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大竹 秀義(巨人)投手のルーキー回顧へ







 大竹 秀義(27歳・武蔵HB)投手 180/87 右/右 (春日部共栄-国学院大)
 




                   「プロ入りするのならば一昨年」





 大竹 秀義 を追いかけたのは、一昨年のこと。しかし観戦運が悪く、結局最後まで生で確認することはできなかった。その年のドラフトで指名漏れし、翌年の2014年春にはマイナーキャンプに招待されるが採用されず。その後一年間、BC富山に復帰。2015年度はアメリカの独立リーグでプレーしていたが、シーズン後半にBCの武蔵の分配ドラフトに指名され復帰し、このオフ巨人に指名された。2010年度に手術のため一年間現役を退いたが、それ以外はBCリーグ歴6年と言う、長らくBCリーグで現役を続けてきた経歴の持ち主。

(投球内容)

 オーソドックスな右の本格派で、好調時に投げ込む150キロ級のスピードボールが魅力。

ストレート 常時140~150キロ

 それほど威圧感のあるストレートを普段は投げないものの、勝負どころで力を入れたストレートは高めに行き、思わずバットがまわってしまう勢いがある。特にストレートのコマンドが低いわけではなく、両サイドに散らしてくるが、全体的にボールが高い傾向にある。

変化球 スライダー・スプリット・カットボール・カーブなど

 投球の多くは、キレのあるスライダーとのコンビネーションで、このスライダーを内外角に投げ分けるのが特徴。右打者内角ボールゾーンから内角に決まるフロントドアと、左打者の外角ボールゾーン~外角のストライクゾーンに入ってくるバックドアの使い方に特徵が。

 その他追い込むとスプリット系の小さく縦に沈む球や、左打者内角・右打者外角にカットボールボール系の小さな変化球を使って来る。そういった変化球を使うコントロール・技術もあり、けして荒れ荒れの投手ではない。

その他

 牽制もまずまず鋭く、走者のスタートをある程度釘付けにできる鋭さはある。クィックも、1.0秒前後と極めて速く、この選手から盗塁を決めるのは難しいのではないのだろうか。

(投球のまとめ)

 実績的には、リリーフ中心で活躍してきた選手。結構ポカもあり失点も多いが、イニング数前後の奪三振が取れる球の威力が魅力。状態さえ戻れば、ファームでレベルも目立つ存在。1年目から支配下登録、一軍での登板まであっても不思議ではないだろう。それだけのキャリアを積んでいるし、年齢も27歳とあとがない。





(成績から考える)

 今年はアメリカの独立リーグで大半を過ごし、BC武蔵入りしてからは、僅か4試合で 防御率 13.50と参考にならない。そこで成績としては、ピークだった2013年度の成績で、どの程度やれるのか考えてみたい。

13年度 46試合 1勝5敗17S 44回1/3 34安打 19四死球 47三振 防御率 2.23

1,被安打はイニングの70%以下 △


 独立リーグなんで、あえてファクターを70%以下と厳しめに。ちなみに被安打率は、76.7% と悪い数字ではないが条件を満たすことはできていない。

2,四死球は、イニングの1/3以下 △

 四死球率は、42.9% と基準である33.3%以下とはゆかずアバウト。独立リーグレベルの打者相手にこれだから、圧倒的にレベルが上がる、プロの打者相手だとその割合は更に悪化する可能性が。この辺のコントロールのアバウトさが、防御率の悪さなどにつながっているのでは?

3,奪三振は、1イニングあたり0.9個 ◎

 1イニングあたりの奪三振率は、1.06個とイニングを遥かに上回っていた。そういった意味では、三振を奪えるだけのボールの威力を持っている。

4,防御率は、1点台 △

 防御率は 2.23 であり、けして悪い数字ではないが絶対的ではない。ましてリリーフの投手であることを考えると、一点台でも1.50以内ぐらいに抑えられるぐらいの安定感が欲しかった。

(成績からわかること)

 2013年度のピークの時の成績でも、NPBでの活躍は微妙な数字だった。他の年はそれ以下であり、現状は更に心配な状況。しかしその時指名漏れし、さらに年齢も2歳増したのに指名されたということは、テストなどでの内容、アメリカなどの成績のいずれかに、何かしらの手応えがあったからだと考えられる。


(最後に)

 独立リーグの位置づけをどう考えるかは、おおよそ二軍と三軍の間、もしくは三軍レベルの力量ぐらいだと判断して良いだろう。よほど何か良くなっていないと、NPBでも長く在籍することは厳しいのかもしれない。年齢も年齢だけに、ある程度1年目から結果を残さないと、一年で解雇となっても不思議ではない。

 ただし状態が全盛期並に戻れば、面白い存在ではあるので、あとはNPBの指導者や環境により、更なる進化も期待したいところ。今年のプレーを確認できていないのでなんとも言えないが、失うものがない男の振りきれた投球を期待したい。


(2014年 リーグ戦)