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松澤 裕介(巨人)外野手のルーキー回顧へ






 松澤 裕介(24歳・香川OG)外野 181/85 左/左 (誉-朝日大出身)





                 「昨年より良くなったわけではない」





 昨年育成ドラフト3位で巨人に指名されたが、左手指関節靭帯の腫瘍除去手術のため指名を拒否。今年改めてプレーできることを証明して、再度巨人から指名された。パフォーマンス的には、手術の影響もあって昨年よりも低下。それでも球団は、彼を再度指名した。

(ここに注目!)

 微妙な感覚の部分では、まだ100%回復しているわけではないのかもしれない。しかし守備などの動きを観るいる限り、その影響は感じられなかった。

走塁面:
☆★ 1.5

 一塁までの塁間は、左打席から4.35秒前後。これを、ドラフト指名された左打者のタイムで偏差値化すると、37.2 とかなり低い。実際のプレーを見ていると、そこまで足が遅いようには見えない。しかも昨年は、68試合で盗塁1個。今年も65試合で盗塁2個と、基本的に走力の部分では期待できなそう。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 昨年手帳を無くしてしまい守備の部分はよくわからなかったが、今年のプレーぶりを確認し確かめてきた。打球への反応、落下点までの入り、キャッチングなどは安定している。走力がないので守備範囲はさほど広くないが、球際で強さを発揮するタイプ。地肩もまずまず強く、プロに混ぜても見劣りしない。守備に関しては、中の上レベルはあると観て良いだろう。

(打撃内容)

 右に左にセンターへと、どの方向にも打ち返すことができる。特に引っ張る打撃を得意としており、思いのほか長打力も秘めている。昨年は255打席で10本塁打を放つなど、アイランドリーグの日本人野手の中でもその長打力は目立っていた。今年は2本と長打は少なくなり、全体的に打撃のパワフルさが薄れた印象がある。それでも捉えた時の打球は強烈で、目を惹くものがあった。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 昨年は前足を引いて構えていたが、今年は両足を揃えたスクエアスタンスに。グリップは高めに添えられており、腰の据わり具合相変わらず良い。しかし足を引かなくなった分両目で前を見据える姿勢が悪くなり、全体のバランスとしては昨年の方が良かったように思う。

 しかしこの辺の感覚は、本人が一番しっくりした形を追求すべきだろう。打席での集中力を感じるが、昨年の方が余分な力が抜けていて、柔軟性を感じる構えだった。

<仕掛け> 平均的

 昨年は「遅めの仕掛け」で始動しており、より手元まで引きつけて叩く長距離打者のスタイル。しかし今年は、投手の重心が下る時に動き出す「平均的な仕掛け」を採用。確実性と長打力を程よく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターが多く観られる始動。

 長打力が薄れた要因の一つにこれがありそうだが、昨年より早めに動き出すことで確実性が増したかったところ。しかし結果的には、昨年の.275厘だったのに対し今年は.253厘と打率も低下してしまった。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を軽く浮かし、ベース側に踏み込んでくるインステップ。始動~着地までの時間はそこそこで、速球でも変化球でもそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出した足をインステップするようになり、より外角の球を逃さず叩くことに主眼が置かれている。

 踏み込んだした足元はインパクトの際にも我慢できており、外に逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができている。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 あらかじめバットを引いて、トップに近いところで添えます。速い球に立ち後れない反面、前の肩が後ろに引かれ力みやすく、リストワークに遊びがなくなる危険性があります。気になるのは、ボール呼び込む際に肩が内に入り過ぎな部分。これだとなかなかヘッドが出てこなく、スムーズに内角が捌けない可能性があります。それでも外の球に対しては、ロスも少なくインパクトできてはいます。バットの先端であるヘッドの下がりも少なく、タイミングさえ合えば打ち損じは少ないのでは?

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。錯覚を起こすことなく、球筋を追いやすいでしょう。身体の開きも我慢でき、軸足にも適度な安定感は感じます。

(打撃のまとめ)

 昨年よりも構え全体に悪い癖が出てきて、全体に力みが感じられるようになりました。怪我の影響からそうなったのか? 結果を残そうと自然と力が入ったのかはわかりません。

 本当ならば昨年よりも確実性が増しても良かったのですが、結果的には率も落とし長打も少なくなってしまったという感じに。新しい打撃フォームが合わなかったのか? 手術の影響が、プレーに出ていたのかの判断は難しい。


(最後に)

 もし今年のプレーだけで判断されていたら、指名されることはなかったことでしょう。指名されたのには、今ままでの評価 + 今後元の能力を取り戻せると判断したから。何よりその心意気を球団が、改めて評価したからではないのでしょうか。育成8位という、ドラフト会議全体の中でも一番最後の指名からだけに、今後の道のりは厳しいことが予想されます。その逆境を乗り越えて、ぜひ一軍で活躍する姿を観てみたいと思わせる選手でした。


(2016年 四国アイランドリーグ選抜・関東遠征) 









松澤 裕介(23歳・香川OG)外野 181/83 左/左 (誉-朝日大出身) 





                      「覚えていない・・・」





 この選手を今年7月に、四国アイランドリーグ選抜が関東に遠征してきた時に見ている。しかしその時気になった選手の中には、この選手は含めておらず、特にレポートも残していない。しかし観戦した時の手帳があるはずなのだが、この時期の手帳がどうしても見つからない。そのため守備・走塁についても触れられているはずだが、思い出せない。そこで今回は、彼が残した成績と一部動画を観て、レポートを作成してみたい。


(走塁面:走塁偏差値 37.2)

 一塁までの塁間は、左打席から4.35秒前後。これを、ドラフト指名された左打者のタイムで偏差値化すると、37.2 とかなり低いことがわかる。実際プレーを見ていると、そこまで足が遅いようには見えない。しかし今シーズンも、255打席で盗塁は僅か1個ということからも、走力には期待は持てないことがわかる。

(守備力)

 残念ながら手帳があれば、守備力や地肩に対して、チェックを入れていない選手でも記載している可能性が高い。それだけに、詳細がわからないのが残念。ちなみにスカウトのコメントを観る限りは、守備も安定していて上手いとのこと。またスペック的には、遠投120メートルという触れ込みであり、強肩の選手だという。ただし凄く気になるものがあったのならば、私自身レポートの際にコメントしていただろうから、あまり気にならなかったということなのだろう。





(打撃内容)

 映像を見直す限り、どの方向にも打ち返す中距離ヒッターという感じ。特に思いっきりの良い、フルスイングを身上とする強打者タイプ。田中太一(巨人)の149キロのストレートをライト前にはじき返したり、内角より変化球を上手く、ライト方向の引っ張ったりと、速球でも変化球でも対応できる。ちなみに2015年度の成績は

68試合 255打席 10本 43打点 打率.275厘

という成績。この数字は、アイランドリーグの打点王。更に6月に北米遠征した時に、MVPにも輝いているという。

ちょっとフォームチェックした動画は、審判の陰に隠れてしまいよくわからなかった部分はありますがご了承ください。

<構え> 
☆☆☆☆

 前足を引いて、グリップは高めに添える強打者スタイル。腰を深く沈め、両目で前をしっかり見据えられ、全体のバランスも取れていそう。打席でも力むことなく、リラックスして構えられている。

<仕掛け> 遅めの仕掛け

 ちょっと陰になって見難かったのでハッキリはわかりませんが、「遅めの仕掛け」を採用しているように見えます。これは、できるだけボールできる引きつけてから動き出す、長距離打者に多く観られるタイミング。

<足の運び> 
☆☆☆

 足を軽く浮かし、真っ直ぐ踏み出しているように見えます。始動~着地までの時間に余裕はなく、瞬時にいろいろな球には対応できません。あくまでも狙い球を絞り、その球を逃さない 点 の打撃です。

 真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいタイプ。踏み込んだ足元はブレないので、外角の厳しい球や低めの球にも喰らいつけてゆけそう。

<リストワーク> 
☆☆☆☆

 あらかじめバットを捕手方向に引いており、トップの位置からバットを振り出します。これは、始動が遅くても速い球に立ち遅れないためなのでしょう。弊害としては、リストワークに遊びが無くなるので、柔軟な打撃ができ難いことがあげられます。

 バットの振り出しは、上から最短距離で降り下ろす、インサイド・アウトのスイング軌道。これは、内角の球を捌くのに適しています。しかし外の球に対しては、しなりを活かせずにキッチリ叩けません。その点では、内角よりの球を巻き込む傾向にあります。

 スイングの弧はそれほど大きくなく、フォロースルーも使いません。あくまでも最後まで、フルスイングするのが身上。そう考えると、よほど上手くタイミングがあって巻き込まない限りは、打者の間を鋭く抜いて行くような強打者だと考えられます。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げが小さいので、目線の上下動は小さいはず。体の開きも我慢でき、軸足も内モモの強さが感じられ強い打球を生み出す要因になっています。軸を起点に、綺麗に回転できています。


(打撃のまとめ)

 外の球をレフト方向へという打撃もできないわけではないのですが、それほど得意ではないように見えます。打撃の基本は外角打ちなので、これをマスターして行かないと率は上がらないのではないのでしょうか。

 スイングの強さ・思いっきりの良さは素晴らしく、NPBの球威・球速にも違和感なく対応はできるのでは。フューチャーズ戦では、変化球にも上手く対応していました。


(最後に)

 せっかく悲願の指名を受けたのですが、左手靭帯損傷で長く引きそうだということで、指名を拒否することが発表されました。来年も引き続き候補として、観戦の機会があれば注目したいと思います。その時には、守備も含めて、もう少し確かな情報をレポートできればと思っています。ぜひ文句なしの形で、再度指名されることを期待します。


(2015年 プロ・アマ交流戦)