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川瀬 晃(ソフトバンク)内野手のルーキー回顧へ






川瀬 晃 (大分商)遊撃 175/63 右/左 





                       「大学タイプの好選手」





 確かに守備も上手いし、ミート能力や野球センスも光るのだが、高校からプロという凄さがない。こういう選手はたいてい、大学に進学する。むしろこういうタイプが、プロでどのような活躍を魅せるのか、今後の参考という意味では興味深い。ちなみにこの選手、6月の練習試合で生で見ているはずだが、全く記憶がない。


(走塁面:走塁偏差値 49.4)

 一塁までの塁間は、左打席から 4.15~4.25秒ぐらい。これをドラフト指名された左打者のタイムで偏差値化すると、49.4 というほぼ平均ぐらいのタイムに相当する。チームの一番打者を務めてはいたが、走塁に関しては中の上レベルといった感じで、それほど速くは見えなかった。

(守備面)

 打球の正面に入り、捕球体勢に入るのが速い遊撃守備。バウンドの合わせ方、キャッチング、スローイングまでの流れに無駄がない。スローイングも安定しており、2試合ほど観戦したが、再三転がって来るゴロをミスすることなく処理していた。地肩に関しては、ドラフト候補としては中~中の上レベル。プロでも鍛えれば、ニ遊間で勝負できそうな守備力が最大の魅力。





(打撃内容)

 特に甘い球を逃さないとか、打球が滅法速いとか、そういった凄みは感じません。あくまでもどんな球でもミートできる能力と、どの方向にも打ち返せる幅の広さを持っている好打者。

<構え> 
☆☆☆

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・全体のバランスとしては並ですが、両目で前を見据える姿勢は悪くありません。打席でも、リラックスして構えられています。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手のがリリースを迎えるあたりで動き出す、「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人のパワーやヘッドスピードを考えると、ここまで遅いタイミングでの始動は、プロの投手相手では厳しいだろう。

<足の運び> 
☆☆☆

 始動~着地までの時間がなく、完全に 点 で打つタイプ。あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さない鋭さが求められます。瞬時に、いろいろな球に対応できる打ち方ではありません。

 ベースから離れた方向に踏み出す、アウトステップを採用。内角を、強く意識しているのがわかります。それでも踏み込んだ足元はブレないので、甘めの外角球や高めの球ならば対応できるはず。レフト方向への流し打ちを、可能性にしています。

<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形はあまり作らず、中途半端なまま振り出します。バットの振り出しも、けしてインサイド・アウトの軌道ではなく、外角の球に対し無駄なく叩けるスイング。アウトステップするのは、内角を引っ張りたいというよりも、懐に一定のスペースがないと、ボールが捌けないからだと考えられます。

 それでも外の球を叩くのにはロスもありませんし、バットの先端であるヘッドも下がらず、広い面でボールを捉えることができています。しかしヘッドスピードの鋭さや打球の強さは、あまりドラフト候補ぽくはありません。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げは小さく、目線の上下動は少なめ。体の開きも我慢でき、軸足にも粘りが感じられます。

(打撃のまとめ)

 どの方向にも打ち返す幅は感じますが、甘めの内角寄り~外角ならば真ん中~高めに限定され、打てるポイントは狭いように感じます。その甘いゾーンや限られた球を打ち損じないだけの、鋭さや強さというものは感じられません。

(最後に)

 筋の良い選手ではありますが、高校からプロといった雰囲気がありません。通常ならば大学などに進んで、段階を踏んで伸びて行って欲しいタイプです。こういった選手が指名されたのは、溝脇 隼人(九州学院-中日5位)とダブリます。大人びたセンスはありますが、ポテンシャルで勝負するプロの世界となるとどうでしょうか?

 守備はプロで通用するものはありそうなので、まずは守りから信頼を得てゆくことになりそう。果たしてどのぐらいやれるのか、興味深く見守りたいです。



(2015年夏 大分大会)