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山田 大樹(楽天)内野手のルーキー回顧へ







 山田 大樹(菰野3年)投手 175/82 右/左
 




                 「ボールを呼び込み方が面白い」 





 MAX147キロを誇る投手としての才能よりも、楽天は高校通算30本塁打の打撃の才能を評価しての指名だったという。確かに今年のプレーは確認できなかったものの、昨年の試合を観る限り野手としての可能性を推したくなる選手。ボールを手元まで呼び込んではじき返す、独特のリストワークは面白い。

(プレースタイル)

 昨夏の時点でから、MAX147キロと言われていたものの、投手としては135キロぐらいの粗っぽい投手だった。今年の映像をみると、コンスタントに130キロ台後半~140キロ強ぐらいは出ている感じ。この投手、意外に粗っぽい割に低めにボールが来るのが良いところ。

 打者としては、ガッチリした体格から内角の球を巻き込み、スタンドインできるパンチ力を持っている。外角の厳しい球にも喰らいついて行ける選手だが、本質的に強い当たりが外野手の間を抜けてゆくような中距離ヒッターではないのだろうか。

(守備・走塁面)

 昨夏の模様を2試合ほど観戦したが、一塁までの到達タイムを計測する機会には恵まれなかった。しかし走塁などをみると、相手の隙を突くなど積極的な一面はあるものの、足を売りに行くような選手には見えなかった。正直走力は、あまり期待できないだろう。

 投手としても140キロ台を投げ込むように、すでに2年夏の時点でもかなりの強肩ぶり。昨夏の三重大会の決勝で、序盤から大量失点されK.O。その後ライトのポジションに入っていたが、打球の追い方などを見ているとまだまだ危なっかしい。投手としても、フィールディングに関してはよくわからかったが、球団は内野手として指名。三塁あたりで鍛えようということなのだろうが、そういった適性はありだと考えているようだ。強肩であるのは、間違いないだろうが・・・。

(打撃内容)

 最後の夏は、3試合 1本 4打点 打率.444厘 だったという。内角のツボに来ればホームランの可能性、外角の球にもしぶとく打ち返す広角打者。

<構え> 
☆☆☆☆

 前の足を引いて、グリップを下げ気味に構えます。腰の据わり具合・全体のバランスとしては並ですが、両目で前を見据えられており、的確に球筋を追うことができています。特に打席では、リラックスして立てているところが良いところ。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは、典型的なアベレージヒッターの始動であり、それほど打球が上がるタイプではないのかもしれない。別の言い方をすれば、強打者だがそれほど脆さを感じる選手ではない。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 足を早めに引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は充分取れており、幅広く線でボールを捉えられるタイプ。踏み込んだ足元もブレないので、外角の厳しい球でも開きを我慢してついて行けます。

<リストワーク> 
☆☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」を作るのが遅れがちなのが気になりますが、ボールを呼びこむまでの独特のリストワークには感性を感じます。バットの振り出しにも癖がなく、インパクトまでロスなく振り下ろせている。けしてスイングの弧が大きいとか、フォロースルーを使って運ぶというよりも、最後まで力強く振り切るタイプ。それほど打球は上がらず、強い打球が野手の間を抜けてゆくものと考えられます。

<軸> 
☆☆☆

 足の上げ下げから、目線はそれなりに動きます。自分から、ボールを追って行かないように注意したいところ。体の開きは我慢できてますし、軸足の内モモの筋肉も強く、強烈な打球を生み出す原動力になっています。

(打撃のまとめ)

 最終学年での打撃が観られていないので、どのぐらい凄みを増していたのかはわかりません。しかしボールを捉えるまでに独特の感性が感じられる選手であり、面白いものは持っているなという気はします。長距離打者だという期待は抱かず、足元を見据えて行けば、打撃では存在感を示せる可能性は充分あると思います。


(最後に)

 内野手としての適正・細かい走力などわからない部分も多いですし、この一年の成長ぶりは確認できませんでした。しかしこと打つことに関しては、かなり興味深い選手であり、育成枠の選手でも面白いものはありそうと思わせるだけのものはあります。


 日本人の父を早くに亡くし、タイ人のお母さんを早く楽にさせてあげたいという親孝行な息子。実際インタビューを訊く限りは、なかなかシッカリした青年との印象を受ける。心情的には、ぜひ大成して欲しいと願うばかりだ。


 それはともかく、守れない・走れないでポジション定着に至らない可能性は残しますが、意外にやれるかもという面白みは感じます。今年未確認な選手なので具体的な評価はできませんが、どのぐらいプロでやれるのかなという興味は、個人的に強く抱く選手でした。



(2014年夏 三重大会)