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青木 陸(広島)内野手のルーキー回顧へ








 青木 陸(山形中央)捕手&三塁 181/88 右/右





                   「やっぱり内野手としてなのね」





 昨夏甲子園に出場していた時は、三塁手として出場。しかし最終学年では、捕手を務めていた 青木 陸 。ドラフト指名後の関係者の話を総合すると、どうもプロでは内野手として勝負させるようだ。球団は、 かつて山形出身で中心選手となった 栗原 健太 とダブらせて、この選手を見ていたのではないのだろうか。


(守備・走塁面)

 右打席から一塁までの到達タイムが、4.5秒強ぐらい。これを左打者に換算すると4.25秒ぐらいに相当。ちなみに昨年の山形予選では、5試合で盗塁は0。プロでも足を売りにすることはないだろうし、プロに混ぜると中の下ぐらいの走力ではないのだろうか。しかしこの選手、最後まで走るのを緩めないなど、走塁への意欲は低くない。

 捕手としては、ミットを示しグラブを下げることなく捕球。ボールの押し込みなどは平均的だが、ワンバンドするような球に対しては下からミットが出るなど下手ではなかった。しかし大型故に全身でボールを止めに行くようなことがなかったり、フットワークが重苦しい選手で、捕手としては厳しいなとは感じている。

 地肩は昨年から強さが目立っていたのだが、捕手としてのスローイングの時もそうだがテイクバックが小さくしっかり型を作って投げられない。こうなると送球が安定しない可能性が高く、三塁手としてもスローイングの精度は気になるところ。ちなみに昨年の山形大会では、5試合で失策は0個。しかし個人的には、長い距離の送球には不安が残る。

(打撃内容)

 昨夏の甲子園・健大高崎戦で、外角のストレートを右中間スタンドに叩き込んで魅せた。高校通算で、46本以上のホームランを放っている。

<構え> 
☆☆☆

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに添えます。腰の据わり具合は悪くありませんが、両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスとしては並でしょうか。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 投手の重心が下がり始める時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは、確実性を重視したアベレージヒッターに多く観られる始動です。彼の場合、体が強いのと金属バットの反発力でホームランも結構出ますが、現時点ではホームラン打者ではないのだと考えられます。

<足の運び> 
☆☆☆

 足を引き上げて回し込み、ベース側に踏み込んできます。始動~着地までの時間は充分あり、ボールを 線 で捉えるようしています。そのため瞬時に、速球や変化球にも幅広く対応しやすい打ち方なわけです。

 ベース側にインステップして来るように、外角を意識しているのがわかります。しかしながら踏み込んだ足元は早く地面から離れてしまうので、外角の厳しい球や低めの球への対応が気になります。実際この夏の鶴岡東戦を見ると、外角のボール球を見極められず、手を出して仕留められるケースが目立ちました。彼が打てるのは、外角でも高めのゾーンではないのでしょうか。それでいて踏み込む分、内角の捌きも窮屈なはず。


<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」を作るまでは自然体で、力みも感じずには好い構えだと言えます。振り出しは、けしてインサイド・アウトの軌道ではないので、内角の球を捌けるのかには疑問。それでもインパクトの際に、バットの先端であるヘッドは下がらないので、ドアスイングというほど極端ではありません。

 スイングの弧は大きくなく、フォロースルーも使っていま
せん。あくまでも強烈な球足で抜けてゆくタイプであり、ボールを遠くに運ぶタイプの打者ではないように思います。

<軸>
 ☆☆

 足の上げ下げは静かで、目線は上下動せずに安定。しかし踏み込んだ足元が早く地面から離れるので、体の開きは充分我慢できません。軸足も前に傾くことが多く、体が前にツッコミがちなのも気になります。

(打撃のまとめ)

 「開き」が我慢できなかったり、軸足が崩れがちなのが気になります。アウトステップだけれども、踏み込んだ足元がブレてしまう。そうかといって内角の捌きも苦しいとなると、極めて打てるゾーンが限られてしまうわけです。

 また現時点での、仕掛け・ボールの絞込み、スイングの弧の大きさ、フォロースルーなどを見ていると、けして長距離打者だとは思えません。あくまでも体の強さと金属バットの反発力に依存したホームランなわけで、球団が望むような強打者なのかは疑問が残ります。



(最後に)

 栗原 健太(日大山形)の高校時代も生で見ていますが、ボールがピンポン球のように飛んでゆく姿を観てビックリしたのを覚えています。しかしそれに比べると、そういった凄みみたいなものは感じられません。

 確かに頑強そうな体付き、野球への向かう姿勢などは悪くなさそうで、鍛えがいのある素材だと感じます。ここは、かなり腰を据えて、じっくり育てる忍耐力が求められそうです。こういった大型選手を、プロがどのように育て上げるのか気になります。



(2015年夏 山形大会)