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青柳 昂樹(DeNA)外野手のルーキー回顧へ







 青柳 昂樹(大阪桐蔭3年)中堅 183/84 右/右
 




                   「癖のない平田良介(中日)」





 下級生の時から大阪桐蔭の4番として活躍し、将来を嘱望されてきた 青柳 昂樹 。しかし甲子園では、2年夏は.158厘、3年春の選抜では、0.77厘 と結果を残せないで終わっている。元々じっくり見極めてボールを絞り込むタイプではあるのだが、何処プレーが受け身に映ってしまう。タイプ的には、フォームがドアスイングだった 平田 良介(中日)の癖がなくなった感じの選手ではあるが、気持ちの面では雲泥の差があるように感じる。

(走塁面:走塁偏差値 43)

 一塁までの到達タイムは、右打席から4.45秒前後。これを左打者に換算すると、4.2秒前後であり、ドラフトの基準レベルの脚力であることがわかる。しかし実際に指名された右打者のタイムを偏差値化すると、43 程度になり、かなり平均より下まわる数字。大阪桐蔭の4番という役どころから、それほど実戦でも走力を全面に押し出して来ない。選抜の東海大菅生戦では、出塁するとすかさず盗塁を決めるなど、積極的な走塁は観られたのだが。

 関係者の話などを総合すると、もう少し走力はありそうで、プロで足を売りにするほどではないにしろ、実際には中の上ぐらいの脚力はありそう。


(守備面)

 落下点までのボールの追い方にも余裕があり、キャッチング含めて水準~それ以上の守備力はありそうに見える。また肩も同様の印象で、西谷監督曰く「平田や浅村(西武)より、身体能力は上」で語るように、肩や守備でもある程度は卒なくこなせるだけの技量はあるのではないのだろうか。

 もっとゴツい選手をイメージしていたが、走力でも守備でも、思った以上に動ける選手との印象を受けた。それがプロにおいて上位レベルにまで到達するのかと言われると疑問だが、足を引っ張るようなことはないだろうなというところまでは確認。もっと自分の売りを全面に出して来なくなればいけない必要性に迫られれば、守備・走力でのアピールも目立つようになるかもしれない。


(打撃内容)

 2年秋の秋季大会では、素晴らしい内容だったという。実際に新チーム結成以来の秋の成績をみても、18試合 4本 13打点 4盗塁 打率.409厘 と好成績が残っている。個人的には、かなり対応力に脆さみたいなものを感じる打者なのだが・・・。

<構え> 
☆☆☆☆

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに添えます。腰の据わり具合、両目で前を見据える姿勢、全体のバランスともまずまずで、理に適った構えにはなっています。

<仕掛け> 遅め

 投手の重心が下がる時に動き出し、つま先立ち。本格的に動き出すのは、投手の重心が前に移動する段階~リリース直前ぐらいという「遅めの仕掛け」を採用。リリース直前となると遅すぎるが、そうでないときは「遅めの仕掛け」ぐらいなので、これは長距離が採用する仕掛け。ただ実際のプレーを見ていると、中距離打者という感じの打者で、もう少し始動を早めて投手の重心が下がりきったあたりから動き出しても良いのではないのだろうか。

<足の運び> 
☆☆☆

 始動~着地までの「間」が短く、打てるポイントは限られます。いろいろな球に対応するというよりは、狙い球を絞りその球を逃さず叩くことが求められます。小さく足を浮かして、真っ直ぐ踏み出します。真っ直ぐ踏み出すということは、内角でも外角でも捌きたいタイプ。踏み込んだ足元はブレないので、外角の厳しい球や低めの球にもついて行けるとは思うのですが・・・。

<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形を早めに作っており、速い球に立ち遅れ難いはず。そのことによって、始動の遅さを補おうとしています。ただ弊害としてバットを常に後ろに引いて力みやすいので、リストワークに遊びがなくなり柔軟性が損なわれます。彼の打撃が粗いというか脆いのは、こういった部分も影響しているのかもしれません。

 バットの振り出しを見ると、上からミートポイントまでロスなく振り抜けています。内角の球は選抜でも魅せたように、うまくレフト線にツーベースしたように、綺麗にバットが抜けてきます。むしろ外の球に対しては、バットの先端であるヘッドも下がり気味で、打ち損じの多いタイプではないのでしょうか。

 ボールを捉えたあとのスイングも、弧は大きくなく、フォロースルーも使ってきません。これで長打が出るのは、体の強さがあるからでしょう。逆に飛ばす技術を身につけたら、長打力も格段に変わって来るのかもしれませんが。


<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げがほとんどないので、目線の上下動は少なめ。体の開きも我慢できていますし、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて大きくは崩れません。軸足の内モモにも強さが感じられ、強い打球が飛ばせるのも頷けます。空振りをしても、体勢を崩すことなくスイングできており、バランスは取れています。

(打撃のまとめ)

 全体的に固いというか粗いというか、打てる球が限られている印象を受けます。内角の球にはうまくバットが抜けてくる反面、外角の球をキッチリ叩くという技術に欠けています。外角を叩くという打撃の基本ができていないので、どうしても率も上がって来ないのでしょう。

 ヘッドスピード・打球の速さは、高校からプロに入るだけの能力はあると評価します。良い時の爆発力はあるので、いかに技術的に完成度を高め、その波を少なくすることが求められます。プロの指導により、この粗い打撃を何処まで改善できるかでしょうか。


(最後に)

 守備・走力で足を引っ張る心配のない強打者ということで、使い勝手は悪く無さそう。しかしながら、根本的な対応力に課題があり、これを将来的に改善できるのか?と言われると、現時点では厳しいかなというのが率直な感想です。

 しかし鍛えがいのある大型野手だけに、5年ぐらいかけてでも大きく育てたいところ。右のこういった選手を、高校生ではなかなか指名してこなかったチームだけに、どのように育てあげるのか注目。ただし指名リストに名前を載せるほどの魅力は、個人的には感じませんでした。できれば積極性が出てきたと言われる、最後の夏のプレーを確認してみたかったです。

(2015年 選抜)








青柳 昂樹(大阪桐蔭2年)外野 183/83 右/右 
 




                   「大阪桐蔭一の飛ばし屋」





 チーム一の長打力を買われて、全国制覇を成し遂げた夏の大会では右翼手として出場。甲子園では.158厘しか残せなかった対応力には不安が残るが、恵まれた体格から雰囲気を持った打者だなという印象は残った。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、右打席から4.4秒前後。これを左打者に換算すると、4.15秒前後に相当するので、ほぼプロの基準レベルの脚力だと考えて良い。しかし夏の甲子園での5試合では、盗塁0。足を売りにするプレースタイルでは、けしてなさそう。

 右翼手としては、打球への反応・落下点までの動き・キャッチングなど、可も不可もなしといった感じだった。秋からは、センターを守っているという。地肩は観た感じでは基準レベルぐらいはありそうで、実際は強肩だとは訊いている。

 現状、守備・走塁でアピールするほどではないものの、走力・守備力ともに平均レベルはありそうで、足を引っ張るほどではない。やはり打撃で、どのぐらいアピールできるかにかかっている。





(打撃内容)

まだまだ脆いというか粗いというか、対応力に課題があります。

<構え> 
☆☆☆☆

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに添えた強打者スタイル。腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスなど、構えとしては理に適っています。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 投手の重心が下がる段階で動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは、典型的なアベレージヒッターの打ち方であり、この選手は対応力を重視しているのがわかります。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でも合わせやすい打ち方。真っ直ぐ踏み出すので、内角でも外角でも捌きたいという意識が現れています。元来はつま先が開き気味なので、引っ張って巻き込む打撃が好きなのでしょう。

 踏み込んだ足元はブレず、外角の厳しい球や低めの球にも食らいつけるはず。打球は、右方向にもはじき返すことが出来ます。

<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」を早めにつくることで、速い球には立ち遅れません。ただしバットの振り出しが遠回りに軌道するので、インパクトまでにロスがあります。それにも加え、インパクトの際にもバットの先端であるヘッドも下がっているので、ボールを捉える接地面が少なく、打ち損じの多いスイングになっています。この辺が、確実性に欠ける要因ではないのでしょうか。フォロースルーも使えていないので、打球はあまり上がらず強い打球が野手の間を抜けてゆくタイプではないのでしょうか。

<軸> 
☆☆☆

 足の上げ下げの割には、目線はそれほど上下動していません。体の開きも我慢出来ていますが、軸足が崩れやすいのでその辺が気になります。

(打撃のまとめ)

 下半身の使い方は良いのですが、上半身の使い方に課題を残します。またスイングのキレに欠ける部分があり、けして始動やトップを作るのが遅れているわけではないのですが、差し込まれる場面が目立ちました。

(最後に)

 2年夏の時点では、打撃の確実性の低さが否めません。守備・走塁でも足を引っ張ることはなくても、アピールするほどでもありません。そうなると今後よほど打撃での成長を魅せないと、ドラフト候補として注目するのは厳しいのではないのでしょうか。現時点では、当たったら凄そうといった雰囲気が漂うだけの選手にとどまっています。一冬越えてどのぐらいの選手に育っているのか、大阪桐蔭の底力に期待します。


(2014年夏 甲子園)