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信楽 晃史(ロッテ)投手のルーキー回顧へ







 信楽 晃史(23歳・宮崎梅田学園)投手 180/84 (日南学園-福岡大出身)





                     「普通の投手だけどなぁ」





 宮崎梅田学園というプロとは無縁そうな所属チームと、自動車学校の教官をやっていたということで評価されがちだが、ドラフト候補としては、極めて平凡な投手との印象が強い。元々球歴は、日南学園-福岡大という名門出身の選手だけに、無名校の逸材というわけでもなiい。そのため何かプロに入ったら見違えるほど良くなるとか、そういったタイプではないように思う。

(投球内容)

 JR九州の補強選手として、都市対抗で登板。均整の取れた体格から投げ込む、正統派の右腕といった感じ。

ストレート 常時140キロ~MAX143キロ

 都市対抗ではリリーフということもあり、コンスタントに140キロ台を記録。両サイドにボールを散らせるコントロールはあるが、左打者外角のストレートは、高めに抜ける傾向に。際立って伸びがあるとか球威があるという、球に特長があるわけでもない。1番素晴らしいのは、左打者の内角に意図的に投げ込めるコントロールと球筋の良さ。しかし右投げ左打ちの打者にとっては、内角がツボである事が多く、ここに投げる時には慎重を期す必要があるだろう。

変化球 スライダー・、フォーク・ツーシーム

 スライダーは高めに抜けたりして、あまり精度・キレとも高くない。むしろ右打者にも左打者にも、チェンジアップのようなフォークを多く使って来る。更に左打者には、ツーシーム的ボールもみられる。現状頼れる変化球は、チェンジアップ気味なフォークが1番といった感じだろうか? いずれにしても、打者の空振りを誘うような武器は持ちあわせていない。

その他

 牽制はややモーションが大きく、それほど効果的ではない。クィックは、1.0秒~1.1秒ぐらいとまずまず。フィールディングの動きも、悪くなかった。

 しかし今は、微妙な駆け引きや、細かいコントロールはなく、両サイドに散らせつつ変化球を織り交ぜ、的を絞らせないという投球でしかない。

(投球のまとめ)

 無名なチームにいる選手にしては好い投手との印象だが、ドラフト候補としてみると平凡な投手ではないかと思える。特にストレートが素晴らしいとか、変化球が凄いとかいうのもなく、今後プロの指導次第では格段に凄くなりそうという予感もあまりして来ない。

 無名の逸材の割には、コントロールは悪く無いというのが強味。しかしこういった正統派投手を、それなりに育てるのが上手いロッテだけに、プロ入り後見違えるほど良くなるのか注目したい。





(投球フォーム)

セットポジションから、足をグイッと高く引き上げてきます。

<広がる可能性> 
☆☆☆

 引き上げた足は地面に向けて伸ばされており、お尻は一塁側に落ちてません。これでは身体を捻り出すスペースは確保できず、カーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦の変化にも適しません。

 「着地」までは、足を大きく前にステップさせることで時間を稼ぎます。身体を捻り出す時間がキープできるので、カーブやフォーク以外ならば、いろいろ球種を増やすことは期待できそう。

<ボールの支配> 
☆☆☆

 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定。足の甲での地面への押し付けが浮きがちで、力を入れて投げると、ボールが上吊りやすい。「球持ち」はまずまずで、前でボールは放せておりコントロールに大きな破綻はないはず。

<故障のリスク> 
☆☆☆

 お尻が落とせない割にフォークを多投するので、肘への負担が心配されます。

 腕の送り出しには無理はないので、肩への負担は少ないのでは? それほど力投派でもないので、消耗が激しいタイプではないのでしょう。身体を捻り出すスペースがない窮屈な状態で、フォークを多く投げているところが不安材料。

<実戦的な術> 
☆☆☆

 「着地」までの粘りは悪くないのですが、体の「開き」が早くコースを突いた球でも打ち返される危険性を感じます。

 振り下ろした腕は身体に絡みますが、思ったほど強く振れていないのも気になります。変化球の曲がり・効果が薄いのは、そのせいかもしれません。ボールへ体重の乗せもまだ充分とはいえず、もう少し下が使えて来ると、手元まで活きた球がゆくのではないのでしょうか。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の観点でいえば「着地」「球持ち」は悪くありませんが、「開き」「体重移動」に課題を残します。すなわち好いところに投げても打ち返されたり、変化球が見極められて振ってくれない可能性があります。さらに打者の手元までの勢いが、それほどでもないことがわかります。

 足の甲の押し付けの浅さから、力を入れるとボールが上吊りやすい点。お尻が落とせない割にフォークを多投することでの、肘への負担などの不安材料が残ります。全体的に言うと、まだまだ未完成で、気になる部分が少なくないフォームだと言えます。


(最後に)

 まだまだ発展途上なので、プロの指導でどのぐらいになれるかということでしょう。そういった意味では、ロッテという球団は良かったと思います。こういった本格派右腕を、伝統的に育てられる球団だからです。いずれにしても即戦力とは思えないので、個人的にはプロ入りの「旬」だとは思いません。まさに、球団の育成力が求められる選手ではないのでしょうか。2,3年後に、どんな選手に育っていることか。


(2015年 都市対抗)