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増田 大輝(巨人)内野手のルーキー回顧へ








増田 大輝(22歳・徳島ID)内野 172/62 右/右 (小松島出身) 
 




                     「ボールに食らいつく姿勢がいい」





 打撃は弱いのだが、それでもボールに食らいついて、なんとかしてやろうという気持ちがプレーから伝わって来る選手。ファールで執拗に粘ったりと、自分の役割や持ち味がよくわかっている選手ではないかと。関東に遠征してきたアイランドリーグ選抜の一員として、緒戦のフューチャーズ戦では二番・二塁手として出場。内角の球を差し込まれながらもセンター前ヒット、サード横を破るツーベース・三遊間へのヒットなど三安打を放ち、存在感を示しました。


(走塁面:走塁偏差値 43)

 一塁までの塁間を計測した時は、4.45秒ぐらいで、これを左打者に換算すると4.2秒ぐらいとプロの基準タイムレベル。しかしこのタイムを、ドラフト指名された右打者のタイムで偏差値化すると 43 と、大きく平均を下回ることがわかります。別の試合で二塁到達タイムを図った時は、8.33秒ぐらい。ただ二塁到達タイムは、私自身サンプルが少ないので、これが速いのか遅いのかよくわかりません。しかし盗塁数は、67試合で18盗塁とリーグ3位の好成績。NPBに混ざれば絶対的な脚力ではないものの、実際には中の上ぐらいの脚力がありそうなのは、試合を見ていてもわかります。もう少し到達タイムでも、打球によっては速いのではないのでしょうか。

(守備面)

 プレー全体から受ける印象は、スピード感があるということ。更に動作一つ一つに、鋭さが感じられます。遊撃手としてのレベルは確認できていませんが、二塁手としては守備力・地肩ともに基準レベルはあり悪くありません。二塁手らしい、切り返しの早いキビキビしした動きを魅せます。

 全体的な印象では、守備・走力は中の上タイプといった感じで、図抜けてはいないけれど悪くないといった印象でしょうか。





(打撃内容)

14年度 76試合 1本 26打点 11盗塁 打率.263厘
15年度 67試合 1本 14打点 18盗塁 打率.209厘


という成績。しかしスイングにはひ弱さはなく、むしろ鋭い。しかし率が上がらないのは、独特の脆さみたいなものがあるのではないのでしょうか。打球は、センターから三遊間方向中心に打ち返してきます。典型的な、二番タイプの右打者です。

<構え> 
☆☆☆☆

 前足を大きく引いた右のオープンスタンスで、グリップは高めに添えます。腰を深く沈め、全体のバランスとしては個性的ですが、両目ではしっかり前を見据えられています。

<仕掛け> 早め

投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。典型的な、アベレージヒッターの打ち方です。

<足の運び> 
☆☆☆

 足を大きく引き上げて、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は充分ありますが、いろいろな球にうまく合わせようというよりも、足をしっかり引き上げて強く踏み出すために、早めに動き出している感じがします。

 ベースから離れた方向に踏み出す、アウトステップを採用。内角を強く意識したスタイルなのがわかります。踏み込んだ足元も、けしてブレているわけではないのですが、早く地面から離れるので、センターからレフト方向へ引っ張る打球が中心かと。

<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形は早く作れているので、速い球に立ち遅れる心配はありません。バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトではなく、結構バットを長く持って遠心力を活かしたプロ仕様のスイング。ただし外角の球に意識があるのであればこれでも良いのですが、真ん中~内角よりの球を今のまま意識してゆくのであれば、逆にインサイド・アウトのスイングを覚えた方が良いのではないのでしょうか。

 ボールを捉えるときは、特にヘッドも下がっておらず悪くありません。大きな弧を描きつつ最後まで、しっかり振りきれています。鋭く野手の間を抜けてゆく打撃が持ち味で、けしてフォロースルーを使って打球を遠くに運ぼうというタイプではありません。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げありますが、目線の上下動は少なめ。体の開きも地面から離れるのは早いものの、悪くはありません。軸足も地面から真っ直ぐ伸びており、綺麗な軸回転ではスイングできています。

 逆に巻き込めた時は良いのですが、配球の7割以上は外角球で構成されているので、外角球をキッチリ叩けるスイングを身につけないと、率は上がって来ないと考えられます。

(打撃のまとめ)

 結構スイングは鋭いですし、ボールに喰らいついてゆく貪欲さも感じます。むしろ何故、こんなにアイランドリーグでの打率が低いのか不思議にさえ思います。やはり外角に投げておけば、安牌だということでしょうか?


(最後に)

 二塁を守る守備・走れる走力はそれなりで、プロでも中の上レベルの位置づけといった感じ。問題は、対応力の低い打撃にあり、外角の球をキッチリ叩ける打撃が求められるでしょう。その辺は、プロの指導でどのぐらい変わって来るか。

 1年目は、三軍での出場中心であり、イースタンでの起用も少ないかもしれません。そういった中で、一つ一つ段階を踏んで這い上がって来られるのか? しかしボールへの執着をみていると、それも期待できなくはない選手。指名リストに載せるほどの力はありませんでしたが、22歳という若さからも、これからの成長を期待したくなる気持ちの入ったプレーヤーでした。


(2015年 四国アイランドリーグ選抜・関東遠征)