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西川 龍馬(広島)内野手のルーキー回顧へ







 西川 龍馬(21歳・王子)遊撃 175/67 右/左 (敦賀気比出身)
 




                    「指名されるのでは?」





 高卒3年目ながら、強豪・王子 の三番・ショートを任せられている 西川 龍馬 。まだ一年目からバリバリ活躍できるほどの圧倒的な能力はないが、1,2年ファームで漬け込む覚悟のある球団ならば、指名してきても不思議ではない。会社が出してくれるならば、下位指名での指名は充分期待できるのではないのだろうか。


(走塁面・走塁偏差値 63.4)

 一塁までの塁間は、左打席から 4.2秒前後~速い時には3.9秒前後で走り抜ける時がある。これをドラフト指名された左打者のタイムで偏差値化すると、4.2秒だと 48.2 と平均を割ってしまうのだが、3.9秒となると 63.4 と相当上位の数字になる。それだけ数字にバラつきがあるので、実際の走力がどこにあるのかは掴みにくい。

 実際を試合を見ていると、中の上ぐらいなのかなという印象は受ける。そのためそれなりに盗塁はするものの、まだプロレベルに混ぜると、絶対的な走力はないという感じが。しかし3.9秒前後で駆け抜けられる能力があるとすると、今後走力を全面に出して来る可能性は期待できる。

(守備面)

 キャッチング・フットワーク・スローイングまでの流れがよく、一つ一つの動作もキッチリ行います。余裕があるときは、無理のない流れで処理し、必要があれば鋭さを増して素早く動くことも可能。送球も余裕があるときは、フワッと軽い返球をします。しかしいち早くアウトにしなければならない時は、しっかり強く速い返球も可能。地肩もまずまずで、上のレベルでも二遊間の選手として期待できます。

 まだプロの遊撃手として、年間任せてみようというほどの高い水準までは到達していません。しかし今後の鍛えようによっては、ショートとして信頼を得るだけのレベルまで、引き上げることは期待できるのではないのでしょうか。

 現状は、守備も走塁も中の上レベル。しかし持っている潜在能力は高く、更にもうワンランク上の領域まで到達できる可能性は感じます。アマチュアの選手が、プロで一番伸びるのは、走力と守備力です。


(打撃内容)

 まだ対応力・スイングの強さなどの部分で、プロの一軍の打者となると物足りません。しかしこの選手、けしてひ弱い選手ではなく、スイングも大きくトップも深くとれるなど、無駄な部分をもう少し改善できれば、打撃でも存在感を示しても不思議ではありません。そのためコンパクトヒッターではなく、二塁打・三塁打などの多いタイプの、中距離ヒッターではないかと考えられます。

<構え> 
☆☆☆

 前の足を大きく引いた、左オープンスタンス。グリップを高めに添えた強打者スタイルで、腰はそれほど沈まず、全体のバランスとしては並ぐらい。両目で前をしっかり見据えられており、錯覚を起こし難い構えにはなっています。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が沈み込んだ時に動き出す、平均的な仕掛け。これは、ある程度の対応力と長打力を兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターが多く採用するスタイル。

<足の運び> 
☆☆☆

 足を軽く上げて、ベースから離れ方向に踏み出すアウトステップ。始動から着地までの「間」はソコソコで、速球でも変化球でもそれなりに対応。アウトステップがキツイので、内角の球を呼びこむには適している反面、外角の球をあまり強く叩け無いところが欠点か? 踏み出した足元はインパクトの際にもブレず、開きを我慢して外角でも高めの球ならば対応できそう。

<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、特に力みは感じない。かなり深いトップを作るので、弓矢の弓を強く引くがごとく、強い反発力は期待できます。バットの振り出しも、外の球を叩くにはロスは感じません。しかしバットを長く持って後ろ大きく使って来るので、ある程度懐にスペースがないと内角球が捌けません。それを補うために、かなり大きなアウトステップをしているものと考えられます。ボールを捉えてからのスイングの弧は思ったほど大きくなく、フォロースルーもそれほど使ってきません。そのため強い打球は飛びますが、打球が上がるタイプではないのでしょうか。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げは静かで、目線の上下動のブレは少なそう。体の開きも我慢できていますし、軸足にも粘りが感じられます。

(打撃のまとめ)

 打撃の基本は、後ろのアクションは少なく、前の動作を大きく取るのが基本です。そういった意味では逆で、まだまだ無駄な動きが多いように思います。その辺が、対応力の脆さ・打撃の弱さにつながっていると考えられます。

 プロの指導で、その辺を直されると思いますので、そのスイングをどのぐらいの期間で身につけられるのか? そしてその時に、どのような打者に変貌しているのかが、ポイントではないのでしょうか。


(最後に)

 現状は、プロの中に混ぜても突出したものはありません。しかし守備・走力に関しては、まだ更なる上のレベルへの可能性を感じます。また打撃はやや劣るのですが、プロの指導で見違えるようになる可能性も残されています。

 社会人の選手ではありますが、21歳と若く可能性に賭ける、そういったタイプの選手です。その未完成の部分を、まだ社会人で追求するのか? ここはプロに託すのかは考え方次第ですが、もしチャンスがあるのならば、いち早くプロの世界に飛び込むべきではないのでしょうか。そういったレベルまでは、引き上がってきているように思えます。


蔵の評価:
 (指名の最後の方なら)


(2015年 都市対抗)









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