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杉本 裕太郎(オリックス)外野手のルーキー回顧へ







杉本 裕太郎(24歳・JR西日本)外野 190/88 右/右 (徳島商-青学大出身) 
 




                    「内角が捌けるようになってきた」





 青学時代からハマった時の打球強さと飛距離、それに強肩ぶりには目を見張るものがありました。その反面、大型故に脆さがあり、その辺が成長を妨げていた部分があります。しかし社会人に入り、長い腕が邪魔して捌けなかった内角の球を、かなり上手くたたんで長打に結び付けられるようになってきました。昨年もJR西日本のメンバーの中では、チームNO.1の打率.360厘の高打率を残し、社会人球界でもその強打が通用することを証明して魅せた。


(走塁面:走塁偏差値 56.2)

 一塁までの到達タイムは、右打席から4.18秒ぐらい。これをドラフト指名された右打者のタイムで偏差値化すると、56.2 という数字であり、プロに混ぜても中の上レベルの脚力があることがわかる。ただし走力はあるものの、実戦で盗塁を仕掛けてくることは少なく、そういった部分での期待は薄い。東都時代は、最高で1シーズン4個の盗塁を記録しているので、全く動けないわけではないのだが・・・。一塁までの塁間を、緩めることなく全力で走り抜ける姿勢には好感が持てる。

(守備面)

 特に一歩目の反応が鋭いとか、キャッチングが上手いとか、そういった外野手ではない。あくまでも身体能力の高さをいかし、破綻のないプレーヤー。個人的には、中堅よりも右翼・左翼向きの選手だと思っている。素晴らしいのは、徳島商業時代から140キロを越える速球を投げ込んでいた強肩にある。これは、彼の飛距離と共にプロで売りにできる部分ではないのだろうか。

(打撃内容)

 しっかり捉えた時の飛距離だけでなく、右方向にも打ち返す器用さを持っている。むしろ内角の球を上手く引っ張ることが下手だったのが、随分と改善されてきている。むしろ最近は、なんでも打とうという打撃から、このゾーンに来た球は逃さないという得意ゾーンに特化した打撃に変わりつつある。

<構え> 
☆☆☆☆ 

 前足を引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり・全体のバランス・両目で前を見据える姿勢もよく、理に適った構えになっている。

 昨年までは、両足を揃えたスクエアスタンス。それをより内角を捌きやすくするために、右オープンスタンスに。グリップをあらかじめ捕手方向に引いていたのを自然体にし、打席でリラックスすることを心がけるようになってきた。

<仕掛け> 平均的 

 投手の重心が下がりきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターが多く採用するスタイルに。今の方が、彼の打撃スタイルにも合致しているのではないのだろうか。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 始動を若干遅くしたことで、足をのあげを少し小さくシンプルにした。真っ直ぐ踏み出して、内角でも外角でも同じように打ち返そうと思っていた踏み込みを、アウトステップするように変えて、内角をに意識した踏み込みに変えてきている。元々踏み込んだ足元はブレないので、アウトステップでも外角寄りの甘い球や高めの球ならば、充分対応できるだろう。

<リストワーク> 
☆☆☆☆

 昨年まではグリップを引いて構えていたのを、今は自然体にして「トップ」を作るまでに力みのないスイングに変わってきている。遊びができた分、タイミングの合わせ方にも幅が出てきたのではないのだろうか?

 バットの振り出しも、昨年までは中々バットが出てこない印象だったのを、だいぶ改善されてロスが減っていいる。ボールを捉えるときは、ヘッドが下がらないことを意識。スイング後半の弧の大きさやフォロースルーはそれほど使えないが、キッチリ叩けるようになっている。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げもそれほど大きくなく、目線の上下動もそれなり。体の開きは、あえて早めに腰を解放して内角の捌きをスムーズにするようにしている。軸足は地面から真っ直ぐ伸びて、綺麗に軸を起点に回転できている。

(打撃のまとめ)

 今までは、結果を求めてなんでも打ってやろうという意識が強かったように思います。逆に今は、真ん中~内角より甘く入ってきた、スタンドインに叩き込んでやろうという、得意なゾーンができてきました。その分、外角の対応力は落ちているかもしれませんが、叩き込めるポイントができたことは大きいと思います。


(最後に)

 社会人1年目に比べると、相当フォームを変えてきています。それだけいろいろ考えて打撃をしており、それが好い方向へと向かっているのではないのしょうか。残念ながら実際に生でみて成長ぶりを確認できていないので、評価づけはできません。しかしドラフト10位での指名ですが、日本人離れしたスケールと身体能力もありますし、面白いと思います。プロでも、竹原 直隆(西武)ぐらいの実績は残せるのではないのでしょうか。期待して、今後の活躍を見守って行きたいと思います。


(2015年 広島大会)









杉本 裕太郎(青山学院大)外野 188/80 右/右(徳島商出身) 

188センチの大型で目立ちます。当たれば強烈な打球を放ちますが、大きすぎて内角の捌きが窮屈で脆いですね。腕が伸びるところでの打球は強烈で、右中間に球足の速い打球を飛ばしておりました。

 こういった大型野手を、大学や社会人は育てて行かないといけません。自分も技術論の時に、ロスのないスイングを提唱してしまうのですが、強打者にはボールを引きつけて、バットしならせるような後ろの大きなスイングを追求して欲しいとアマ球界には期待します。

(2011年 春季リーグ戦)



(どんな選手?)

 長身でスラッとした体型の投手です。球速は、MAX142キロと言われる速球と縦に落ちるフォークを武器にします。その体型・投球内容からも、高校の先輩・牛田成樹(ベイスターズ)の高校時代を彷彿させる投手です。

(投球内容)

 上背は感じさせますが、まだ体がビシッとできあがっていない投手です。角度こそ感じさせますが、その球速は常時130~135キロ程度に見え、それほど球威・球速は感じません。変化球は、カットボール気味なスライダー・カーブ・それに落差のあるフォークが最大の武器です。

 それほど球筋が安定しているようには見えませんが、ある程度外角に集められるコントロールあります。またマウンド捌き・制球などには大きな破綻はない選手です。大型ですが、けん制もまずまずで、クィックも1.1秒前後と高速。フィールディングも、思ったより動ける選手です。また打っても、チームの3番を担う強打者で、投球以外のセンス・能力もある程度兼ね備えた選手でした。

 ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。引き上げた足を空中でピンと伸ばす動作がないので、お尻の落としが少し甘いのと、「着地」までの粘りがないので、まだまだフォークの鋭さが物足りなく、ドロンとしています。ただグラブはしっかり内に抱えられるので、サイドへの制球力にも優れ、足の甲の押し付けもしっかりしているので、ボールが上吊ることはありません。

 「開き」「着地」「体重移動」と大きな課題を抱えておりますが、「球持ち」に関しては良い選手です。またもう少し腕を強く振る「鋭さ」や地面を強く蹴り上げるような躍動感がでてくると良いですね。

(今後は)

 まだまだ、筋力が圧倒的に不足しておりますし、体ができていない選手です。また、投球フォームの技術も未熟で、未完成な部分が目立ちます。それでもある程度の投球ができてしまう才能とセンスがある選手だけに、体ができた時に、どんな投手に育つのか楽しみではあります。

 体の芯に、ビシッとした「強さ」が欲しいので、背筋なども鍛え、体をいじめ抜いて欲しいものです。ぜひ環境の整ったところで、野球を続けていって欲しい選手でした。


(2009年・夏)