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平沢 大河(ロッテ)内野手のルーキー回顧へ







 平沢 大河(仙台育英3年)遊撃 176/76 右/左





                    「甲子園で評価は決定的」





 秋の神宮大会で活躍し、この世代屈指の内野手として注目された 平沢 大河。しかしセンバツでは、打率.222厘。さらに春季大会でも苦しみ、夏の宮城県予選では.176厘と絶不調が続いた。そんななか、夏の甲子園では3本のホームランを含む、インパクトのある打撃を魅せ、再び評価を取り戻した。しかしその強烈なインパクトの割に、夏の甲子園でも打率は.240厘、U18のワールドカップでも..296厘と、実は対応力に関してはそれほど改善されていないのではないかという気もしなくはない。

(走塁面:走塁偏差値 48.2)

 一塁までの塁間は、左打席からおおよそ4.2秒前後ぐらいが多い。4.2秒という数字は、プロが左打者の基準とするタイムではあるが、実際に指名される左打者の平均をとると、4.1秒前後になる。そう考えると、平沢の走力自体は平均からやや劣る程度であることがわかる。

 ただし平沢の場合、相手の隙を突く走塁を得意としており、そのタイム以上に実戦的なのが特徴。相手に隙があるとわかれば、迷いなく盗塁を試みたり、次の塁を陥れるそういった意識・意欲は持っている。むしろプロでは、そういった選手の方が数字は残りやすいもの。ただし、それほど絶対的な走力の持ち主ではないことは覚えておきたい。

(守備面)

 春~夏にかけての一番の成長は、だいぶフットワーク・キャッチングなどの動きが良くなってきたこと。今までは、将来はプロのショートは厳しいかなと思えた部分が和らいできた。しかし今でも、時々スローイングが乱れたりして、プロに混ぜると粗は相当でるだろうなという気はしている。けして肩が弱い選手ではないのだが、難しい体勢から踏ん張りが求められるような場面では、時々ポカをやってしまう。気合が空回りして、大事な場面で送球を乱すことも多い。将来的に、イップスか何かで外野手なんかにならなければ良いのだがという心配はある。純粋に地肩に関しては、基準レベル~中の上ぐらいの強さはあるのではないのだろうか。現状はショートよりも二塁あたりの方が、小回り、動きの良さもあるので生きる気はしている。

(打撃内容)

 対応力の粗さは感じられるものの、これぞプロという強いスイングができるのは彼の魅力。ボールを引きるだけ引きつけてから、強烈なヘッドスピードで打ち返すので、その体格以上にインパクトのある当たりが目立つのだ。少なくても彼は、好打者なのではなく強打者であるということ。

<構え> 
☆☆☆☆

 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えます。腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスもよく、構えからは高い集中力が感じられます。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 投手の重心が下るときに動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視したアベレージヒッターの打ち方ですが、その打撃をみていると、そういった感じはしてきません。この仕掛けのタイミングが、彼に合っているのかは微妙です。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 足を引き上げて回し込み、ベース側にインステップして踏み込んできます。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でも、スピードの変化には対応しやすいはず。

 ベース側にインステップして踏み込んで来るように、外の球を強く叩くことに主眼が置かれています。また踏み込んだ足元はブレないので、外の厳しい球や低めの球にも充分対応できますし、レフト方向への打撃も可能でしょう。

 気になるのは、左打者がインステップすると、率が残り難いということ。彼がスラッガーならば、それでもホームランが出ればということになりますが、彼はそういったタイプではないということ。そのため将来的には、真っ直ぐ踏み出すような形に変えることが求められます。現状は、内角のボールの捌きに課題があり、それは夏も改善されたとは言えません。

<リストワーク> 
☆☆☆☆

 打撃の準備である、「トップ」の形をつくるのは自然体で力みは感じられませんし、立ち遅れてもいません。バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトではなく、むしろ外の球に対してはロスなく振り下ろされている感じ。残念なのは、ボールを捉えるときに、バットの先端であるヘッドが下がりがちで、広い面でボールを捉えられていないこと。そのため打ち損じも多く、率が残り難い一要因になっているのではないのでしょうか。それでもボールを捉えてからも、フォロースルーまでしっかり振り切れている点は高く評価できます。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げはあっても、目線の上下動に問題はありません。体の開きも我慢できていますし、軸足にも強さが感じられ、強い打球を生み出すのも頷けます。

(打撃のまとめ)

 ボールを捉えるセンスに特別なものは感じらないのですが、甘い球を逃さない「鋭さ」は感じられます。何よりスイングが、プロ仕様で実に力強い。この点では、高校からプロに入るべき選手であり、木製バットでも見劣るということはないでしょう。

 修正点は、インステップの改善、ヘッドの下がりを矯正すること。それだけでも、かなり率に関しては変わって来るのではないのでしょうか。何より打席での集中力、意識の高さは、高校生としては逸脱です。しかし昨秋からこの夏にかけて、技術的にはほとんど変わっていませんでした。


(最後に)

 常に次のプレーを想定して取り組める姿勢・集中力をみると、山田 哲人(ヤクルト)の履正社時代を思い出します。そういった部分での成熟度は、数年に一人の高校生という気は致します。

 しかしその一方で、走力・肩・対応力などの根本的なポテンシャルは、私はプロの中に混ぜるとそれほど高い選手ではないのではないかという気もします。恐らくドラフトでは上位24名の中で消えてしまうと思いますが、個人的には3位ぐらいでなら欲しい選手、そんな気がします。そういった意味では、選手としての能力は、仙台育英の先輩である 橋本 到(巨人)の方に近いのではないかとも思います。橋本は4位での入団でしたが、その辺は二遊間を担う人材であることから、高い評価でのプロ入りとなりそうですが。

 それだけに、過剰にこの選手を評価することは、現時点ではできません。ただし意識が高い選手だけに、短期間の間に一軍まで昇りつめる選手ではないかと思います。問題はそこから本人が何を感じ、それを膨らませて行けるのか。秋~最後の夏までの打撃フォームを見ていると、ほとんど変わっていない。ある意味頑固なのか、それとも一本筋が通っているのか見極めは難しい。上のレベルで求められるものは、そういったものを感じ取れるセンスと、それを膨らませてゆく感性にかかっています。そういった意味では、私は少しこの選手の将来像には不安が残る部分が拭えないのですが・・・。それでもそれなりに高い評価は、この選手にはしたいと思います。


蔵の評価:
☆☆☆


(2015年夏 U18ワールドカップ) 









平沢 大河(仙台育英3年)遊撃手の選抜レポート(無料)







 平沢 大河(仙台育英2年)遊撃 176/71 右/左





                     「高校NO.1野手では?」





 これだけボールを呼び込んで打てる打者は、今まで殆ど観たことがないような気がする。それでいて甘い球を逃さない「鋭さ」も持っており、差し込まれることなくjはじき返すヘッドスピードも兼ね備える。夏までに着実な成長を遂げれば、上位24名(2位以内)は揺らがないだろう。


(守備・走塁面)

 残念ながら一塁までの塁間は計測出来なかったが、常に次の塁を伺おうという意識でプレーしているのはよくわかる。特に集中してプレーをしているので、最初の一歩目の反応・鋭さがあり、そういった部分はプレーの端々から感じられる。

 遊撃手としても、最初の一歩目が速いので守備範囲が非常に広い。ただしまだ慣れない人工芝だったせいもあるのかもしれないが、バウンドの合わせ方やスローイングの安定感には欠けるところがあり、一冬越えてどのぐらい成長しているのか注目したい。地肩も結構強いので、その点でも素材としての面白味は感じられる。

 守備・走塁は、どのレベルかは私自身もう少し試合を観て見極めたいところ。足が滅法速い、守備も物凄く上手いというレベルには達していないようなので、この辺がどのレベルまで最終的にゆくのか見極めてゆきたい。


(打撃内容)

 甘い球を投げたら、それを見逃すことなくスパーンと振りぬく、迷いのないスイングが魅力。この潔いスイングは、これからも大事にして欲しいところ。

<構え> 
☆☆☆☆

 前足を少しだけ引いて、グリップを高めに添えます。腰の据わり、両目で前を見据える姿勢、全体のバランスと揃っており、打席でも高い集中力が感じられる。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 投手の重心が下る途中で動き出しており、始動としては「早めの仕掛け」となります。これは典型的なアベレージヒッターが採用する仕掛けであり、将来的には長打よりも対応力を重視したいタイプだけに、これで良いのではと思います。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 足を軽く上げて回しこんでくるので、着地までの「間」は充分取れています。それだけ線でボールを追える選手であり、速球でも変化球でも、いろいろなポイントでボールを捉えられます。ベース側にインステップして踏み込んで来るので、外角を強く意識しているのがわかります。その足元はブレることがないので、外角の厳しい球や低めの球に素直にバットが出ます。ただし左の好打者タイプがインステップを採用すると、あまりアベレージが残り難いので、将来的には真っ直ぐ踏み出すようなスタイルに変えた方が良いのではないのでしょうか。

<リストワーク> 
☆☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形は早く作れており、速い球にも立ち遅れません。バットの振り出しも、想像以上にインパクトまでロス無くボールを捉えており、バットの先端であるヘッドも下がりません。もう少しインサイド・アウトではないスイングがと思っていましたが、殆どロスはありません。

 更にスイングの後半の弧が大きく、フォロースルーも多少利かせたてボールを多少運ぶ技術もあります。始動が早い割にボールを懐まで呼び込んで、一気にエネルギーを放出します。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げも静かなので、目線もそれほど動きません。体の開きも我慢出来ていますし、軸足にも強さを感じます。インステップする分、軸回転という感じは致しませんが、体軸も大きくは崩れない良いスイングだと評価します。


(打撃のまとめ)

 ボールを捉えるセンス・甘い球を逃さない「鋭さ」・技術的にも高いものを持ち、打撃の潜在能力は素晴らしいものがあります。スイングにも、ひ弱さが全くなく、弛まる努力を続けてゆけば、プロでもレギュラーとして、3割打てる選手になるのではないのでしょうか。

(最後に)

 打撃は素晴らしいので、それに負けない守備・走力も身につけて欲しいと思います。けして強打者タイプではないのですが、こういったタイプでは 山田 哲人(ヤクルト)以来の素材かもしれません。期待して、今後も見守ってゆきたいですね。


(2014年 神宮大会)