15ky-28
黒瀬 健太(初芝橋本)捕手 180/95 右/右 |
「潰しは効かない」 高校通算97本塁打を誇る、高校球界屈指の長距離砲と言われてきた 黒瀬 健太。足を大きく引き上げ、思いっきりバットを振ってきます。しかし最後の夏は力みから、2試合で6打数0安打とアピールできないまま終わりました。 (ディフェンス面) 今年に入り故障で、捕手ではなく一塁など他のポジションでの出場が続きます。最後の夏は捕手として出場していましたが、肩を痛めてたままで、再三の盗塁を許していました。 ミットをしっかり捕手に示すので、投手としては狙いをつけやすいのではないのでしょうか。そのグラブを地面に着けることなく、ボールを捕りにゆきます。そのためワンバウンドするような球にも、立ち遅れません。ボールへの反応自体良い選手で、とっさの反射神経には優れています。 ボール1球1球に対しても、シッカリ押し込んで補球。投手の球に押されてミット負けすることもありませんので、審判からもストライクのコールは呼び込みやすいはず。低めの球にも、下からパッとミットを出せており、キャッチングに関しては合格レベルだと思います。捕手は、まず捕れることという私の格言からすれば、合格ラインです。 スローイングに関しては、捕ってから送球動作に入るまでは非常に素早い。しかし肩を痛めていたせいかはわかりませんが、送球自体が全然で、二塁までのタイムは2.2秒ぐらいかかります。また送球も実に弱々しい。この送球では、正直上のレベルでは致命的です。これが一時的なもので、今後回復する見込みがあるというのならば良いのですが。 ガタイはシッカリしており、ブロッキングなどは悪くありません。ただし一塁到達まで5秒以上かかる走力でもあり、全く動けないのは気になります。将来的にも、一塁か捕手としか考えられないのではないのでしょうか。おかわり君こと、中村剛也(西武)のように、動けるぽっちゃりではありません。 (打撃内容) 最後の夏の模様を見る限り、構えから力が入り過ぎていて、打球もみな三遊間方向へ引っぱるものばかり。 <構え> ☆☆ 前足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わりは悪くありませんが、全体のバランス・両目で前を見据える姿勢は並ぐらい。打席でも、力が入りすぎているのは気になります。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下がる時に、大きく足を引き上げてきます。始動のタイミングで言えば、長距離打者ではなく完全に対応力重視の打者だとわかります。 <足の運び> ☆☆ 足を大きく引き上げて、真っ直ぐからベース側にインステップして踏み込みます。そのため外の球を、引っ張ることに主眼が置かれたスイングかと。早めに足を引き上げるのも、タイミングを合わせているようよりは、通常より大きなアクションをしているので、そのために早く動き出す必要があるおでしょう。そのため始動の割には、対応力が高いわけではありません。 また踏み込んだ足元が、インパクトの際にブレてしまってます。そのため打ち損じが多くなったり、開きが我慢できずに打ちにいって、ボールを引っ掛けてしまうわけです。 <リストワーク> ☆☆☆ あらかじめグリップを捕手方向に引いて構えており、「トップ」を作ったような形から振り出します。速い球に立ち遅れる心配はありませんが、常に前の肩が後ろに引かれ力の入った状態でスイングしなければなりません。そのためどうしても、リストワークが固くなってしまうわけです。 バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトではありません。しかし外の球を捌くには、大きなロスはなく癖はありません。バットの先端でもあるヘッドは下げないので、ボールを広い面で捉えることができています。強打者にありがちな、スイング軌道に悪い癖がないのは良いところ。 スイングの弧はそれほど大きいわけではないのですが、フォロースルーはそこそこ使えており、ボールを遠くに運びます。驚くようなヘッドスピードや、スイングにキレを感じるわけではありません。しかしバットを、強く振ることはできています。 <軸> ☆☆ 足の上げ下げが大きいので、目線の上下動は結構あります。体の開きも我慢できておらず、軸足に強さは感じられても安定感は感じません。上半身の力に、受け止める下半身が負けてしまっているわけです。 (打撃のまとめ) 技術的にはかなり粗く、高いレベルの野球に対応するのには苦労するのではないのでしょうか。打てなくても打てないなり、納得させられるスイングというのはあるのですが、彼の場合はまだまだ未熟だなという印象を受けます。 個人的には、それほどボールを飛ばす能力・スイングの強さ・ヘッドスピードの鋭さ、ボールを捉えるセンスなどに特別なものは感じませんでした。プロで、打撃でだけで食ってゆくには、心もとなく感じます。 (最後に) キャッチングは悪くないので、緊急時用の3人目の捕手という位置づけはありだと思います。そして普段は長打力を活かして、一塁なりを務める、そういった使い方ならば現場でも重宝されるのでは。あとは、代打の一振り勝負で結果を出せるようだと良いのですが。 しかしそれ以前に、打撃で圧倒できるのか?という疑問が残ります。こういった強打者タイプは、レベルに達していなくてもプロで鍛えたほうが良いかもしれない、確かにそういう風には思います。実際ドラフト会議でも、育成ではなく本会議の後ろの方では指名されるのではないかと考えます。しかし私は、現時点ではプロ入りのレベルには達していないと評価します。まだまだプロ入りには、時期尚早ではないのでしょうか。 (2015年夏 和歌山大会) |