15ky-23
姫野 優也(大阪偕星3年)中堅&投手 185/75 右/右 |
「腰の入りが悪い」 甲子園では、腰の入りが悪く引っ掛ける打球が目だった 姫野 優也 。それでも時々、スコーンと飛ばす潜在能力の片鱗は伺わせる。投手としてもMAX142キロの速球を誇り、中学時代から名の知れた選手だったという。九州国際大付戦に勝利したら、次の試合では先発予定だったという。そんな彼が、登板しないまま甲子園を去ったのは非常に残念。そこで今回は、野手としてのレポートを作成することにしたい。ちなみにこの選手、すでにプロ志望届けを提出している。 (走塁面:走塁偏差値:42) 一塁までの塁間を、右打席から4.5秒前後で駆け抜けてくる。これをドラフト指名された右打者のタイムで偏差値化すると、42 という数字になる。このタイムは、左打者に換算すると4.25秒前後ぐらい。やはりドラフト指名される選手では、中の下レベルということになる。 このへんは、大阪予選の7試合で盗塁は0個というところからも現れている。しかし一塁までの走る形は良いとは言えないが、最後まで緩めることなく走り抜けている。 (守備面) 中堅手としても、さほど際立つものはない。現状プロに混ぜれば、やはり中の下レベルだろう。ただし守備に関しては、プロの指導で最も伸びる部分なので、身体能力があれば、ある程度のレベルまでは行くだろう。売りはなんといっても肩の強さ、この点ではプロに混ぜてもアピールできるレベルにあり、彼の最大の売りになってゆくのではないのだろうか。 (打撃内容) 腰高で、スイングに強さや鋭さが感じられない。そして打球は、ほとんど引っ張りにかかるので左中間~三塁方向へと偏っている。そのため甲子園でも、ショートに引っ掛ける場面が目立っていた。それでも時々、スコーンと伸びてゆく打球は潜在能力の現れ。秘めたる能力は、かなり高いのかもしれない。 <構え> ☆☆☆ 前足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合は悪くなく、全体のバランス・両目で前を見据える姿勢は並ぐらいだろうか。 <仕掛け> 遅め 投手の重心が前に移動する段階で動き出す、「遅めの仕掛け」を採用。これは、典型的な長距離打者のタイミングであり、ボールを飛ばす術を覚えれば、まだまだ飛距離は出るのではないのだろうか。 <足の運び> ☆☆☆ 足を上げて、幾分ベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」は短く、打てるポイントは限られています。それだけ狙い球を絞り、その球を逃さないことが求められます。しかし現状は、そういった「鋭さ」はまだありません。 軽くベース側に踏み込んで来るように、外角寄りの球を好みます。インパクトの瞬間もなんとかブレるのを我慢できていますが、打球が引っ張りにかかるので、どうしても引っ掛ける打球が増えてしまいます。センターから右への打撃を今後覚えられるかが、打率に大きく影響して来るでしょう。 <リストワーク> ☆☆☆ 打撃の準備である「トップ」を作るまでが遅く、一定レベル以上のスピード・キレのあるボールには立ち遅れそう。バットの振り出し、インパクトのまでの軌道を見る限り、それほど遠回りではありません。ボールを捉える時も、バットの先端であるヘッドは下がらないので、広い面でボールを捉えることができています。スイングの孤はそれほど大きくなく、フォロースルーも使えていないので、現状はそれほど打球が上がるスイングではないように思います。それでもスコーンと気持ちよく飛んで行く打球があるのは、彼の潜在能力の現れだと言えるでしょう。 <軸> ☆☆☆ 足の上げ下げもあり、目線の上下動は平均的。体の開きは我慢できていますが、軸足はそれほど安定していません。特に軸足の内モモの筋肉が弱く、ボール強く飛ばすのに必要な筋力が、決定的に欠けています。 (打撃のまとめ) 特にボールをつかまえるセンス・ボールに喰らいつく貪欲さなどに非凡なものは感じません。またヘッドスピードが鋭いとか、技術的に際立つものも感じません。何より、同じようにショートゴロを繰り返すあたりに、打撃にインテリジェンスが感じられません。 それでもボールを飛ばす技術がない割に、ボールを飛ばせる能力が垣間見られるのは、彼の可能性の現れ。仕掛けの遅さによる部分も、大きいのかもしれません。今後は、体幹を強くしたり、軸足の内モモの筋肉を強くしたり、バットをもっともっと振り込む必要があるのではないのでしょうか。 その体ができた上に、スイングの孤を大きくとったり、フォロースルーで運ぶ術を身につけられれば、将来飛距離を売りにできる可能性は感じます。 (最後に) 現状、肩と飛距離という魅力はあるものの、守備・走力・対応力に際立つものはなく、高卒でプロ入りするのには力不足は否めません。本人の志しが高いのであれば、独立リーグにでも進んで結果を残しプロ入りを目指すべきではないのでしょうか。 個人的には、プロ入りには時期尚早だと判断します。この数年の間に、どれだけ自分をギリギリまで追い込めるのか、そこにかかっている選手ではないのでしょうか。 (2015年夏 甲子園) |