットの先端であるヘッドも下がるので、外の球を打ち損じるケースも目立ちます。そして最後まで、しっかり振り切ろうという意識は感じられます。 <軸> ☆☆☆ 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。体の開きも我慢できていますが、少し軸足の形が崩れるのが早いかなという印象は受けます。 (打撃のまとめ) 打てない球は、徹底的にファールで粘るなど、嫌らしいプレースタイルに徹しています。打てない球はカットして、打てる球だけに絞り込むのも上手い選手。点の打撃なので、NPB相手のスピード・変化球にどのぐらいついて来られるのかは不安は残ります。 しかしスイングにひ弱さがないのと、内角を捌く技術はしっかりしているので、面白いものは持っていると思います。あとは、プロで通用する、外角打ちを身につけられるかではないのでしょうか。 (最後に) 関東に遠征してきた時から、盗塁数が際立っていました。しかしこの時は、スタメン出場も少なく、いまいちよくわからない部分が多かった。しかし今回改めて9月のソフトバンクとの交流戦の模様などを見直し、その良さがわかってきました。プロでもトップクラスの脚力もあり、粘っこさ、内角の捌きなども評価して、育成枠の指名の選手ですが、☆ を記してみたいと思います。 蔵の評価:☆ (2015年 プロアマ交流戦) |