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足立 祐一(26歳・パナソニック)捕手 176/77 右/右 (桜美林-神奈川大出身) |
「キャッチングはアマ随一」 私は、捕手はまずボールが捕れること、このことを1番重視している。そういった意味では、この選手はアマ随一のレベルにあり、高く評価しなければいけないだろう。しかし神奈川大時代の彼の寸評を読みなおすと、むしろキャッチングに光るものはないとか、手を伸ばすだけで捕球にゆくとか、結構厳しく書いていたのに驚く。しかし今は、社会人随一というよりも、アマ随一の存在ではないのかとさえ思えてくる。 (ディフェンス面) 体を小さく屈め、ミットを大きく魅せ投手に狙いがつけやすいように構えます。ミット示し、それを下げないで構えられています。素晴らしいのは、捕球する際に全くミットがブレないこと。そこに面白いようにボールが吸い込まれてゆくので、審判からもストライクコールが呼ばれやすいわけです。また低めの球に対し、下からパッとグラブが出てくること。これが、完全に身体に染み付いている。大学時代同様に、全身でボールを止めに行こうという感じはあまりしませんが、ミットの出し方が良くミスが非常に少ないのが特徴。しいて言えば、やはり完全にコースから外れた球を捕球するのに、若干の不安を残す点でしょうか。 さすがに社会人でも実績充分な捕手だけに、リードも大人びています。ただし自チームを都市対抗に導けなかったように、戸柱 恭孝(NTT西日本-DeNA指名)ほどのものは感じません。スローイングは、1.9~2.1秒ぐらいでまとめて来るなど、ドラフト候補としてはやや遅い方。しかしながら大学時代は、捕ってから投げるまでの流れがよく、走者の滑り込んで来るところに、安定して投げ込める精度の高さを高く評価していました。若干その辺が以前よりも薄れた感じもしますが、実戦で刺せるタイプの捕手だと言えます。 ことディフェンス面に関しては、充分プロでも通用すると考えられます。特にキャッチングの衰えが顕著な正捕手・嶋基宏 に比べると、そういった心配がないのが大きい。特に嶋の後追う捕手の力量差が大きいチームだけに、26歳でもこの選手を補強したかった意図がよくわかります。プロの捕手としては、打力・地肩などに絶対的なものがないだけに、シーズン通してマスクを被るようなスケール感はありません。あくまでも、嶋の刺激剤・短期的な穴埋めなどのバックアップ的な存在として位置づけるならば、とても良い人材ではないのでしょうか。 (打撃内容) 神奈川大時代は、4番打者。大阪ガスに補強された今年の都市対抗でも、三番打者として出場。それなりに、打てる捕手という位置づけなのだと思います。しかし試合を観る限り、対応力に課題があるように見えます。しかし都市対抗のJR東日本東北戦では、試合を決めるサヨナラホームランを放つなど、派手な活躍を魅せました。 <構え> ☆☆☆ 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合は良いものの、全体のバランス・両目で前を見据える姿勢は並ぐらいでしょうか。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が下るときに、つま先立ち。そしてリリースを迎えるあたりで、再度ステップし直す「遅すぎる仕掛け」を採用。そのため始動が遅すぎて、打てるポイントは点になってしまう打ち方です。 <足の運び> ☆☆☆ 小さく足を浮かし、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」がないので、緩急の揺さぶりには脆いタイプ。真っ直ぐ踏み出すので、内角でも外角でも打ちたいタイプ。踏み込んだ足元がブレないので、外角の厳しい球や低めの球にも喰らいついて行けるはず。しかし都市対抗の時は、そういった球を無理に引っ張りにゆき、ボールを引っ掛けていました。 <リストワーク> ☆☆☆ 打撃の準備である「トップ」を作るのは遅くなく、速い球に立ち遅れる心配はありません。むしろ速球狙いでいて、変化球を投げられた時の対応に課題を感じます。 バットの振り出しは、インサイド・アウトではありません。しかし外の球を叩くまでには大きなロスもありませんし、バットの先端であるヘッドも下がらないなど、癖のないスイングは魅力。身体に力があるので、上手くタイミングが合えば飛びますがが、それほど長打を売りにするというほどではないでしょう。 <軸> ☆☆☆ 足の上げ下げは小さい割には、目線は動くかなという印象。どうしても自分からボールに向かってしまい、突っ込んでしまうタイプでしょうか。体の開きは我慢できており、軸足の安定感も並。もう少し自分の懐まで、ボールを呼びこむ意識を持ちたいですね。 (打撃のまとめ) どうしても始動の遅すぎのせいか? 動作に余裕がありません。何か脆い印象があり、打撃に関しては一軍レベルという感じは致しません。大学でも社会人でも打線の中心にいたような選手ですから、捕手としては悪くないのかもしれませんが。そういった意味では、プロの球への対応には時間がかかるのではないのでしょうか? ただしパ・リーグはDH制でもあり、セリーグに比べると捕手に求めれる打力の比重が少ないのも確か。そういった意味では、パ・リーグ向きの選手なのかもしれません。 (最後に) ディフェンスに関しては、一年目から一軍の中に入って行ける選手だと考えます。嶋のバックアップとしての人材としては、最適ではないかと思います。そういった人材を、6位でガッチリ獲得したことに関しては、高く評価したいところ。 プロのレギュラーとしては、打撃・地肩などの物足りなさがあり、短期的な穴埋め、正捕手への刺激剤という位置づけになろうかとは思いますが、非常に洗練され経験も豊富な選手だけに、2人目・3人目の捕手としては重宝するでしょう。26歳でのプロ入りですが、長く現役を続けることになりそうです。 蔵の評価:☆(下位指名ならば面白いかと) (2015年 都市対抗) |
足立 祐一(神奈川大)捕手 176/77 右/右 (桜美林出身) |
(どんな選手?) 桜美林時代は、東京都の大会で決勝まで行ったことのある実績の持ち主です。今や神奈川リーグを代表する捕手に成長致しました。 (ディフェンス面) 投手を気遣い頭を使ってプレーする、捕手らしい捕手です。ミットを軽く示し、グラブを下げないで捕球するので、低めの球へもそれなりに対応できます。ただキャッチング自体それほど光るものはなく、スローイングも塁間2.1秒台と、ドラフト候補としては考えにくいものがあります。典型的なアマタイプの好捕手といった感じです。 (打撃内容) 打球が、センターからレフト方向に引っ張る典型的なプルヒッターと言う気が致します。スクエアスタンスでバランスよく構えます。少し構えが固いかなと言う印象は受けますが。 仕掛けは「遅めの仕掛け」を採用するなど長距離打者タイプ。足を軽く引き上げ、まっすぐ踏み込みます。ただステップが狭く腰の回転を促す引っ張り専門の打撃です。 ややバットを引くのが遅く、打撃の準備段階であるトップをしっかり作れないのが気になります。肘が下がって腰が早く逃げるタイプなので、真ん中~内角よりの球は巻き込めますが、外角それも低めの球への対応は苦しそうです。当たれば大きいですが、確実性の低い打てる球が限られたタイプなのでしょう。 (今後は) 多少打撃が粗いのは、捕手と言うポジション柄ありなのかもしれません。ただ捕手としては捕手らしい選手で好いのですが、プロ云々と言うほどの地肩などのポテンシャルがあるタイプではありません。上のレベルでも通用するレベルなのかも微妙ですが、今年の神奈川大学球界を代表する選手として、その可能性を見極めてゆきたいと思います。 (2010年・神宮大会) |